期待はいつか、リアルになる No,30 | TVXQ蘭珠館…その扉を開けたなら…

TVXQ蘭珠館…その扉を開けたなら…

さあ愛でなさい。
ホミン信者の思いをギュッと詰め込んだ館です。

『お休み…ヒョン…』



このお話はフィクションです。



芸能生活が長くなってくると、ホテルの部屋もそれぞれに与えられる。
それ自体は喜ばしいことかもしれない…
でも僕は時々その常識が邪魔だと思う事がある。

そう…今がその時だね…

だって気まずいでしょ?

女の子ならまだしも、僕は男だし…
大人数で押しかけるそれとは違って僕一人だし…
『これからヒョンの部屋に行ってもいいですか…?』
と切り出すのがストレスでたまらない。

だから僕は、こんな奥の手を使うんだ…


ケータイの通話をつないだまま、ヒョンの部屋のドアをノックすると、
大抵シャワーを浴びた後のヒョンが現れる。

「ヒョン、テミンがどうしてもヒョンと話したいって、駄々をこねるんです。
ちょっと声を聞かせてやってもらえますか?」

僕は韓国にいる後輩を使って、うまくヒョンの部屋に忍び込む事に成功する。
ヒョンを神の様に崇めるテミンにとっても、嬉しいサプライズだ。


ヒョンがテミンと話している間に、
僕は飲み物を準備し、ヒョンのベッドでくつろぎ始める。
これで作戦は完璧だ。


ケータイを切った後は、宿舎の二人と一緒だ。
どちらからともなく今日の出来事を振り返ったり、明日の仕事の確認をしたり、
会話はどこまでもつながる。

特に今日は、ヒョンの癒しに徹すると言う使命感に燃えているだけに、
僕はいつも以上におしゃべりになっているかもしれない。

だって…ヒョンが子供みたいに笑うんだもん…
僕はそれだけで言葉が溢れて来るんだ。



 


「僕達の仕事って、もうこれで良しという終わりはないでしょ…?
だからもっともっと上を目指したいと貪欲になる。
それ自体は悪い事じゃないけど…
時々…人間であることを忘れている瞬間があります。」

ヒョンが僕の目を、じっと見つめる。

 


「それが…今の俺なんだろ?」

ヒョンを断定して語った訳ではないが、
僕の思いがヒョンにストレートに伝わったのは意外だった。

「えぇ、壊れるんじゃないかと思う事があります…」

「正直…自分でもそう思う。」

ヒョンが力なく笑った。
僕は思わず、ヒョンに手を伸ばしそうになった。

スキル不足でも、スケジュールは次から次へと追いかけてくる。
仕事を与えられる喜びに比例して、不安もまた大きくなることを僕は知っているから、
今のヒョンは傷だらけで痛々しい。

助けてって…言えばいいのに…

僕にはヒョンがいる様に、ヒョンには僕がいるって事をあえて明言しなくても、
お互いがそれを認め合っている事は肌で感じる。

ただ…デビュー以来初めて訪れた環境の変化が、
ヒョンを必要以上に戦士に仕立て上げてしまった。

入隊と言う大きな節目に向かって、全ての行動が意味を持つようになると、
人間はどうやら『強さ』に固執する生き物に変わるらしい…

別居を決めた僕が語るのは筋違いかもしれないが、
離れたからこそ、心はもっと寄り添うべきなんだ。

ヒョンにはその選択肢がない。


 



「でも俺はかろうじて自分を見失ってはいないよ。
体も心もキツイけど、俺は見えないお前にずっと守られてた。
あぁ…俺は東方神起なんだな…
チャンミンと二人で創り上げた東方神起なんだなって思うだけで、
お前がそばにいる気がしたんだ。」

「ヒョン…」

「俺はとうとう仮想現実のお前にまで、癒しを感じるようになったんだな。
すごい成長だろ??」

…成長と言うよりは…ちょっと危ない人みたいですが…

ヒョンがケラケラと笑いながら、ベッドにもぐり込んだ。

「でもさ…」

布団に隠れて、その表情は見えないが…

「やっぱり俺のそばで小言を言ってるお前の方が…何十倍もイイ…」

ヒョンは僕が何年経っても言えない様な事を、
サラッと言ってのける、ずるい男だ。
僕は戸惑う自分を持て余し、気の利いた返事も出来ずにいると言うのに…


しばらく沈黙が続いたが、不思議と違和感はなかった。
少しでもヒョンの助けになった事が嬉しくて、僕はそれだけで満足だった。


「ヒョン…ドラマ撮影が終わったら、何かおいしいものでも食べに行きましょう。」

たとえ撮影は終わっても、遠出できるほどの時間が戻って来るわけじゃない。

「ねぇ、ヒョン…」

………


「なぁチャンミン…
5年後、新しい東方神起が誕生する時に…
俺はお前に…プロポーズ……」


「は!?プロポーズ??」



 


「……zzz」


ヒョンが肝心なところで、小さな寝息を立て始めた。

プロポーズ…プロポーズって言ったよね??

ヒョンの事だからまた、意味不明な例え話に選んだ言葉なんだろうが、
僕は妙にその響きが耳に残って、くすぐったかった。

…ったく!!
近くにいればいたで、手の焼ける人だ。


 




お休み…ヒョン…




…続く




画像はお借りしました。ありがとうございます。


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