私は幼少の頃、学園を自分の庭だと勘違いして、
放課後になると、冒険に度々出かけた。
ある時は文学部で迷路のような校舎の裏から友だちの家へ、
ある時は弓道部から森へ入りカエルの卵を持ち帰り自宅の池へ放ち、
農学部の豚を叩き、山頂のブランコで空を飛び、アケビを食べた。
膝下はかさぶたが渇くことはなく、太ももは擦り剝け続けていた。
冒険は私にとって「ワクワクドキドキの楽しいこと」
予定を立てずに旅行に行って、現地で携帯電話をホテルに置き、
これから何が起きるのか、どんな出会いがあるのか楽しんだ。
知らないお爺ちゃんの話を聞かされたり、おばちゃんと踊ったり、
外国人と乾杯し過ぎてぶっ倒れて、病院に担ぎ込まれたり。
冒険はワクワクドキドキ楽しいものだが、見えないものを怖がる人もいる。
誰も明日のことは分からない。1か月先のことも、1年先のことも。
答えが解っている、決められた未来、そんな人生は楽しくない。
草木をかき分けて、まだ見たことのない世界を見つけに行くこと。
その先に何があるのかを見てみたい。その世界に達してみたい。
その喜びを多くの人に伝えたいと思うけれど、
多くの人はアスファルトの道を快適に進みたいようだ。
その道は、誰かが通った道だ。誰かが作った道だ。
栄光をつかみたいなら、道なき道を進むしかない。
人が作った道でも、人が通った道でもない、
道なき道とは、自分自身の人生だ。
冒険に出るには準備が必要だ。
体は健康か、知識は得たか、仲間はいるか、
道具は持ったか、明かりはあるか、食料はあるか。
明日始まるかもしれない新たな冒険のために準備はできているか。
慌てふためいて、折角の機会を逃してはいけない。