周りの人が手にした新札を見て「あぁ、流通しているんだな」と思うのですが、いつになっても私のところには新札が来ません。今日も職員さんに新札を見せつけられて「よかったら両替しますよ」と言われました。いつかは新札に切り替わるのだから、時の流れにまかせていますが、いつになったら新札を手にできるのでしょうか。新500円玉も遅かった気がします。つくづくお金に縁が無いなと感じています。

 

シナバー(Cinnabar)について

 

 

既成概念にとらわれないひらめきで、富を呼び込む

【和名:辰砂】 シナバー Cinnabar

【原産国】 中国、スペイン、日本

【結晶系】 六方晶系(三方晶系)

【硬度】 2~2.5

【成分】 HgS

【星座】 獅子座 【天体】 木星 【数秘】 3

【効果的な使い方】 原石、ブレスレット、印材

【処理の有無】 特になし

【取り扱いの注意】 水分・太陽光に弱い。もろく割れやすい。熱すると有害。

 

【石のいわれ】

絵具として壁画で使われていた

水銀の原料や赤色顔料として用いられた硫化鉱物。語源はギリシャ語で「kinnabaris(赤い絵の具)」、ペルシャ語やアラビア語では「竜の血」と、いずれも鮮やかな赤を意味し、西洋では「バーミリオン」という朱色の画材の原料です。血液を連想させるような真っ赤な色をしているため、「ドラゴンブラッド」とも呼ばれています。有史以前から、中国では顔料の他にも様々な使用法がなされ、古代ギリシャでもディオスコリデスが、「非常に僅少なために、画家が描線に彩りを添えるにも足りないほどである。」と叙述しています。日本でも邪馬台国の時代から使用され、弥生時代の壁画にも利用されていました。和名の「辰砂」は産地である中国の辰州(現在の湖南省)に由来。中国では純度の高い美しい朱色を「丹」と呼び、死からの再生を願い、死者に朱で化粧を施し、邪気が付かないようにしたと言われています。日本では銀を産する土地に丹生という地名が残ります。高温で加熱すると亜硫酸ガスと水銀に分離され、水銀の原料となるため有害というイメージがありますが、常温では毒性はありません。

古くは目薬として用いられ、また、収れん作用も強く止血効果もあるとされ、火傷の治療にも使用されたと言われています。

【石の特徴・効能】

創造力を高め、ビジネスを成功に導く

この石は「商人の石」とも呼ばれ、ビジネスを成功に導き、富と栄光を呼び込むといわれています。思考を柔軟にし、創造力や直感力を高めるので、新しいアイデアやビジョンを得る助けとなります。この石は、変容と癒しの力も宿しています。チャクラのバランスをとり、恐れや怒りといった感情を手放せるよう導いてくれるでしょう。大一番で緊張してしまい、実力を出せないと悩んでいる方などは、シナバーを持って予行演習してみることをおすすめします。

気品と優雅さを強調する鉱物とされ、金運を高めて財力を強め、物事を順調に遂行して成功に導く力があるとされています。

二面性を持つ薬石

主要成分である水銀は、常温、常圧で液体となる地球上唯一の金属で、古代の錬金術師たちは黄金を産み出す「賢者の石」と呼んでいました。中国では再生を司る不老不死の妙薬とされ、皇帝たちが漢方薬として常用しましたが、みな短命でした。

ここで重要なのが、この石の二面性です。「水」なのに「銀」。「不老不死の薬」なのに「猛毒」。禍々しい見た目も好き嫌いが分かれ、そのパワーも捉えどころがありません。でも、それがこの石の魅力。ひとたび付き合い方がわかるととても心強い味方で、金運と仕事運を高め、持ち主を成功に導きます。社交性を高め、積極的に自分をアピールする力があるので、引っ込み思案な人には有効です。健康維持にも効果的に作用します。

【豆知識】

水銀を含むシナバーは、真言宗の開祖、空海と関わり深い石です。空海が高野山を開山したのは、シナバーの採掘を担う一族の神、丹生都姫(にうつひめ)から、高野山を譲り受けたためだとされます。

不老不死の秘薬の原料とされた赤い石

辰砂から作られた不老不死の秘薬とは

神仙思想は不老不死の仙人になることを理想とした思想で、中国では紀元前の時代から大いに流行していました。こうした思想の持ち主にとって辰砂はほかのなににもまして貴重な石でした。辰砂をそのほかの物質と調合し、さまざまな方法で加工することで不老不死の秘薬が完成すると信じられていたからです。

最初に断っておきますが、これはかなり危ない考え方だと思います。

辰砂はまたの名を丹砂といいます。丹とは朱色のことで、辰砂は、そのままの状態では朱色をしており、昔からずっと朱墨や赤絵の具の原料として利用されてきた石です。また、その成分は硫黄と水銀であり、水銀の主要な原料としても有名です。こんなものを飲んで身体にいいとは思えません。しかし、伝説ではその薬を飲んで不老不死の仙人になった人がかなりいると伝えられています。

秘薬を飲んで仙人となった李少君の伝説

漢代の人といわれている李少君はそんな仙人のなかでも特に有名な一人です。

辰砂を加工して作られた不老不死の秘薬は丹、丹薬、神丹などと呼ばれ、加工の技術を煉丹といいます。この技術を世界で初めて確立し、煉丹術の始祖とされているのがこの李少君なのです。

伝説によると李少君は斉の生まれで、海岸地帯を旅行していたとき安期生という神仙に会い、煉丹術を授けられました。だとしたら煉丹術は安期生に始まったことになりますが、おそらくそれは発展途上のもので完成させたのは李少君だということかもしれません。

その後、李少君は漢の武帝に仕えて大いに寵愛されましたが、そのころこんなことがありました。

ある宴会の席で90歳を超える老人を見つけた李少君はつかつかと歩み寄り、「わたしはあなたの祖父と一緒に弓矢の遊びをしたことがあります。そのとき一人の子供がその祖父に連れられていました。だからあなたに見覚えがあるのです」と言い出しました。

もし本当だとすれば李少君はゆうに100歳を超していなければならないはずですが、彼はどう見ても50歳くらいにしか見えず、顔も肌も若々しかったので、これには誰もが驚きました。

また、武帝が所属していた古い銅器を見たときのことでした。李少君はその銅器を眺め回し、「斉の桓公が日ごろこの銅器を居室に置いておられたのを見たことがあります」と言いました。

桓公といえば武帝より500年も昔の人ですから、普通なら李少君がそれを見るなど考えられないことです。しかし、武帝が銅器に刻まれた刻字を見ると本当に斉の故物でした。こうして、李少君はすでに数百歳の人だとわかりました。

とはいえ、このころの李少君はまだ煉丹術を完成させておらず、完全な仙人になっていたわけではありませんでした。にもかかわらず、すでに数百歳の寿命を得ていたのは、おそらく実験段階の丹薬を服用していたからと考えられます。

やがて煉丹術を完成させた李少君はそのことを武帝にも告げず、病気と称して屋敷に引きこもるとそれから間もなくして死んでしまいました。

不老不死の人間が死ぬというのは奇妙ですが、これは仙人になるためのひとつのパターンでした。事実、納棺するときになると李少君の身体はどこへともなく忽然と消えてしまい、後にはセミの抜け殻のように衣服だけが残っていました。これを知った武帝は不老不死の方法を熱心に追及しなかったことを大いに後悔しました。

ところで、仙人になった李少君がどうなったかといいますと、この場合は天界へ昇り神に近い仙人すなわち神仙になったと考えていいでしょう。神仙というのは仙人のなかでも地位の高い存在で、一般的なイメージでは霞を食べて生きているような人です。身体は軽く、ふわふわと漂うようで、五色の雲に乗ってどこへでも出現する、まさに神のごとき仙人であります。

しかし、天界に昇ってしまったのでは地上の喜びを得ることができず、不老長寿を手に入れた意味がないと考える人もいるかもしれません。そういう場合は無理をして神仙にならず、地上に残ったまま不老長寿を手に入れる地仙になるという方法もあります。身体が地上にあればいろいろと好きなこともできます。どういうタイプを選ぶかは本人の好みで、丹薬の種類や服用方法によっていろいろなタイプを選ぶことができるようであります。

人体改造に影響を及ぼす丹薬の霊妙な変化

ここで、不老長寿の薬としてなぜ辰砂が重要視されたかという考え方の基本を紹介しておきます。

それは辰砂に水銀が含まれているということと関係があります。先述したように辰砂は硫黄と水銀の化合物で硫化水銀という物質です。この辰砂を焼くと水銀が蒸発し、蒸発したものを冷やすと水銀が抽出できます。この水銀には変幻自在な性質があります。というのは、水銀は塩と一緒に焼くと塩化水銀という白い粉になりますし、また酸化すると赤や黄の酸化水銀になります。ところが、これらの物質をさらに焼くとそこからふたたび純粋な水銀を取り出すことができるのです。つまり、水銀というのはさまざまな形に変化することが可能であるうえ、なおかついつでももとの水銀に戻ることができる物質なのです。

このような変幻自在な物質を人間が服用したらどうなるでしょう。物質の性質がそのまま人間に乗り移り、人間もまた変幻自在な性質を手に入れることができるに違いないでしょう。人間は生まれたときから年月とともに歳を取り、髪は白くなり、顔はしわくちゃになり、腰も曲がってしまいますが、水銀から作られた丹薬を飲めば、水銀と同じようにもとの若さを取り戻すことができます。また、死んだ後に新しい人生を始めることもできるはずと考えられたのです。

このような考え方は昔の魔術的な思考の基本といってよいでしょう。ほとんどすべての宝石がかつて薬として利用されたのもこのためです。ダイヤモンドが不変の愛の象徴になるのは、物質のなかで最も硬く、不変の性質を持つからです。真っ赤なルビーが、血の色をしているからという理由で、血止めの薬になると考えられたのも同じであります。

不老不死の薬には辰砂から作られた丹薬のほかに黄金から作られた金液があるといわれますが、黄金が不老不死の薬になる理由もこのように考えれば簡単に理解できるでしょう。黄金は永遠に錆びない不変の物質だからです。

では、変幻自在な丹薬と永遠不変の金液ではどちらが優れているかというと、神仙思想では丹薬のほうが優れたものとみなされています。たとえ不老長寿になったとしても、老人の身体で永遠に不変なのでは面白くないと考えたからでしょう。それよりは、歳を取っても若返り、死んでも生まれ変われるという変幻自在さのほうが優れているのは確かです。

このように変幻自在な性質を持つ水銀は、ヨーロッパの錬金術においても重要な物質とされています。その意味で辰砂はあらゆる石のなかで、最も神秘的な石といっていいかもしれません。

【相性の良い石】

 

ブラックトルマリン 大地とつながり、感情をコントロールし精神を安定させる。

 

ガーネット 忍耐力、思考力を高め、物質的・金銭的な欲望を抑制する。

 

フェナカイト 物事への不必要な執着を和らげ、新たな感性や表現力を磨く。

 

【同じグループの石】

 

シナバーインクォーツ