クゥの憂鬱
みなさん、こんにちは。
アタクシ、クゥと申します。
まっくろくろすけではありません。
御年19歳。ニンゲンでいえば92歳を越えているそうですが
こんな老齢になっても毎夏、毎冬、うんざりする時期がございます。
そう、あのスコ猫くまきちが、この夏もまた、やってきたのです。
1年前までは、母猫トムがアタクシといっしょに暮らしていました。
ワガママではありましが、気の強いところが何よりの取り柄で
くまきちなんかに動じることのない母がいてくれて、どんなに心強かったことでしょう。
そのトム母さんが虹の橋を渡り、この家からいなくなってからというもの
アタクシはすっかり生きる気力も食欲も失い、
一時はかなり痩せてしまって、ボケっぽい症状が現れもし、
このまま老いさらばえていくのかと、ぷれこ母をずいぶん心配させたものでした。
でも、この春あたりからようやく元気を取り戻し、アタクシ・クゥは猫主としてトム母さんの跡を継ぎ、
この家を切り盛りしていかねばならないと決意したのでございます。
それなのにアタクシ、なぜ、こんなところにいるのでしょう
ここは勝手口の土間。
アタクシのトイレが置いてあるのですが、トイレを済ませてベッドへ戻ろうとしたら
目の前にくまきちがいるのです。
アタクシ、動けません。
だって、くまきちったらデカイ顔して、見るからにズーズーしいんですもの。
前足をきちんとそろえたこのポーズでもおわかりでしょうが
アタクシは気の強い母トムの庇護のもと
生まれて18年間ずっと箱入り娘
だったのです。
男だって知りません。
トム母さんを狙って、毎日のように現れる雄猫たちを追い払うことだけが
アタクシの仕事であり、生きがいでありました。
ところが、このくまきちはどんなにフーッと言って威嚇しても
猫パンチを繰り出しても、へいちゃらな顔で家に居すわります。
たとえそれが1週間ほどの短い期間であったとしても
アタクシには耐えられないのです。
たとえば、アタクシはお風呂場に置かれた洗面器の水を飲むのが大好きなのですが……
アタクシが行く先々に、くまきちは現れ、邪魔をするのです。
「お風呂の水飲むのが好き」ですって?
そもそも毎年ここで、アタクシやトム母さんが水を飲んでいるのを
そっくりそのままマネしたのはダレなのよ!!
常に、一触即発の危機なのです。
アタクシだって往時は4キロ越えのデカ目の雌猫でした。
でも、寄る年波か最近では3キロ台の小柄な猫になってしまいました。
もう少し体が大きければ
くまきちなんて、一撃のもとに………
いっときは、くまきちに心を許したこともあったんじゃないかって?
そんなの、ぷれこさんの作り話
にきまってるじゃないですかっ
くまきちなんか連れてこなきゃいいのに。
ホントにもう![]()
さんざん考えた挙句、アタクシ、この家を出ていくことにしました。
くまきちがこの家にいる限り、アタクシは帰ってこない覚悟です。
では、みなさん、ごきげんよう。
(←ぷれこ) こうしてクゥは、わたしとくまきちの帰省初日の夜、
外へ出ていったきり朝になっても帰ってきませんでした。
ところが、クゥの悩みの種・くまきちはのんきなものです。
ダメだ……。全然、自覚なし








