ばんしの神社ができたのは夢からだった。
ある年の正月に
鳥取県の大山という山のふもとに有る家に10人くらいが集合して
花札を楽しんでいた。
ばんしは
この回は札の配列が悪いのでパスすると言って、畳にコロンと
横になったわずか、数分間に夢を見た。
大山という山の中腹に大きな松の木があり、
その松の木の根元に
何匹いるのか驚くほどの数の狼の大群が一列に綺麗に並んで座っていた。
その中の一番大きな子牛ほどもありそうな狼の
かしらが前に出て来て人がしゃべるように、人間の言葉でばんしに言った。
「私達はこの山野にさまよう神の使いにございます。
寒さに震えおののいております。
どうか我らに雨露しのぐ
「ほこら」を与えてやってください。
その御恩に対しては終世あなたに、
お仕え申し上げます。」と。
ばんしは
「今の私には大きなほこらを与えてあげることはできないが、
小さいものでも我慢してもらえますか。」
と答えると
「ありごとうございます。かまいません。」
そう言った
一番大きなオオカミが
ばんしにお礼を言って頭をさげると
そこにいたオオカミの大群は全部
ばんしに、おじぎをした。
このような夢だった。
[おい。ちょっと聞いてくれないか。」
「今、夢を見た!」
花札をしていた関係者にあわてて言った。
オオカミの大群の夢の話を聞かせた。
「その場所は、まるやまの向こうのことではないか・・・・」
誰かが、つぶやいた。
この山のどこかに
古代、神社として建立され多くの人々に尊ばれた神があり、
何かの原因で今は土に埋もれたままの
神社の御神体があるはずだ。
それを探し出して
「ほこら」
を作ってあげなくてはならない。
しかし関係者は青ざめた。
なぜならその山の木の枝一本、
笹の葉一枚でも勝手に切れば
切った人は、翌日から寝込んでしまう。
又、ある者は病死する。
又、ある者は気がふれておかしくなってしまう。
又ある者は事故死するといった具合で。
地元の人々は古代から山の神原「やまのかんばら」
と恐れられていた場所だったのだ。
先祖代々その場所に入ることなど、考えられない場所だったのだ。
草や木を切るだけでも恐ろしいのに、
中に入ってそれも神様を探すなど、
そのような、罰あたりなことを・・・
身震いするようなことなのだ。
ばんしは、関係者全てに話した。
「もし神のお使いと交わした約束で、
山に入り、山の神様の罰が当たるなら、全て私に罰を当てて下さいと宣言する」
「あなた方に迷惑がかかるよな事は絶対にしない。約束する。」
そこで関係者達は神妙にうなずいた。
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