経済学者のムハマド・ユヌス 氏は、アメリカ留学から帰国した後に、マイクロクレジットという小額の貸付を、、故郷のバングラディッシュで始め、その活動・社会ビジネスが、いまや世界に広がり、2006年にノーベル平和賞を受賞した人です。


マイクロクレジットは何か? それは、通常の大きな銀行が見向きもしないような貧しい人々に、小額を貸し付けることで、スモール・ビジネスの起業を助け、地域の活性化、ひいては貧困撲滅に貢献するようなビジネスモデルです。


彼の自伝を呼んで感銘を受けた点は、色々ありますが、中でも印象深いのは、困っている人のために働くこととビジネスの両立です。


留学できるような勉学のある「エリート」である彼が、学んだ経済学の知識を自分の富を増やすことに使うのではなく、あえて助けを必要とする貧しい人が多くいる自分の故郷にもどり、グラミン(農民)銀行を設立します。


そこでユヌス氏は発想の転換をし、当時は学問もない貧しい人に、お金を貸しても意味がないと思われていた間違った”常識”をくつがえし、ただ貧者を「援助」するのではなく、本人が力をつけていけるような画期的な方法を、ビジネスとしても成り立つ形で、成長させたのです。


近年のサブプライム問題を引きおこした一部の私腹を肥やすことしか頭にない人たちとは、大違いです。


本日4月24日付けの「ストレーツ・タイムズ」に、グラミン銀行初の先進国の支店であるニューヨーク支店の業績について、記事が出ていました。


それによると、初年度の貸付は150万米ドルで、1口当り、数百ドルから数千ドルを、およそ600人の女性に貸し付けたそうです。そのほとんどが貧困層、またはクレジットカード会社のブラックリストに載っていて、一般銀行から融資を受けられない人たち。


貧困撲滅と聞くと、発展途上国の遠い国の話しと考えがちですが、実は先進国の内部にも貧困格差や世代間所得格差は広がっているので、マイクロクレジットは、もしかしたら日本でも、今後ますます有効になってくるのではないでしょうか?



「貧者の銀行家」ムハマド・ユヌス ソーシャルビジネスと資本主義の未来を語る

日本語字幕つき映像  


3月に来日した時の、講演の

映像(こちらは英語のみ)  ムハマド・ユヌス グラミン銀行総裁 会見 映像  





ユヌス氏、ノーベル平和賞受賞後の最新刊がこちら


貧困のない世界を創る


カラダをのばすとココロがゆるむ ~ シンガポールで YOGA ヨガをしながら考えた-貧困のない世界を創る

自伝ですが、どのように社会起業(ソーシャル・ビジネス)を起こしていったのか、という観点から読んでも大変興味深いです。


ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家


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