もう少し書きたいので、お許しくださいまし
卒業 ~Tell the World I Love You~
ストーリー的には突っ込み所満載なわけです
いや、あれだけ暴力を受けて傷1つ残らんのかい!とか
そもそも中国って人口何億人か知ってはりますか?ママ探すって大海に落ちた針探すようなもんやでぇとか
拳銃の撃ち方どこで習ったの?とか
でも、その取っ散らかったストーリーがすごく青くて痛い
まるでケン(Bas)と、ボン(Perth)と、タイ(Net)の記憶を継ぎ接ぎしたようで
例えば受けた暴力=受けた痛みの記憶とも取れる
実際は1、2発叩かれただけでも、本人が感じた痛みがあれほどだとしたら、記憶の中ではきっと、あの暴力的な表現になる
ケンのセクシャリティの事を揶揄しながら
よりによって性暴力を用いてケンの尊厳を踏みにじる同級生だってそう
自分の中に確かにあるから、それを暴力で否定する事でしか自分を保てないという破綻した理論も
子供だから、でしかない
私は残りの人生の方が圧倒的に少ない大人なので、Happy Endのその先を知っている
お姫様は王子様と結婚して幸せになりました
めでたし、めでたしのその先に来る「生活」を知っている
授からない苦悩は?授かったとしてつわりは?拷問としか思えない陣痛は?
同時に始まる24時間臨戦態勢の育児は?(そこは乳母がやってくれるのかな?)
寝られない、離れられない、自由なんて頭の中にしかない
不安、孤独、不自由
終わってしまえば幸せな記憶しか残らないけれども、気づくと時間と経済力を失っている
(経済力については、失ったのは私の努力不足でしかないのですが
そして自分自身の人生に現時点で疑問も後悔もほぼない事は申し上げておきますです)
10代の彼らには、Happy Endのその先なんてない
Happy Endこそがゴールだと信じているから
永遠はあるのだと信じているから
同時に、10代、20代の残酷な所って、今まで紡いでいた時間を断ち切れる所だとも思う
十分すぎるほど大人の私は重ねた時間こそが限りなく愛に近い、と思っているのですが
若い時はそうではなかった
例えば2年重ねた時間なんて、また新しい2年に容易に書き換わると思っていた
だからこそ、ケンは簡単にタイを切り捨てられたのかな、と
(実際はどうしたのかは不明ですが)
ケンとタイ、ケンとボンの関係が純度の高い友情なのか、それとも恋愛なのかも描かれてはいませんが
どちらも似たようなものだと思っています
精神的な繋がりの方が身体だけの関係よりよほどインモラルな場合もある、と思う
監督さんがそこまで意図したかどうかは不明ですし
単に「男子」の好きなものを詰め込んだだけな気もしますが
芸術の都合の良い所は、解釈が受け取り手に委ねられている所
そして委ねられるくらいの俳優さんを使っている事が、きっとこの映画の一番素晴らしい所なのだと思います
