ピアノの神様、アルフレッド・ブレンデルの講習会 in プラハ！！

プラハのピアニスト福田美穂です。

今日は、ものすごいものを見せてもらった日でした。

ピアノの神様と言っても過言ではない、大ピアニストのアルフレッド・ブレンデル氏の講習会に行ってきたんです！！！！！

ピアノ・トリオがベートーヴェンの室内楽曲『幽霊』を演奏して、ブレンデルが色々とアドヴァイスして

いく形でした。

場所は、ヴルタヴァ川（モルダウとも言います）沿いにあるルドルフィヌム内のスーク・ホールでした。

ここは、学生時代に何度も私も演奏させてもらった場所なんですが、久々に行ったので、とても懐かしく、

素晴らしく美しい内装にも改めて感激しました！

ステージには、私が世界で一番好きなピアノ、ファツィオリが置いてあって、もう、なんて贅沢な空間なんでしょう！！

時間になると、杖をつきながら、ゆっくりと会場へ入って来るブレンデルを聴衆はあたたかい拍手で迎えました。

それを見て、私は涙が溢れてしまって。

数年前にブレンデルが講習会をした時は、杖をついていなかったんです。

一歩一歩踏みしめるように席へ向かうブレンデルの姿を見て、「あぁ今日、来て本当に良かったな」と思いました。

トリオの演奏が終わると、「ブラーボー！」と奏者達に声をかけるブレンデル。やさしく、明るい声で、次々と各奏者へアドヴァイスをしていきました。

それらを聞きながら思ったのは、ブレンデルの音楽のとらえ方、作り方が、私の恩師ヤン・ノヴォトニーと似ているということ。

だからブレンデルの指摘することは、私にも深く理解できることも多く、なんだか、これまでに自分が教わって来たことをもう一度おさらいするように聞かせてもらっているような感じもありました。

なので、勉強してきて掴めたものと、自分が元から持っている感覚、直感などを使えば手が届くことも少なくないわけなんですが、ブレンデルに私が感嘆しかないのは、彼が、驚くほど冷静に、楽譜から真実を読み取ること。そして、それを楽器で演奏する時に、一寸のひるみもなく、読み取った真実を序実に、完全にコントロールしながらものすごい情熱と愛を持って音で現すこと。

さらに、全部の音に魂をのせること。

これを全部できるのは、本当に魔法使いとか、そういう存在なんじゃないかと思ってしまいます。

神ががかっています。でもこれらは、ピアニストがやるべき仕事そのものです。

こういう超人的な人を見ると、自分に欠けていることがかなり明快になるんですが、同時に、元気が湧いてくるから不思議です。

ピアノの神だからでしょうか。笑

講習会が終わると、笑顔で、ブレンデルはゆっくりと杖をついて会場を出ていくんですが、ここでまたびっくり。

やっぱり世界のピアニスト、スタンディングオベーションで拍手の鳴り響く会場へ、再び戻って来るではありませんか！！

ステージの端に本当に幸せそうに笑いながら座って、聴衆のみんなを見ているブレンデル。私は胸がいっぱいになりました。

素晴らしい仏像を前にしたような素敵なヴァイブスをたくさん感じられました。

明日も室内楽の講習会をしてくれるらしいので、再びスーク・ホールに見に行こうと思います♪

素晴らしい日に感謝😊

P.S.