05
次に我に返った時には、もう教室だった
担任不在の生徒だけの教室を
ゆっくりと見渡してみた
殆どの女子が泣いていた
肩を抱き合って泣いている者も居れば
机に伏せて声を殺して泣いている者も居る
毎日のようにつるんでいた男子達も
巧輔の席の周りに集まり静かに泣いていた
いつも次のターゲットを決めて
ハブる事に生き甲斐を感じているリーダー格の馬鹿女も泣いていた
こんな奴でも他人の事で泣くのな。
あたしはこの時、不思議と冷静だった
いつものつまらない教室が一変した月曜日
いつもと違う風景に戸惑っていたからだろうか
それとも、まだ現実として受け入れられていないからなのか
あたしは目に入ったモノから順に分析し、どうでもいい事を考え続けていた。
その日は授業は一切行われなかった
教室で、ただただ現実を受け止める為の時間を過ごす
クラスメイト一人ひとりが自分自身の心と戦っていた
でもあたしはそれすら出来ないでいた。
ガラガラッ
生徒だけの教室に、担任が他の教師に支えられながら入ってきた
担任は憔悴しきっていた
こいつは何を語るつもりなのだろう?
そう思いながら、黙ってその姿を眺めていた
『あの時こうしていれば・・・』
嗚咽しながら語る担任はまともに話が出来る状態では無かった
そして最後は巧輔の名前を叫びながら泣き崩れていた
それに荷担するように周りに居たクラスメイトの泣き声も一段と大きくなった
数人の女子が泣き崩れる担任に近寄り、泣いていた。
何コレ?
なんて安っぽい寸劇を見せられているんだろう。
巧輔を殺したの、お前じゃん
完全に冷えきった頭が
本来は悲しみになるはずの感情を
間違って全て憎しみに変換してしまったのか
あたしはその光景を目の当たりにしても
涙など一滴も零れなかった。
その代わりに、泣き崩れる担任を睨みつけ
その周りに集まる女子の顔を一人ずつ記憶していた。
担任不在の生徒だけの教室を
ゆっくりと見渡してみた
殆どの女子が泣いていた
肩を抱き合って泣いている者も居れば
机に伏せて声を殺して泣いている者も居る
毎日のようにつるんでいた男子達も
巧輔の席の周りに集まり静かに泣いていた
いつも次のターゲットを決めて
ハブる事に生き甲斐を感じているリーダー格の馬鹿女も泣いていた
こんな奴でも他人の事で泣くのな。
あたしはこの時、不思議と冷静だった
いつものつまらない教室が一変した月曜日
いつもと違う風景に戸惑っていたからだろうか
それとも、まだ現実として受け入れられていないからなのか
あたしは目に入ったモノから順に分析し、どうでもいい事を考え続けていた。
その日は授業は一切行われなかった
教室で、ただただ現実を受け止める為の時間を過ごす
クラスメイト一人ひとりが自分自身の心と戦っていた
でもあたしはそれすら出来ないでいた。
ガラガラッ
生徒だけの教室に、担任が他の教師に支えられながら入ってきた
担任は憔悴しきっていた
こいつは何を語るつもりなのだろう?
そう思いながら、黙ってその姿を眺めていた
『あの時こうしていれば・・・』
嗚咽しながら語る担任はまともに話が出来る状態では無かった
そして最後は巧輔の名前を叫びながら泣き崩れていた
それに荷担するように周りに居たクラスメイトの泣き声も一段と大きくなった
数人の女子が泣き崩れる担任に近寄り、泣いていた。
何コレ?
なんて安っぽい寸劇を見せられているんだろう。
巧輔を殺したの、お前じゃん
完全に冷えきった頭が
本来は悲しみになるはずの感情を
間違って全て憎しみに変換してしまったのか
あたしはその光景を目の当たりにしても
涙など一滴も零れなかった。
その代わりに、泣き崩れる担任を睨みつけ
その周りに集まる女子の顔を一人ずつ記憶していた。