オッペンハイマーを観ました。

クリストファー・ノーラン監督の最新作は原爆の父と言われたロバート・オッペンハイマーを描いている。

3時間という長尺だが時間軸の構成を複雑に交錯させることで飽きさせないようになっている。

大きくはオッペンハマーの視点(カラー)とルイス・ストローズの視点(モノクロ)で分けて描かれ、オッペンハイマーの学生時代からマンハッタン計画で原爆開発を成功させるところまでの間に、その後ソ連のスパイ容疑をかけられたオッペンハイマーの聴聞会とストローズの公聴会の模様が挿入されていく。

オッペンハイマーは学生時代は物理学の実験が苦手で実験物理学から理論物理学へ進みブラックホールの存在を提唱していた。

第二次世界大戦に入りナチスが原爆開発をしているということでアメリカでも原爆開発するためマンハッタン計画の指揮をオッペンハイマーに依頼する。ロスアラモスに研究者と家族を集めるために一つの町を作る。

世界中から有名な物理学者を集めていたがアインシュタインを選ばなかった理由は量子力学に否定的な姿勢だったことだった。

ところがアインシュタインは作中に何回か出てきてオッペンハイマーに重要な言葉を投げかけます。

オッペンハイマーの周りには共産主義者がついて回ります。友人、愛人、妻、仕事仲間に共産主義に被れた人々が現れます。

オッペンハイマー自身は共産主義者では無くても、これだけ周りを固められればソ連のスパイ容疑がかかってもしょうがないかなと思ってしまいますが、アメリカはこのころ放射能より共産主義が怖かったのですね。

ニューメキシコでのトリニティ実験で世界初の原爆実験が成功し、そして広島と長崎に原爆が投下される。

原爆投下成功に喜ぶ研究仲間や家族だがオッペンハイマーは自分が生み出した破壊兵器が世界を変えてしまったことに恐怖していた。

「我は死なり、世界の破壊者なり」

現在は世界各国で核兵器を保有しており我々は核抑止力による「かりそめの平和」の中で生きている。

オッペンハイマーは核が存在する新世界を作り上げた男として語り継がれていくのだろう。