初診の際、気のせいかもしれないけど…
生理周期の25-26日欄をみて、25日か…と呟いた先生の顔がマスクとメガネ越しに曇っていた気がして、気になったので調べてみました。

【今回のブログのまとめ】
・25-26日など月経周期が短い人は少し妊娠までに時間がかかる傾向あり。

・甲状腺機能異常症は上昇、低下ともに月経に影響はあるものの、ホルモン値がおちつけば関連なし。

潜在性甲状腺機能低下症だけでは流・早産との関連性を認めず。
甲状腺自己抗体陽性(抗TPO抗体)の場合に流産リスクが高い。

・ただし、抗TPO抗体陽性の場合、不育症の可能性が高く、ホルモン補充しても大きな改善が得られるわけではない。


そもそも正常な月経は何日かと言うと

日本産婦人科医会ホームページ

25-38日、変動は6日以内。

結構幅が広いしている。


文献を漁っていると、何個かの論文の中に月経周期について引用がついている論文があったので、原著へ飛んでみました。


2011年に報告されたデンマークでの月経周期と妊孕性についての前向きコホート


→妊娠周期27-29日の人と比較して、25日未満、25-26、30-31、32-33、34日以上の人の出産可能比は

それぞれ0.64(95%信頼区間(CI):0.49、0.84)、0.94(95%CI:0.77、1.13)、1.10(95%CI:0.97、1.25)、1.35(95%CI:1.06、1.73)、1.17(95%CI:0.91、1.49)であった。

32-33日が1番妊娠しやすそう

生理周期が短い人だと妊娠するまでの期間が長めになる。


その他、初経年齢、初経から月経周期が安定するまでの時間、出血期間、出血量などには有意な差は認めなかった(=関係なさそう)とありました。


甲状腺機能亢進症、低下症ともに月経周期に異常はきたすようですが、治療とともに関連はなくなるというのが既知の事実らしく論文を〜とかいうレベルではなさそうでした。
今の周期の短さとバセドウ病とは関連はないっぽい。

妊娠と甲状腺疾患について

妊娠と甲状腺疾患についてはこちらにも報告されていますが、
甲状腺機能低下症(TSH>10)については不妊症・不育症との関連性が今まで言われてきていました。
『昆布はやめておいた方が良い』とか。

不妊治療Q&A  患者さんからの質問に自信を持って答える より抜粋↓

✴︎今回、不妊治療にあたり、医学書をひとつ購入しました。

文献をできるだけ見たいところではありますが、専門分野ではないと一体この論文は何処まで正しいのかというか…大きい論文なのだろうかという吟味が難しい。

後になって注釈がついていたり、その後updateされたものなのか、そこまで専門でないとわからない…。

コチラの本は2023年3月に出されていて、2021年度に出たガイドラインも勿論言及されています。

何より知りたいことの都度検索だとその前後の事とか流れはわからないんだよなぁ…


さて、この本よると、今まで潜在性甲状腺機能低下症と甲状腺自己抗体(抗TPO抗体)陽性が初期流産の独立したリスク因子であるとかそうではないとかあったけど、はっきりした結論はなかったが、最近レビューで結論が出たとの事。

・潜在性甲状腺機能低下症だけでは流・早産との関連性を認めず。甲状腺自己抗体陽性の場合に流産リスクが高い。

・2019年に報告された二重盲検試験のサブグループ解析では、流産既往のある甲状腺機能正常かつ抗TPO抗体陽性女性においてレボチロキシン(LT4)補充による生産率の上昇は認められなかった。

・さらに最新のシステマティックレビューにおいても、潜在性甲状腺機能低下症かつ・または甲状腺自己抗体陽性を合併する不育症において、LT4補充が次回妊娠転帰を改善させるエビデンスはないと結論づけられてた。


→つまるところ、甲状腺機能にかかわらず抗TPO抗体陽性ならば、ホルモン補充してもダメな時はダメという話か。
私は抗TPO抗体も高いので、妊娠できたとしてもぬか喜びしないで注意しないといけないなぁ