カラダをのばすとココロがゆるむ ~ シンガポールで YOGA ヨガをしながら考えた-現代人のためのヨーガ・スートラ


現代人のためのヨーガ・スートラ (GAIA BOOKS)




先日の、入院日記で書いたとおり、

退院直前のころ、暇を持て余していたわたしは、

買いだめしていた本を読破していました。


そのうちの一冊がこれ。


まず、目次の内容、

それから、

どうしてこの本が、他の「ヨーガ・スートラ」本と比べて、凄いのかを

3点にまとめてレポートします。



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■目次■


献辞

祈り

監訳者まえがき

PREFACE

ヨーガ・スートラとヴィンヤサ・システムはコインの裏表である


日本語版付録 1: ヨーガ・スートラの195章句

日本語版付録 2: サーンキヤ哲学における25の原理


序章 ヨーガの歴史と系譜

     4つの時代/現題の実践者にとって4つの時代の持つ意味/退行あるいは進化


ヨーガ・スートラ


第1章 サマーディ

第2章 実践

第3章 超自然力

第4章 独尊


用語解説

ヨーガの師と聖仙の紹介

参考文献


日本語版付録 3: 「ヨーガ・スートラ」関連文献を本書の特徴

索引


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理由その1


"現代人のための"と銘打ってあるように、

具体例が豊富で、わかりやすい。


ともすれば、哲学的な、理論上の話で終わりがちな内容である

「ヨーガ・スートラ」を多くの身近な例にひきつけて解説してあるため、

従来の翻訳や解説本よりも、理解しやすい。


また、日本語の訳語も、通常は仏教用語をつかうことが多く、

一般人にはわかりづらいものがほとんど。


それに対して、この本では、普通の用語に翻訳してあるところも、

従来の翻訳に比べて、わかりやすさが増しています。




理由その2


「ヨーガ・スートラ」は、ハッキリ言って、かなり難解。


ひと通り各スートラの翻訳を読んだだけでは、

サンスクリット語の詩句があまりに簡潔なため、

また内容が、悟りを開いていない一般人には、想像するのも難しいためです。


なので、伝統的に、パタンジャリの原本と並行して、

注釈書を参照しながら、

学んでいくものとされています。


中でも有名なのは、ヴィヤーサの注釈書で、

この本に対する注釈書も出るほど。



監訳者の伊藤雅之氏が、付録3で述べているように、


「注釈書の大半を参照しつつ自身の解釈を展開」


している点が、秀逸。



「ヨーガ・スートラ」はサーンキヤ哲学に基づいていますが、

サーンキヤ学派  だけでなく、

ヴェーダーンタ学派  の視点をも、比較参照しているところも、

新しい視点が得られて、考えを深めるのに役立ちます。




理由その3


あくまで、個人的な話ですが・・・・・


この本を読んで初めて、なぜヨーガの修行を深めていくことが

「退行」といわれる場合があるのか、やっと合点がいきました。


「ヨーガ・スートラ」の本を買ったのは、これで9冊目。


今まで読んだ英語の訳だと、Involution が「退行」にあたり、

反対語の Evolution 「進化」 の間違いではないの???


と混乱していたわたし。


著者のグレゴール・メーレは、そのあたりを明解に説明して、

わたしの疑問を晴らしてくれました。


ごくごく簡単にいえば、ヨーガの世界観における進化とは、

プラクリティという宇宙の根本原質=微細なものから、粗雑なものへと進むこと。


つまり、プラクリティから、もっと具現的なものへ。

(知性、自我意識、マインド、感覚・身体器官や5大元素など)


この進化の過程は、意識(プルシャ)・気づきを失いつつ進むということ。


ゆえに、この動きを内へ上へと逆転することが、

「退行」と呼ばれることになるのだそうです!


この明快な解説に、

目からうろこでした。


具体的には、


「地、水、火、風、空のチャクラを通して内へ上へと進み、

自我をを知性へ、

知性を根源であるプラクリティ(自然)へと再び吸収するのである。


そうすれば、自由と歓喜の状態である、

意識と気づきという本来の状態の中にとどまることになるのだ」


(本著の序章、p10 より引用)


「ヨーガ・スートラ」は、翻訳や解説本でも難解なことが多く、

ともすると理論の糸にからめ取られてしまって、

頭が混乱しがちです。


その点、「現代人のためのヨーガ・スートラ」は、

その名のとおり、

現代に生きる、凡人・一般人のわたし達に向けて書かれた本だといえます。


「ヨーガ・スートラ」と付き合っていく上での、

基本的なものの見方が、押さえられる一冊として、

ヨーガ哲学に興味のある方には、

自信を持って、強くお勧めします。



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