WakeUp！プリキュア３shine！ -10ページ目

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第一話　『目覚めのプリキュア誕生！！』　後半

ＣＭ
　
　・場面　《敵組織・ディザイヤー　本拠地》
　黒く塗りつぶしたような寂れた城の全景。
　空は黒い雲に覆われており、周りは草木もない荒野。

　・場面　《本拠地　内部　ラウンジ》
　潰れたカジノのような部屋。
　巨大なルーレット台を囲むように何人かの影が立っている。
　ルーレット、勢いよく回っている。
　ネブソクーン　「……まだ見つからぬのか！悪夢を現実に変える星空の秘宝は！！」
　怒りが強く出ているネブソクーンの声が部屋に響く。
　姿は見えない。
　カフェイン　「星空の女神は捉えましたが、その在り処は分からないままです。もうしばらくお待ちください、ネブソクーン様」
　ディーラーの立ち居地に居た影、カフェインが頭を下げる。
　ネブソクーン　「うぅむ」
　カフェイン　「正確な場所は分かりませんが、どうやら秘宝は太陽の国にあるようです」
　ネブソクーン　「太陽の国……だと？」
　カフェイン　「はい。朝焼けの女神が太陽の国へ使者を送ったとか……。恐らくその者たちが秘宝の在り処を」
　ネブソクーン　「直ちに太陽の国へ行き、秘宝を手に入れてまいれ！！」
　カフェイン　「了解しました。……では、今回行かれる方を決めたいと思います」
　カフェイン、黒く光る玉、悪夢のカタマリを取り出す。大きさはビー玉ほど。

　それを回っているルーレットへ滑らす。
ネブソクーン　「悪夢を現実にして、世界を暗黒で支配するのだ！」
　カフェイン　「すべては、ネブソクーン様の仰せのままに」
　カフェイン、再び頭を下げる。
　画面、回っているルーレット。段々と青空にある太陽と重なる。
　そのまま太陽の国へ場面が変わる。

　・場面　《夢見町　商店街》
　画面、商店街を上空から写す。
　画面、商店街を１人で歩いている輝に切り替わる。
　輝　「あかりちゃんには１人でも大丈夫って言っちゃったけど……どこをどうやって探せばいいんだろ？」
　歩きながらあたりをキョロキョロ見る輝。
　人通りはそれなりにある。
　八百屋のおばちゃんが輝に気づく。手にはキャベツの入ったダンボールを持っている。
　八百屋　「あら、輝ちゃん。おかえり」
　輝　「あ、ただいまです」
　笑顔で答える。
　八百屋　「今日はいいキャベツが入ったんだよ。どうだい？」
　持っていたダンボールを輝に見せるおばちゃん。
　輝　「わぁあ！ほんと、瑞々しくて美味しそう！！」
　目を輝かせて笑顔になる。
　輝　「……サラダにしたり、スープで煮込んだり……あ、ロールキャベツもいいなぁ」
　うっとりした顔で頬に手を当てる。ヨダレが出てる。
　輝の背景、料理がキラキラと輝いて浮いている。
　輝　「……って、じゃなくて」
　顔をブンブンッと左右に振って、真剣な表情になる。
　輝　「ごめんなさい。今、ちょっと人を探してて……また後で来ます！！」
　一度お辞儀したあと、急いで駆け出す輝。
　八百屋　「待ってるよぉ」
　おばちゃん、ニコニコしながら見送る。
　魚屋　「……おっ！輝ちゃん！輝ちゃん！！」
　今度は魚屋のおじさんに呼び止められる。
　魚屋は八百屋の二軒隣りの店。
　魚屋　「今年のアジは脂乗ってるよ！どうだい？！」
　氷を敷き詰めた発泡スチロールに乗ってるアジを見せる。
　輝の顔がまた輝く。
　輝　「わぁあ！アジ！！……お刺身や塩焼き、あ、から揚げにしても美味しいんだよねぇ」
　うっとりしながらヨダレを拭く輝。
　背景、料理がキラキラ。
　輝　「……はっ！じゃなくてじゃなくて！！」
　手をブンブンと振って想像した料理を消す。
　輝　「用事があるので、失礼しまぁす！」
　一礼したあと、走り出す。
　魚屋　「お……ん？」
　おじさん、キョトンッとした顔で輝を見送る。
　魚屋　「今日の輝ちゃんはいつも以上に慌しいな」
　八百屋　「人探しをするんですってよ」
　店先から八百屋が魚屋に話しかける。
　魚屋、八百屋を見る。

　魚屋　「ほぉう。……それは難儀だなぁ」

　魚屋、輝が走り去った方を見る。
　画面、走ってる輝に切り替わる。

　輝　「もう、これじゃあいつまで経っても人探しなんて終わらないよぉ」
　肩にかけていた鞄を直しながら走る輝。

　・場面　《住宅街　朝に輝とレムがぶつかった道》
　レム、中腰で地面を睨みながら歩いている。
　ノン　「レム！」
　レムの後方からノンとスイミーが走ってくる。
　レム、身体を伸ばし、目頭を押さえる。目の疲れを取るように。
　ノン　「どう？あった？」
　レム　「はぁ……いや、ない」
　ノン　「あっちにも無かったわ」
　スイミー　「どうすんだよ。もしかしたらもう誰かに拾われちゃったんじゃ……」
　レム　「交番にも行ったが、そんな落し物は無いそうだ」
　スイミー　「まったく、大事な夢のかけらを落とすなんて！」
　ノン　「…………」
　ノン、申し訳なさそうにレムを見ている。
　レム　「すまない。……とりあえず、俺はもう少しここら辺を探すから、ノンたちは今日休むところを見つけて……」
　ノン　「私も一緒に探す！！」
　ノン、レムの言葉を遮り、身を乗り出す。
　ノン　「元はといえば、私がレムを追っかけたのが原因だし……レム、ごめんなさい」
　頭を深々と下げるノン。
　レム、優しい顔で笑う。
　レム　「いや、悪いのは落とした俺だよ。ありがと、ノン」
　ノンの頭に手を置いて、なでなでするレム。
　ノン　「レムぅ！」
　レムに抱きつくノン。
　スイミー　「やれやれ……じゃあ、俺はあっちを探すよ」
　レム　「……スイミー」
　頭を掻きながら踵を返して歩き出すスイミー。
　少し驚いた表情のレム。
　スイミー、顔だけレムに向ける。表情は眠そう。
　スイミー　「ひとつ貸しだからな」
　レム　「ああ。ありがとう」
　画面、敵キャラの口元に切り替わる。
　ダハー　「な、なにかお探しかな？」

　画面、驚いた表情のレムたち三人。
　慌てて振り返るレム。
　そこにはディザイヤー最初の刺客、ダハーが腕を組んで立っていた。猫背で目の下には大きな隈がある。
　ダハー　「も、もしかして、き、君たちが探してるのは……」
　ボソボソッと喋るダハー。
　他の２人たちを守るように一歩前にでるレム。
　ノン　「あんた！何言ってるのかわからないわよ！もっとはっきり喋ったらどうなの？！」
　レムの後ろでノンが怒る。
　ダハー　「う、うぅ……うるさぁい！せ、せっかく最初のセリフを練習してきたのに……ぜ、全部パーだ！！」

ダハー、怒る。
　ノン　「……ダサッ」
　ダハー　「と、とにかく、お前たち！星空の国の秘宝の在り処を、は、早く教えろ！！」
　ノン　「はぁ？……秘宝？なにそれ！そんなの知らないわよ！」
　スイミー　「……星空の秘宝」
　一番後ろに居たスイミーが驚く。
　ダハー　「し、しらばっくれても無駄だぁ！ぼ、僕は怒ったぞお！」
　ダハー、腰を低くして、力を貯める。
　背中から黒い霧のようなものがユラユラと出現。
　３人　「ッ！！」
　画面、３人の驚いてる顔。

　・場面　《商店街と住宅街の間の路地》
　輝　「はぁ～……見つからないよぉ」
　歩きながらため息をつく輝。
　輝　「今頃きっと失くして困ってるよね……これ」
　ポケットから夢のかけらを出し、指でつまんで目線のところまで持っていく。
　輝　「……きれいな石だなぁ」
　画面、夢のかけらを見ている輝の顔から、輝の目線に切り替わる。夢のかけらのアップ。
　焦点がその後ろの通りに切り替わる。
　その通りをレムたち３人が走っていくのを見る。
　画面、再び輝の顔。驚いてる。
　輝　「……あっ！！あの人たちだ！！」
　輝、慌てて夢のかけらをポケットにしまい、鞄を肩に掛け直す。
　レムたちを追って走り出す。

　・場面　《公園の広場》
　人はいない。
　広場をレムたち３人が走っていく。
　画面、ダハーの口元。
　ダハー　「に、逃げても無駄だぁ！」
　画面、立ち止まって上を見る３人。
　画面、外灯の上に立っているダハーの足から徐々に上がっていく。顔が映ったところで止まる。
　ダハー　「は、早く秘宝の在り処を教えるんだ！さ、さもないと……」
　画面、レムの後ろから乗り出すノン。
　ノン　「だから、そんなの知らないって言ってるでしょ！！」
　ダハー、たじろぐ。
　ダハー　「ま、また喋ってる途中で、お、大きい声だしてぇ！！」
　ダハー、黒く光るビー玉くらいの大きさの玉、悪夢のカタマリを取り出す。
　ダハー　「も、もう許さないぞ！」
　ダハー、空に向かって悪夢のカタマリを投げる。
　ダハー　「夢より生まれし悪夢の化身、ネムイナーよ！この世界に漂う夢に取り付き、恐怖を撒き散らせ！！」
　悪夢のカタマリ、黒い光が爆発して、巨大な化け物になる。
　巨大なお弁当箱のような外見。
　ネムイナー　「……ネムイナー！」
　レムたち３人、驚く。
　レム　「なっ！？」
　スイミー　（……やっぱり、こいつらが星空の国を）
　スイミー、表情が険しくなる。
　ネムイナー、腕を振り上げて攻撃する。
　レムたち、必死に避ける。
　ダハー　「は、早く秘宝の在り処を教えないと、も、もっとひどいことしちゃうぞ！？」
　ノン　「知らないって言ってるでしょ！このダサダサ男！！」
　画面、ダハーの顔アップ。怒ってる。
　ダハー　「ぐぐぐっ！ぼ、僕はダサくなぁい！！ネムイナー！も、もっとやっちゃえぃ！！」
　画面、ネムイナーが戦闘態勢に入る。
　画面、レムたち３人。
　輝　「な、なにこれ？」
　画面の外から輝の声。
　レムたち３人、驚いたように声の方を向く。
　画面、驚いて怖がっている輝、全体。
　画面、焦るレム。
　レム　「君は……確か今朝の？！」
　ダハー　「な、なんだお前は！ネムイナー、あ、あいつもつ、ついでにやってしまえ！！」
　ネムイナー　「ネムイナー！」
　ネムイナー輝に攻撃する。
　輝　「きゃぁああ！！」
　身構える輝。
　横からレムが助けに入る。
　レム　「危ない！！」
　輝に抱きついて横へ飛ぶ。
　ネムイナーの攻撃空振り。
　避けた反動で輝とレム、一緒に倒れる。
　輝　「きゃっ」
　レム　「ぐっ」
　その時、輝の上着のポケットから夢のかけらが飛び出る。
　レム　「う、うぅっ……」
　顔を上げたレム、夢のかけらに気づく。
　レム　「これは、夢のかけら！？……どうして君が」
　輝　「あ、あの、朝ぶつかった時に拾って……それで返そうと探してたんですけど、あの……」
　混乱している輝。
　レム、理解したかのように優しく微笑む。
　レム　「そうか、君が持っててくれたのか……ありが」
　ノン　「レム！だいじょうぶ？！」
　レムが話し終わる前にノンたちが走ってくる。
　レム、輝をゆっくりと立たせる。
　レム　「ああ。平気だ……さぁ、君は逃げるんだ」
　輝をかばうように前にでるレム。
　輝　「あの……でも、これ……」
　輝、落とした夢のかけらを拾い、握り締める。
　ノン　「来るわ！」
　輝の言葉をノンが遮る。
　ネムイナー　「ネムイナー！！」
　ネムイナーの拳、レムたちの前に落ちる。
　砂煙が上がる。風圧がブワッと襲う。
　レムたち３人　『それぞれの悲鳴』
　輝、風に耐えながら目を瞑る。
　レムたち３人、ポンッと煙に包まれて小動物になる。
　レムたち、地面に落ちる。
　輝　「……え、えぇえええ？！」
　輝、それを見て驚く。
　レム　「うぅ……君は早く逃げるレム」
　小動物になって、輝を見上げるレム。四つん這いで立ち上がる途中。
　輝　「で、でも……」
　輝、足元にいたレムから視線を上げてネムイナーを見る。表情は怖がって戸惑ってる。
　画面、叫ぶネムイナーに切り替わる。
　ネムイナー　「ネムイナー！」
　画面、輝。なにやら決意したようなキッとした表情。
　レムたち三人とネムイナーの間に立ち、三人を守るようにネムイナーを睨む。
　輝　「私、難しいことはよく分からないけど、こんなひどい事は許せない！」
　画面、宙に浮いてるダハー。輝を見下ろしてる。
　ダハー　「ぶ、部外者は黙ってるんだな！じゃないと、痛い目み……」
　輝　「黙らない！！」
　画面、輝のアップ。
　画面、たじろぐダハー。
　画面、輝を下方向から映してる（あおり気味）
　輝　「暴力で自分の思い通りにしようなんて……すっごくかっこ悪い！！」
　画面、ダハー。頭に怒りマーク。
　ダハー　「ぐぐぐっ……ぼ、僕はダサくもないし、かっこ悪くもない！！ネムイナー！こいつもやっちゃえ！！」
　ネムイナー　「ネムイナー！！」
　輝、両手を胸の前で握りながら強張る。
　ネムイナーの振り上げた腕が輝に当たる瞬間、輝を中心に光が爆発した。
　ネムイナー、閃光に弾かれて倒れる。
　ダハー、目を腕でガードしながら驚いている。
　ダハー　「な、なんだぁ？！！」
　画面、輝。握っていた手の中から光が溢れている。
　輝　「な、なに？……あったかい光」
　手を開くと、掌に乗っていた夢のかけらが弾けた。
　その弾けた光が再び掌に集まり、メロディーバンクが現れる。
　メロディーバンクの形状はiPodのような携帯音楽プレイヤー。
　画面、驚いてるレム。
　レム　「夢のかけらが！……ま、まさか、君が夢を希望へ変える伝説の戦士だったレム」
　輝　「え？え？どういうこと？」
　画面、倒れてるネムイナー。頭の上でダハーが怒ってる。
　ダハー　「早く起きろ！ネムイナー！！」
　ネムイナー　「ネ、ネムイナー……」
　画面、レム。
　レム　「とにかく、変身するレム」
　輝　「へ、変身？」
　レム　「お願いレム。みんなの夢を守るために、変身して戦って欲しいレム」
　輝　「そ、そんなこと言われても……ど、どうやって？」
　レム　「君が伝説の戦士なら、できるレム！夢を大切に思う気持ちがあれば、きっとなれるレム」
　輝　「夢を……思う気持ち？」
　画面、輝のアップ。
　キッと決断の顔。

　輝　「ウェイクアップ！！

　　　　　　プリキュア・エボリューション！！
　　　大地を照らす目覚めの光　キュア・グロウ！！」

　輝、プリキュアへ変身。
　レム　「やったー！プリキュアの誕生レム！！」
　ダハー　「プ、プリキュアだと？！……へ、変身したくらいでどうっだっていうんだ！ネムイナー行け！！」
　立ち上がったネムイナー、グロウへと向かって走り出す。
　戦闘シーン。
　グロウがネムイナーを激しく攻撃。
　グロウ　「はぁあああ！！」
　グロウのアップ。画面に向けてパンチ。
　ネムイナー、尻餅をつく。
　レム　「今レム！夢の力で悪夢を蹴散らすレム！」
　グロウ　「うん！」

　グロウ　「目覚めて！プリキュア・サンライトクエイクッ！！」

　胸の星型のアクセサリーに一度手をやったあと、右手を地面へ当てる。
　そこから光が地面から噴出するように走っていく。
　ネムイナーの足元から光が噴出して全体を包む。
　ネムイナー、消滅。
　ダハー　「い、一体何なんだ！！お、覚えてろぉ！！」
　ダハー、退却。
　ほの暗かった背景が明るくなる。
　破壊された歩道などが元に戻っていく。
　画面、グロウ。
　グロウ、その場にぺたんっと座る。
　表情はぼーっとしてる。
　空から、七色に光る玉（浄化された悪夢のカタマリ）がグロウの目の前に下りてくる。
　それをやさしくキャッチするグロウ。
　レム　「やった～レム」
　ノン　「すごいノン！かっこいいノン」
　スイミー　「わ～いわ～い」
　グロウの周りをうれしそうに飛び跳ねるレムたち３人。
　レム　「君はこれから伝説の戦士プリキュアとなってみんなの夢を守るレム！」
　ビシッとグロウを指差すレム。
　ノン　「よろしくノン」
　グロウ　「……なんだか分からないけど……上出来！なのかなぁ……」
　苦笑いのグロウ。
　
　ＥＤ

　・次回予告　
　輝　「あかりちゃん！私、プリキュアになっちゃった！！」
　あかり「は？ぷ、ぷり……？」
　輝　「なんだか分からないけど、夢の雫を集めて世界を救わなくちゃいけないみたいなの！！」
　あかり　「ああ、なんだ。ゲームの話か。はははっ」
　輝　「それで、あかりちゃんにもプリキュアになって欲しいの！」
　あかり　「はいはい。どうぞご自由に」
　輝　「やったぁ！じゃあ、早速変身ね！」
　あかり　「って、なに、あのダサい奴！！」