☆スターエクスプレス☆ 【馬小明】修杰楷 Shiou
「もしもできることなら、僕はドラマ《名揚四海》を最初からもう一度撮影したい。あの頃僕たちがやり遂げられなかったことを補って、全てを完璧にしたい。感動をより遠くへ伝えたい。」
— Shiou
修 杰楷(シュウ・ジエカイ)
ツァイユエシュン監督のドラマ《名揚四海》は、今も多くのファンがいて永遠の最愛作品として支持されている。
《名揚四海》で石頭という役を演じたジエカイは、「何もしなければ、今ここにいることはできないだろう。でも何かすれば、残念な気持ちがハッピーに、ハッピーな気持ちが残念な気持ちに変わるのかもしれない。未来に希望があるのは、どうなるのか先が見えないからだ!」と言っていた。
19歳の時に思いがけず芸能界に入った彼は、右も左も分からず対応できなかったが、演技指導を受けて実力派俳優に成長、異なる役への挑戦を続け、成熟した俳優人生を見せるようになった。
《名揚四海》、《戰神~MARS~》、《ザ・ホスピタル(白色巨塔)》の出演を経て、この《痞子英雄》ではツァイ監督との4度目の共作。誰よりもツァイ監督の撮影手法を理解している彼は、「家族のように親しくても、我慢できないときもある!」と笑った。「でも正しいことに徹底的にこだわりたい、という監督の気持ちがわかるので、結果を見れば要求が理屈ではなかったと、みんな納得できるんだ。」
《痞子英雄》でジエカイは、言葉が話せないが仲間の後ろに立って黙々と加勢する、謎に包まれた人物・小馬を演じている。
今回は、実生活では超親切でナイスなジエカイに、俳優としてのキャリアを語ってもらおう!
以下、インタビュー
インタビュアー:Ava(略してA)
シュウ・ジエカイ:Shiou(略してS)
A:最初のドラマ出演はツァイ監督の《名揚四海》で、主役を演じましたね。ツァイ監督との縁について教えてください。どういう経緯で芸能界に入って、俳優になったのですか?
S: 僕はある日MRTに乗っていて、ツァイ監督の妹さんに出会ったのです。ドラマ撮影に興味がありますかと彼女に聞かれて、電話番号を渡しました。どうせ詐欺だろうと思いつつ、男だからまぁいいかとも思った。もし連絡が来て、レッスンや写真撮影でお金を払えと要求されたら、二度と近づくもんかと思っていました。
でも思えがけないことに数日後には、ツァイ監督から実際に誘いがあり、会うことになりました。緊張、もちろん大緊張でした!
当時僕は19歳で、芸能界に入るなんて考えたことはありませんでした。CM撮影はもちろん、ドラマ出演の経験も全くのゼロでした。
《名揚四海》の撮影が始まると、ワンシーンを撮るのに10数回、20回とNGを出し、上手く演じることはできませんでした。毎朝起きて思ったことは、監督は今日で僕をクビにするだろう、早く他の人に代えて、僕を解放してほしいということ。
実は心の中で葛藤があって、自分が上手くやっていけるかどうか自信がありませんでした。
でも監督はとても優しくて、僕が完全に役になりきるよう、自分流の方法で役に生命を吹き込めるようになるまで待ってくれました。
《名揚四海》の撮影中盤になってから、やっと少しずつ演じることを受け入れて、演じることを愛すようになっていきました。
S:《名揚四海》です。ツァイ監督と一緒に仕事するようになって以来、この作品が一番印象に残っています。その理由? 一緒に頑張ってきたという感情。
ツァイ監督はその頃から、台湾ドラマを国際的なレベルにしたいという考えがあり、可能な限り現実の変化を受け入れて、出演者が束縛されない環境を作り、全力を尽くせるように配慮していたのです。
今になっても、《名揚四海》の生命力はまだ体中で激しくぶつかり合っています。この作品は、まさに生命力に溢れたドラマ。クランクアップの日に涙を流した感覚をまだ覚えています。《名揚四海》は、僕達が新たなテレビドラマの夢を創造した作品です。スタッフや出演者がドラマの中でも外でも、仲のいい友達になって、今でもよく連絡し合っています。ドラマの中で演じた感情と、実生活の僕たちは本当によく似ているのです。
A:ツァイ監督は、みんなの関係は家族のようだと言いました。あなたはツァイ監督をどんな人だと思っていますか。
S:ルールをしっかり守る人(笑)。監督が指導する俳優の演技理論は、台湾テレビ界を突き抜けていて、明らかに他と違うのです。俳優が完全に役になりきることを望みます。もちろん時間がかかることもありますが、俳優は余裕を持って始めて役をイメージでき、感情表現に専念できます。
でも現在の環境では、多くの製作会社が製作面とアイディアでバランスを取りたいと考えています。
ツァイ監督以外の撮影に参加した時は最初は慣れなくて、時間はお金であり、スケジュールを守ることも当たり前。みんなそれぞれ、重要視するポイントが違うのです。時間が経つ内に僕は他の撮影方法に慣れて、両方の利点と欠点を理解することができました。
ツァイ監督が他の監督と違う所は、自分が正しいと思ったことにこだわること。工夫をこらしながら実践し、観衆に披露するのです。
A:小馬はとても個性的でミステリアスな人物で、特別な設定を持つ役どころだとツァイ監督は言っていました。演じる過程で難しさを感じましたか。
S:小馬という男も、僕自身の性格に似ています。神秘的で、つかみ所がない、すごく保守的で。今はまだこの役について、詳しく話せません。なんてったってミステリアスな人物ですから(笑)。
この役を演じることは、僕にとって辛いことではありませんでした。監督が前から説明してくれて、どんな人物なのか詳しく知っていますから。
A:当初あなたも「英雄」役のオーディションに参加していて、マークや他の新人さんと一緒に特訓を受けていましたね。もし撮影前に戻って演じる役を選べるとしたら、「痞子」と「英雄」のどちらを選びますか。それともやはり「小馬」の役にチャレンジしますか。
S:やはり「小馬」を演じたい。彼は結構面白いやつなんです(笑)。
僕はやるべきことを一生懸命やるタイプで、チャンスは逃さない、やるべきことをきちんとやる。僕はオーディションや競争は好まず、僕に相応しい役なら話が来ると信じています。あの時オーディションに参加したのは、監督とお姉さん的存在の小恵プロデューサーに勧められたから。
2人は僕が小馬に合っていると思っていたし、オーディションに出ようと決めた時僕は新人に力を貸したいと思った。全てが上手く軌道に乗るように、助けたかった。監督が前からやりたいと思っていた「痞子英雄」というテーマだったし、ストーリーもよく知っていたからね。
でも最終オーディションで役が決まる時、とても寂しく感じた。参加した全員が同じ気持ちだったと思う。だってみんなすごく仲良くなっていたから、いざ勝負になるとやはり傷つくよ。
あの頃一緒にオーディションに参加したみんなとは今でも連絡を取っていて、いい友達関係を築いた。そういう結果を、僕は嬉しく思っています。
A:撮影中の印象深い思い出はありますか。
S:現場で一番印象に残ったこと…それは疲れたってこと! とにかく疲れました。印象深いシーンはいくつかあります。まず撮影が終わりに近づいてきたあるシーン。台本の0.5ページ程度の出番だったけれど、撮影当日に現場に着いたら、監督から3.5ページの台詞を渡されて、“今日君の台詞を増やすから”と淡々と言われた。
『本来は三聯会会長の話だったけれど、出来事の流れを陳琳に伝えてほしい』
このシーンの撮影は本当に辛くて、3枚の紙にあふれそうな台詞を見たのは初めて。馴れ馴れしい言葉使いで話す衝動を抑えながら、一生懸命台詞を覚えた。そのシーンは昼から夜にかけての撮影で、暗くならない内に撮り終えるために急いで命がけで取り組みました。
それからもう1つのシーンは、基隆の製氷工場の中。人が居られるような場所ではありませんでした。いや、違う。生き物が居られる場所ではなかった。でも僕たちはそこで1日中撮影しました。狭い空間で体を曲げ、動くこともできない。たくさんのドラマ撮影を経験したカメラマンも、最も困難な現場だと言っていました。動いちゃいけないし、かといって動かなきゃだめな時もある。
そして最後に《痞子英雄》撮影中に一番辛かったことは、夜のシーンが多すぎて、生活リズムが乱れたこと。朝に晩御飯を食べて、昼間は夜食。それを思い出すと大変だったなと思います。
A:あなたとヴィックが仲良しなのはみんなが知っていて、2人が一緒にいる場面もよく報道されていますが、どうしてそんなに超大親友になったのですか。
S:ヴィック(笑)? ヴィックとは《戰神~MARS~》の撮影の頃から友達として付き合っています。僕は私生活で孤独を好むタイプで、黙々と1人で行動するのが好き。当時のヴィックはそんな僕を不思議で理解できず、どんな人間なのか知るために、いろいろ誘われたんです。
最初は誰が先にご飯を食べ終わるか競争しよう、とかいうつまらない誘い。僕たち2人はみんなより早く食べ終わって、もうやることがないなと思うと、次に一緒にやることを考えました。ゲームしたり、雑誌を読んだり、おしゃべりしたりしていたんです。
ヴィックと僕はちょっとした共通点があります。それは、2人とも必死で芸能界を目指していた訳ではないという所。目的や計画がない自然なままの性格で接しているうちに楽に付き合える相手になって、気づいてみたら仲のいい友達になっていました(笑)。
A:好きな俳優さんはいますか。
S:大寶兄さん(戴立忍/レオン・ダイ)です。《白色巨塔》で共演しましたが、彼の演技には感服しました。こんなにすごい俳優がいるでしょうか? 大寶兄さんは僕のアイドルです。それから実は、ヴィックも好きな俳優です。彼は撮影前に十分な下準備をします。撮影後の彼は、孤独に見えがちですが、実はもう次の撮影準備をしているのです。だから撮影が始まるとかなりの爆発力があるし、多くのエネルギーを蓄積する俳優だと思う。この《痞子英雄》こそ、ヴィックが長年蓄積してきたエネルギーを爆発させるドラマだと言えるでしょう。
A:将来どんな役にチャレンジしたいですか。
S:面白そうなので、過激な性格か二重人格の役にチャレンジしたい。ギャップが激しい、例えば昼間は普通のサラリーマンで、夜になると狂った殺人鬼になるけれど、本人はそれを知らないとか。そういった役を演じることで、多くの演技力を発揮できると思う。それか精神病患者を演じるとか。精神病を患っている人物を演じて、現場のみんなが本当に精神病だと信じるまでの演技ができたら、好きなように行動できて楽しいだろうな(大笑)~なんて、冗談!
A:ツァイ監督と《痞子英雄》関係者に言いたいことはありますか。
S:監督やみんなに言いたいこと? 体を大事にして欲しい!
このドラマの撮影は、あまりにも過酷で普通の人には耐えられないほど辛かった。だから健康な体でいることが何より。監督の理想もアジア進出の夢も、体が健康でなければ達成できません。
それと、僕たちをサポートしてくださったみなさん1人1人に感謝したいと思います。あなた達がいたからこそ、《痞子英雄》が順調に完成しました。
一番大変だったのはスタッフのみんな。全員がドラマの内容にこだわっていました。俳優は一番幸せだといつも思っているので、スタッフ達に感謝の気持ちでいっぱいです。
A:みなさんに伝えたい、影響や感想はありますか。
S:僕はずっとこう思っています。他人にどう思われても、外の世界からどう見られても、自分自身がやりたいことをしっかりとやりたい。正しいことをやるとこだわり、全力を尽くし、自分に悔いないように。自分のために頑張ってきた結果こそ、人に示すことができるのです。
僕の夢は監督になることです。一番やりたいことは《名揚四海》を最初から撮影すること。撮影当時は完璧でなかったことがたくさんありました。そのころの僕達の能力は、不足していたのです。もしもできれば、僕がゼロから撮影したい、完璧にできなかった部分を完璧にして、もう一度観客に見せたい、あの作品の感動を、より遠くに伝えていけたらいいなと思っています。
修's 無名BLOG:http://www.wretch.cc/blog/lefthere