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■初回→
http://ameblo.jp/precoed/entry-12086793625.html

 

■前回→

http://ameblo.jp/precoed/entry-12132821696.html

 

 

 

遂に謎女と話した!!


…がそれは別れの始まりで、最初の頃は、はっきりと姿を

見る事さえ出来なかったし、後姿とか足音とか、気配のみを

残した謎女だが、日を追うごとに接触密度が確実に高まって

いる。
そもそも最初は、マジマジと顔を見る事すら出来なかったから

印象も薄かった。それ故に、メガネ着用と言う大きな特徴さえ

見落としていた。


ところが最近は、比較的姿をさらす。
つまり徐々に距離が縮まっているのだ。
この出来事は当然実話だから、この点の演出はないのだが、

偶然にもホラーやミステリー作品の王道パターンになっている。
大体ホラー映画なんかだと、犯人や殺人鬼は最初のうちは

姿を現さない。影や手だけが画面に映ったり、犯行の痕跡を

少々残す程度だが、時間の経過と共に徐々にその姿がハッキリ

していく。
またこれは、ストリッパーが段々と肌を露わにする段階にも似る。
例えどんなストリッパーであっても、いきなり一糸まとわぬ全裸で

ステージに上がってくる事はまずない。衣類を自分の手で脱ぐ

過程が必ずある。しかも多少勿体ぶりながら。


本件に関しても、時間を追うごとに謎女との接触密度は上がって

いて、まるで恐怖映画のクライマックスに近付くような雰囲気で

さえある。

何しろ今まではほぼ後姿を一瞬程度見ただけだったのが、

■4でハッキリと顔を見たし、日記を(物語調で)書く上でこれは

ありがたい偶然と言える。


ただこれはオーディエンス心理を突いた演出等ではなく、

警戒心を持って行動していたと思われる謎女の行動が、段々と

警戒心もゆるみ、雑になっていったのが原因だと思われる。
なにしろ謎女は正体こそ不明だが、おそらく亡霊や殺人者では

ないと思われるし…

 

そしてその日もまた僕が階段を降りていると、下の階からまた

急に足音が始まった!!


「謎女だ!!」と咄嗟に思った僕は、なるべく音を立てないように

階下へ急いだ。

そして前回欲を出して、ICレコーダーとカメラを…なんて考えて

失敗した事を思い出して、そのまま距離を縮める事に重点を

置いた。


しかし前回とは全く状況が違う。
すなわち謎女も僕の足音を聴いて更に階下へと逃げるでは

なく、なんと階段を昇ってきたのだ!!!
すると当然ながら、ある階でバッタリ謎女と鉢合わせするの

である!!!!
今まではこちらの気配を感じると、自分の意思には関係なく

離れる行動をした謎女が、全く逆の行動を取った!!これには

どんな意図があったのだろうか?
いや、そもそも意図等の行動原理に謎女が即しているかも

怪しかったが、僕はそこでついに謎女に声をかけた!!
 
「いつも階段で何をしてるんですか?頻繁に見ているんですよ!」

謎女はそれに応えた。
すると僕が想像もしていなかった、ちょっと鼻にかかるような

ややハスキーっぽい、しかし僕が嫌いではない声質で乱暴に

返答した。


謎女「ハァ?あなたには全く関係のない事です」
いきなりの返答はすでにキレ気味だった。ここから解る事は、

間違いなく徘徊行為に後ろめたさがある事を意味している。


僕「関係無くはないですよ。逆にこっちも1ヶ月以上前からあなたの

謎の徘徊を確認しているんでね…」


謎女「だとしたらどうなんですか?」


僕「どうもこうもありませんよ、このマンションに何の用なんですか!?
もしかして、あなたは浮気調査や誰かの身辺調査してる探偵・

興信所なんですか?」

僕は謎女の返答に耳を疑った。


「ハァ?私はこのマンションの住人ですよ」と。
当然僕は「だったら何号室?誰さんですか?」と聞き返した。


謎女「なぜ無関係なあなたにそれを言わなきゃいけないんですか?」


僕「無関係ではない、ここの住人です!」


謎女「私もですよw」


僕「ならば何号室の何さんなんですか?言えないはずないですよね?」
すると謎女は半ばこちらを無視し、きびすを返すと、更に上の階へと

足早に階段を昇った。
僕「どこへ行くんですか!?自分の行動がばれたから逃げるんですよね?」


謎女「あなたに応える理由はありません!!」
こちらが制するのも聞かず階を昇ろうとする謎女に、このまま

話しても無駄だと察した僕は、1階の管理人室にいる管理人を

呼ぼう!!でなきゃ埒が明かない…と判断するや階段を駆け下りた。


時に16時45分、いつも17時に帰宅する彼に残業させるのは悪い

とは思いつつもこの顛末を話して、一緒に来てくれ、と伝えた。
それも謎女を逃がす事態にならないように、各階を確認しながら

階段で昇った。

そしてその間エレベーターが動いた形跡はなかった!
果たして屋上フロアで僕たちは謎女を追い詰めた。
今度こそ袋のネズミだった!!


「こいつです!!」と僕は謎女を指差し、勝ち誇って管理人に言った。

 

 

…しばしの沈黙の後、管理人は

「40X号室の宮○さんとこのお嬢さんですよ…」と、淡々と応えた。

 

管理人の顔からは「おいおい、勘弁してくれよ~」とでも

言いたげな、倦怠感とも嘲りともうかがえるような表情が感じ

取られた。
謎女はそもそも嘘をついていた訳ではない、管理人も顔を

知ってる住人だったのである!!!
このマンションに住んでいて、このマンションと自分の安全を

守りたい僕でも知らない住人がいると同時に、自分の安全とは

無関係な、このマンションの安全を、金で守っている管理人の

方が、僕よりよほどこのマンションの事を知っていたのだ…


すると謎女はあらん限りの暴言を僕に吐いた。
「だから言ったでしょう!!人の事を言う前にあなただって十分

怪しいじゃないですか!?人の行動をいつも監視してたり!!」
…確かに間違ってはいない。
しかも謎女は当然ながら、僕に盗撮されていた事実を

知らないでそう言っている。
盗撮の事を謎女が知ったら更に語気を強めるし、更には

『むしろ被害者はこっちだ!!』と主張する上で良いネタを与える

だけだろう!!
仮にも僕が、その時は『いざと言う時は警察に提出する資料

として』撮った謎女の動画だが、向こうからしたらマンション

住人の若い女性を盗み撮りしているあやしい男がいる!!と言う

話にも転換出来得るのであった…
しかもこちらは平日だろうが深夜だろうが、いつでも無精ひげ・

寝間着兼部屋着のヨレヨレのスェット着で歩き回っている…
すると、今度はこちらの立場が一気に逆転し得るのだ!!


どうやら謎女は僕の想像より若く(おそらく高校卒業以上

就職未満?)、40X号室の親許で暮らしているらしいが、

その親の出方次第では、盗撮したりICレコーダーを使ったり

する、おまけにシャレにならない(現在では条例違反に当たる)

エロ漫画(それもレイプ系とかロリコン系とか)を連載していた

過去がある僕の方が、窮地に陥る可能性が高まったと言える

のである!!
何しろ部外者は、仕事(や編集方針)で仕方なく描いたエロ漫画

でも、僕の性癖と大概決めつけてくるからだ!!


今回僕のとった行動自体は生活域の保守活動と理解される

とは思うが、だとしても向こうの出方次第では今後ここに住み

にくくなる可能性も十分にあるだろう。


その後部屋に戻ってすぐに謎女の全てのデータを消去した…


それから数日後、また僕は理事会に顔を出した。


…いや、呼び出されたのだ。

 

 

つづく
…と言う事で次回完結なので、もう少しお付き合いくださいwww

http://ameblo.jp/precoed/entry-12153285100.html