だって最初から分かっていた
先生は男で、俺も男だ
とれだけ先に進もうと、行った先に交わる道なんてない
それでも、どうしても手に入れたかった
女の子とは何度か寝たことあるよ
先生から結局は詳細に聞き出した経験談で確信した
あー、この人、まだ人を好きになった事がない、って
多分気づいてないんだ、って
だから周到に用意して
心の中の、中の、中にまで入り込んだ
一生忘れられないような傷をつけた
初恋、って言う名の傷
ねぇ、思い出すでしょ?
誰かとキスする時
誰かの肌に触れる時
誰かと息が交わる時
絶対に思い出すよ?
俺の唇のこと
俺の肌のこと
俺と混じった息のこと
思い出して比較して、そしてあなたは何度でも傷つくんだ
俺を失ったっていう事実に
そのために
そのためだけに
あなたの事捨てたんだから、さ
先生って呼ばないで、って言ってた
家庭教師に来てたあなたの事を、さ
あの夏、僕らは
本当に短く
でも盛ったよね
あんな風に誰かと求め合うのって
そんなのやっぱり一度きりだと思う
2度目なんてない
だからね、先生?
本当はね?
本当は
初恋で傷ついたのは、本当は俺の方かもね?
どうせ叶わないのならば
あなたの傷になりたかった
でもその代償に
俺もまた自分の中に、あなたっていう
初恋と言う名の消えない傷をつけたよ?
困ったね
ね、先生?