実は僕は少し気持ち悪くなっていた。
元々そんなに酒に強くない僕ではあるが、『適量』を
よく知っているつもりではいる。
しかも普段より飲んでいないはずなのにだっ!!!
それどころかちょっとヤバ目の状況だっ!!
鉄板の上のもんじゃ焼きは、まるでゲロのように見える…
とは言えさほど多く残ってもいなかったので、残りはQに
食べてもらって出る事にした。
それほど飲んだ訳でもないのに、僕は吐きそうだった。
如何に相手がQとは言え、そんな醜態は出来るなら
見せたくはない。
だが逆に、人が見ている前で気持ち悪そうな素振りを
見せたくない、と言うプレッシャーが加わって、更に
気持ち悪くなっている悪循環にはまっていた。
にも関わらずQは面白くも何ともない話題を、ベラベラと
話し続けている。
全く『才色兼備』と言う言葉があるが、『才』も
『色』もかなぐり捨てた、いさぎよささえある。
(余談だが僕は『読書量が多そうな女』もしくは
『本当にバカそうな女』が好みなんですが…)
しかし元来の僕の性格が、それに当たり障りのない
コメントをさせる…
するとQはちょっとふざけて「ヤンっ!!」などと
甲高い声を上げながら、僕の腕に腕を絡めてきた!!!
そしてQにとって唯一無二の長所であるとも言える
Fカップで、まるでパイズリするが如く、
僕の二の腕を挟み込んでいる!!
うわっ!!
腕に伝わる感触は正にボインならではのもので、Aカップ
だった前の彼女からはまず感じられなかった、懐かしくもある
重みを伴った弾力感であった。
そして巨乳好きと言うのが、実に『心の病』だと思う
ところは、こんな状況でも、正直「誘惑に
乗っちゃっても良いかな?」と思えてしまう
ところでもある。
だがそれ以上にQはQなりに、自分の『一番』を把握し、
その『一番』を僕にぶつけてきている事に、敬服した。
それは料理上手な女が、得意料理をぶつけてくるようなものだ。
若い頃の僕だったらここで行ったに違いあるまい!!
(なるべく暗くて何も見えないような状況にして…)
しかし30を過ぎてからと言うもの、それもちょっと変わった。
10~20代の頃というものは、欲情した瞬間に
『その女とのSEXシーン』を思い浮かべていた。
だが30を過ぎた頃から僕は、SEXシーンではなく超リアルな
『SEXが終わった後のシーン』ばかりを思い浮かべる
ようになっていたのだった…
それは射精して布団の中にグッタリと横たわる自分に、寄り添って
裸で寝る女を、見つめる自分がどんな気分であるかだ。
ザーメンを出し、頭がスッキリするとどんな男でも紳士になれる。
風俗に行って散々サービスを受け射精した後、風俗嬢に
「こんな仕事していちゃダメだよ」と説教垂れるバカ男もしかり。
精子を出しスッキリした後に「何故俺はこんな女とこんなにまで
やりたかったのだろうか?」と自問自答し、自分を恨む自分のシーン
ばかりが見えてくるのだ。
それは、それに対する悔恨の情を抱かせた実体験より由来する
ものであったとも言える…
この瞬間、血中アルコール濃度の極めて高い僕の脳内に唯一
働いた理性的な思考がそれであった…
だが更に恐るべき事は、Qが僕の二の腕をパイズる圧迫で、
ややもすれば嘔吐を誘発する危険性が高く、それどころでは
なかったのも大きく幸いした!!
Qも僕も歩いて帰れる範囲にあり(僕は数キロ歩くが)途中の
コンビニでアクエリアスを買うと、Qと別れた。
Qは別れ際に社交辞令的な会釈をしたが、その会釈の意味までは
僕には読めなかった。
いやシラフでクリアな脳だとしても解らないだろう。
僕がQにとって
『ここまでの色仕掛けでなびかなかった硬派な紳士』
だったのか
『ここまで色仕掛けしたにも関わらず来なかった
口だけの奥手インポ野郎』
だったのか。
アクエリアスを飲みがらダラダラ歩く。
今の自分はQから解放され、人の目を気にせず気持ち悪くなったり、
吐く自由があると再確認すると、不思議と飲み足りない気分に
なってきた!
むろんQと別れて何十分も経っていないのに、気持ち悪さは
スッと抜けていた。
近所に住んでいる友人の内の誰かを捕まえたかった。
某駅まですぐに来れそうな友人に電話すると幸いにも
二人目で捕まった!!
僕は魚民で待っている事を告げると電話を切った。
たぶん終わり