このあたりの手術は形成外科医としてのキャリアが大いに活きます。組織をはがしたり、切除したり、持ち上げたところで縫い付けたりしますので、自然かつ大きな効果を得ようとすると皮弁(残る組織)の血流状態が悪化する場合があります。ちょっとした知識と工夫を知っていればなにも恐ろしいことはないのですが、知らないと組織が壊死してしまう場合もあります。
私が育った東邦大学形成外科は元々皮弁で名を馳せており、そこで形成外科医としての一時期を過ごせたことを今更ながらありがたく思います。
皮弁という言葉は一般の方には知る必要のない言葉ですが、組織に栄養となる血液がないと死んで壊死してしまう、ということは知っておくべき情報です。組織には各部位に応じてangiosome(血行支配領域)というものがあり、この領域を超えて無茶な剥離をすれば先端が壊死に陥ったりするのです。
美容医療においてこの感覚を持って手術をしないと予期せぬトラブルを引き起こします。特に他院修正手術では本来あるはずの血管がなかったりすることもざらにあります。
手術を受ける側の患者さんたちは知らないだけに修正を行う際に患者さんに聞くこともできません。慎重に安全にしっかり効果を出す、当たり前のことがやりづらいということが修正手術が難易度が高い理由なのです。
明日は東京でココロオドル打ち合わせがあります。
美容医療には医療の側面とアートな側面とがありますが、アートな部分では自身の感性を存分に開かせるために楽しんで仕事をする必要があるように思います^ ^
美容外科医のノート
おしまい