わたしがマンションを買った理由④ | スコ猫くまきち日和+

わたしがマンションを買った理由④

結婚か仕事か
                             →前回まで
当時、私は五歳年下の人と付き合ってもいました。
彼はまだ学生でした。結婚なんて、考えも及ばないという感じでした。
でも、そこが私にはよかったような気がします。
結婚の匂いを発する同年代の男たちよりも、
何も考えていない五歳下の彼のほうが、魅力的に見えていました。
時々は結婚を匂わす男性ともちょっと付き合ったりと、フラフラしながらも、
私は、五歳下の彼との付き合いを続けていました。
エリートくんたちは、やはり、まず、自分の仕事を最優先しています。
そのなかの誰かと、もし結婚したら、自分の仕事に対してまだ、
気持ちがフラフラしている私は、夫の仕事と生活に合わせて
自分の生活を変えなくてはいけないだろうと感じていました。
それが、とても嫌だったんです。
実際、その後、次々に結婚していった男友達たちの奥さんは
皆、専業主婦になりました。
私たちの世代は、まだまだ、そんなものでした。
結婚か、仕事か。
三十歳を前にその選択をしなくてはならないと、
無言の圧力をかけられている感じがして、それが私は嫌でした。
自分の生活は自分で何とかするのよと思っていました。
だから、辛い仕事も頑張れたような気がします。
ご褒美は、買い物でした。

雑誌の仕事に戻って、ある程度稼げるようになると、
まず、引っ越しを考えました。
できれば、麻布十番周辺にそのまま住んでいたかった。
でも、今度はお風呂付きと思うと、家賃はかなり高くなりました。
いろいろ物件を観ているうちに三軒茶屋の新築アパートがみつかりました。
十二畳ワンルームで冷暖房付き。
当時、流行り始めたブラインドも、立派なクーゼットもついていました。
おまけに、出始めたばかりの外国製の体面式のキッチン!
私は一目で気に入りました。
それでも、十番のおんぼろアパートを離れる時は、複雑な気分でした。
ゼロから出発した、私の原点のような気がしていたからです。

バンを借りて、母とふたりで引っ越しをしましたが、
出ていく時に強く心に思いました。
いつか、またきっと、ここに戻ってくると--。
29歳の春でした。

                                  BlogTopへ

人気blogランキング