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何度も書いているように僕が患ったは、世間一般
的に『痔』と聞いて思い浮かべる症状とはだいぶ
違う。
具体的にどう違うかと言うと、腸の終わりから
肛門にかけてその消化管の外側ウミの溜まり
出来る
したがってケツから血が出たりケツの
穴が裂けたり
痛くてウンコが出せ
ない
、なんて事もない。
(ウミ溜まりの出来る場所によっては痛むのかも
知れないが)
だがそのウミ溜まりが色んな形で悪影響を及ぼし、
どうにもならない程痛くなったりするのだ!!
しかもここで痛いと言うのがまたちょっと違い、
『肛門が痛い』と言うのではなく、下腹部の内臓の
痛み
に近い痛みがランダムに発生するという感じで
あった。

したがって直接肛門とは関係のない訳であるから、
ドーナツ型クッションを使う/使わないとか、
ウォシュレットで洗う/洗わないとかもほとんど
関係ないのだ。
(大体うちはウォシュレットだし…)


さてそんな感じで体内で発生したウミがどうなるか
と言うと、アリの巣のごとくウミが流れるトンネル
を形成しながら、身体の中に拡がっていく。

しかもそれもウミの気まぐれで、拡がっていく方向
は特定出来るものではない。特に僕の症状が重かった
のは、このウミが手を付けづらい場所に拡がって
いってたからだった。

痔瘻図解





ただ中には最も皮膚に近い場所(つまり最も外側で、
除去しやすい)に辿り着いたウミ溜まりもあり、
そーゆーモノに関しては皮膚を切ってそこから
流し出す
と言う、簡易的な手術で十分に対処出来た
ようだ。

実は入院する前にも皮膚のすぐ下に溜まったウミを、
外来受診で2度流し出している。
(その際に「すぐにでも入院させてもらえないか」
と頼んだが、空きベッドがないと言う理由から、
その時は応急的な措置に終わった)

しかしこれがまた麻酔が全然効かないのだ!!
センセイは「すぐ終わります」とか「もうちょっと」
とか言うが、その責め苦は延々に続くかのような
錯覚を僕にもたらす…

おそらく所要時間10分程度だったと思うが、激痛に
よる体感時間は優に30分以上に感じられる…
だが更に辛かったのはその後であった!!
効いてないような麻酔でも当然効いていて、醒める
頃になるとジワジワと新たな痛みが現れる…
単に皮膚の直下のウミを流し出しただけの、簡易的
な手術のはずだが、痛みは半端じゃなかった!!!!

しかもその日の夜からシャワーを(それも手術後の
患部にも当てる
のだ!!)翌日からは浴槽への入浴を
推奨されているのだ!!
なんでもそうする事によって治癒は早まるとか
らしいのだ…

どうにもならない痛みが続く…
いやこんな状態なら、むしろウミがたまっていた
手術前の方がまだ楽だったような気がする!!
一体どんな事をしたんだ、あのセンセイはっ!!?

患部は肛門より数センチ脇の、尻の割れ目に隠れる、
ちょうど自分からは死角になっている場所だった。
僕は姿見の前でM字開脚をして、その手術の
跡がどんなもんなんだか見てみた。


M字開脚



そう!!
見なきゃ良かったと思った時には遅かった…

子供の頃転んでひざをすりむいた経験は誰にでも
あるだろう。
そしてそれ自体は大して痛くなかったはずなのに、
傷から血が流れ出るのを見た瞬間、とめどなく
痛みが溢れて来た経験を皆さんはお持ちじゃない
だろうか?
人って、実際に感じる痛みよりも視覚情報として
入ってくる痛みの方が、時として物凄く強かったり
する…………


僕の尻の割れ目の間の、ウミが溜まって膨らんだ
皮膚に、パチンコの玉がちょうど通るくらいの穴
開けられていたのだっっっ!!!!
皮膚の厚みは4ミリくらい。パチンコ玉大の丸い
穴からは、皮膚の下の組織のピンク色の下地
ウミ越しにうっすらと見える…
溢れ出たウミは、やや褐色混じりの精子
濃い
タン
のようなドロドロ状だ…


パチンコ玉手術




その夜僕が、その患部にどうしてもシャワーを
当てる事が出来なかったのは言うまでもない。


だがこの簡易的手術のおよそ10日後に受ける、本格
的な手術の後に更におぞましい状況
見る事になろうとはっ!!!!

医者って、他人の傷を見ても「うぁ痛そう…」とか
感じたりしないのだろうか?と、つくづく思わされる
僕だった…



つづく