『お楽しみはこれから』
このお話はフィクションです。
「チャンミン…お前の目って、こんなにまつ毛が長くて綺麗だったか?」
僕が超真面目に戦略を語っている傍らで、ヒョンが話の腰を折る質問をする。
しかもソファーにもたれた後頭部は、僕に向かって傾いている。
そのポヤンとした瞳は何だ!?
「えぇ!!ヒョンが10年も気づかなかっただけで、
僕の目はずっとこんなでした!
何ならこの少女時代並みの脚線美もお見せしましょうか!?」
「それは知ってるから、見なくていい。」
僕はあまりに集中力のないヒョンに向かって、
体温で温まったクッションを投げつけた。
Bom!!
顔面を直撃したクッションが床に転がり落ちても、
ヒョンの反撃スイッチは入る気配もなく、
むしろ『お楽しみタイム』を確信したように、ますます首をかしげて見せた。
やり難い…実にやり難い…
別居と言うキーワードは、どうして人をこんなに惹きつけるのか…
当たり前に過ぎていた時間を、特別のものに変える魔力を持っている。
「もう…話し合いが必要なければ、さっさと休んでください!
朝6時には迎えが来るんでしょ?」
僕は何とか気恥ずかしさを悟られぬように、
グダグダなヒョンを顎で指図する。
「ヤダよ…もっとこうしていたい。」
「何の為にですか!?」
ついつい大きくなる声に、僕自身が驚いた。
普段は…つまりこれまでは会話も生活の一部で、
何を言ったかなんていちいち記憶する必要がなかったから、
生まれては消える言葉に、執着がなかった。
でも今は、ヒョンの眼差しも僕の挙動不審も、全部おかしい。
おかしいが…愛しい…
「なぁチャンミン、ゼブラとダルメシアン、どっちがいい??」
「は??」
ヒョンの意味不明な発言が、もはや心地良くなった僕は、
テーブルに計画書を放り投げて、ヒョンと正面から向き合った。
「今度は何です?心理テストですか?」
「あのね!…(笑)」
そう言ってソファーからパッと身をひるがえし、
あっという間に部屋へと消えたかと思ったら、笑いと共に帰って来た。
「これ、今夜どっちか着ろよ。どっちにする??」
それは日本のファンから届いたであろう、フリース素材の部屋着だった。
「は??いいですよ。ヒョンに贈られたプレゼントでしょ。」
「二人で着たら面白いだろ!どっちがいい?」
ヒョンは半ば強引にダルメシアン柄を僕に差し出し、
自分はゼブラ柄のパンツに着替え始めた。
その隣で渋々僕も着替えるが、
思ったよりパンツの丈が短かった事が、笑いのツボを刺激した。
「何か情けないかっこうですね(笑)目がチカチカする!」
「俺もどうしてなかなか、ヤンキーの兄ちゃんみたいだ(笑)」
上着に袖を通し全身が完成すると、それは更に強烈さを増し、
僕達の笑いは写メに飛び火した。
上半身のみ着用は、女の子を気取ってセクシーに、
パンツのみの着用は、武道家を装って、
そして全身アニマルに身を包んだ姿は、
撮影で慣れ親しんだじゃれ合い2shot。
もう午前1時を回ったと言うのに、僕達は何をやってるんだろう…
でも僕はこんなに笑ったヒョンを、ここしばらく見た記憶がない。
本当に楽しんでいるのがひしひしと伝わって、
僕はなかなか「お休み」が言えなかった。
「チャンミン、お楽しみはこれからだぞ。」
「え…?」
ヒョンの悪戯な目がキラリと光った。
…続く
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