咳止め薬の出荷調整が∞
咳止めが処方制限がかかって、もう3週間でしょうか。
コロナ感染後、咳が続いて咳止めが欲しいと病院に来られても、出せるものがなかったりして、本当に辛い日々です。
肺炎などがないか確認して、なけなしのシロップ薬を出して、龍角散のど飴やハチミツなどを使うよう説明して、咳喘息になっていそうな人には吸入薬を…と、なんとか少しでも楽に過ごしてもらえるよう粘っています。
今回は蜂蜜のお話です。
もともとの常識として、ハチミツは小児の急性咳嗽に対して効果があるという報告があります。
https://assets.cureus.com/uploads/review_article/pdf/109269/20221020-10308-1yqasq5.pdf
1歳以上の小児の咳に対して症状出現後3日以内に使用すると鎮咳効果がある。
鎮咳薬は容量不足で効果不全になりやすい。
(1歳未満のこどもは腸内細菌がまだしっかりしていないので、ハチミツは禁止です。ボツリヌスにやられてしまいます。)
また、成人の感染後咳嗽については蜂蜜入りコーヒーがステロイド投与より有効という報告が2013-2014年にかけてありました。
2014年のものを載せておきます。
こちらによると、
各グループは600gの液体を渡され、その内訳は
- ステロイドグループ(208mgベタメタゾン溶液)
- 蜂蜜+コーヒーグループ(300gの蜂蜜と20gのインスタントコーヒー)
- 蜂蜜グループの(300gの蜂蜜)
参加者は、処方された製品を10ml飲み、3時間ごとに1週間飲み、1週間後に臨床的に評価した。
(ということは、蜂蜜1回5g(蜂蜜大さじ1は22g)、インスタントコーヒー1回1/3g=330mg(コーヒーの大さじ1は5-6gで、通常飲む分に奨励されている1杯分は小さじ1の約2g))
1番効果があったのは蜂蜜+コーヒー、2番目に蜂蜜、ステロイドは3番だった。
蜂蜜+コーヒーは口内炎にも効果があった。
妊娠中はカフェインは避けましょうと言われます。
また薬が欲しいと言っても、婦人科には風邪の時に行きにくいし、内科でも妊娠してると言うと困った顔をされる方も多いかもしれません。(私もヒヨッコの頃は困ってました。)
カフェインの妊娠中における悪影響のない最大量は300mg/日。
インスタントコーヒーはだいたい小さじ1をお湯140mlにとかす作り方で作り、そのカフェイン量はコーヒー100mlにおよそ約60mg。
大雑把に計算して、この研究では一回に15mgのカフェインを8回取ったことになるのかな。
許容範囲ですが、まぁそこまで気にするなら蜂蜜単体でよさそうですけど。
世界保健機関(WHO)も、蜂蜜が咳やその他の上気道感染症の治療に有効であること、1歳以上の⼦どもに与えるのに⼀般的で安全であることを発表しています。
しかし、何故ハチミツが咳によいのかという原因はわからないままでした。
喉を潤す為なのか、それともハチミツそのものが良いのか?という。
そこをはっきりさせたのが山田養蜂場と東京理科大の共同研究でした。
10/5に出たニュースです。
山田養蜂場と東京理科大など、蜂蜜のせき止め成分特定
元論文はこちら
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.jafc.3c03864
- アカシア蜂蜜を投与した群では、水を投与した群に比べ、咳の回数が有意に低減した。
- 蜂蜜は胃内へ直接投与したため、蜂蜜の鎮咳作用はのどを潤すことによるものではないことが確認された。
- 活性のある蜂蜜画分に多く含まれる成分を調べた結果、2つの成分を発見した。
- 活性成分のうち、1つは「フラジン」、もう一方は新規化合物であることが分かり、その新規化合物を、「メルピロール」と名づけた。
- 蜂蜜から単離精製できるメルピロールはごく微量なので、化学合成法を開発し、合成試料を用いて詳細に鎮咳活性を調べた。
- メルピロールとフラジンの群は、水を投与した群に比べて咳の回数が有意に減少し、その程度は鎮咳薬と同等以上である事がわかった。
1が新しく判明したメルピロール
2がフラジン
さて、疫学的にも科学的にもハチミツが咳に効果があるとわかったので、楽しく蜂蜜ライフをしましょうね🍯
カロリーがあるので摂りすぎには注意です!
マヌカハニーも好きだけど、普段ホット蜂蜜レモンにするのはもっぱらこちら。
私は両方好きかな。
ゴミが少ないのが良いんですよ…ゴミ袋指定だから…(けち)