もう10日前なので、少々古い話題になりますが、

茶道について、素晴らしいお話を聞く機会があったので

ここでご披露したいと思います。


裏千家前家元の 千玄室さんがシンガポールにいらして、講演会がありました。

タイトルは、「茶の心― 一碗からピースフルネスを」。


シンガポール国立大学での講演ですから、

英語の通訳付。


ステージには畳と床の間をしつらえて、

和室の空間を創りだしてあります。


公演のあとに実際にお点前のデモンストレーションがあったためですが、

日本に行ったことも無い人にとっては、

和室の空間とお茶の世界が切っても切れない関係にあるということが

目に見える形で理解できたのではと思います。


この茶室が、陰陽五行思想に影響されているということを

この講演で初めて知りました。


たとえば、主人がお手前をするときに

「陽」の手である右手がわに、「陰」の要素である水差しがあり、

「陰」の手である左手がわに、「陽」の釜(炭)があるということ・・・・



そのほか、なかでも一番、私が興味深いとかんじたことは、

「型」と「形」についてのお話です。


茶道の世界では、ご存知のように一杯のお茶を点てるのに

色々な決まりごとがあり、その「型」=パターンを学ぶのにお稽古を続けます。


千氏いわく、

「型」に自分を入れることができるようになって、はじめて

「形になる」 = 一人前になる

ということができるそうです。


「型」は誰でもできるが

「形」になって、初めて心 (ハートやソウル) が入る、とも。


茶道の「道」は、自分の目標としての「道」であり、

茶道を通じて、心のあり方をコントロールできるようにもなるそうです。


自分のハートの在り方を知り、心の中を整理していくためにも

さらには、自分にとっても、周りの人にとっても、より良い生き方を見つけるためにも

茶道が有効とも、おっしゃっていました。



講演のタイトルからも分かるとおり、お話の主旨は


"心を込めて点てたお茶を、

一期一会の精神で、そこに居合わせた人々と分かち合うことが

心の平安、しいては争いのない平和な世界に結びつく”


ということかなと、自分なりに理解しましたが、

陰陽五行との関連、また「型」と「形」についての2点を

伺うことができて、お茶の世界って、奥深いものだなあ・・・と

しばし日本文化の底力を味わう午後のひと時でした。


たった一つの心残りは、

夕方遅くなってしまったため、

裏千家茶道のシンガポール支部の皆さんの点てたお茶とお菓子をいただけなかたっこと・・・

聞けば、京都からの特別注文の品だったらしいのですが、残念!