右頬がいたむ。
「本っ当になんなの!?」
とりあえず大島は右頬に女の子の本気のビンタをもらった。
(・・・・意識持ってけるじゃないか・・・・・・この威力・・・・)
「おーい、もう一度目覚めの一発いれてあげようかなー」
「・・・・すまない」
「すまないで済むか!!!!」
結局、もう一発が右頬に入ってしまった。






















「で、さっきのは何だったの?」
「・・・・今から話す事は誰にも口外しないでほしい・・・・」
「なんで────っ!?」
言葉が止まる。大島の目を見れば誰でもなるだろう。
真剣そのものだ。
「・・・・わかった・・・・」
「ありがとう」
そう言うと、大島はズボンのポケットを探ってから一枚の写真を見せた。
「みてくれ・・・・」
小野は少し遠かったこともあって写真に顔を近づけた。
















いや、ちがう







小野はこの写真に見覚えがあった。





「10年前の話になる・・・・」
「・・・お父さん・・・お母さん・・・・・・・」
「そうだ・・・・・そして、小野のご両親は10年前のあの事件でなくられている」
「・・・・」
あの事件、よく知っている。

──“桜炎劇”────だ。

「まずは俺の正体を言っておいた方がいいな・・・」
「・・・・うん」
「俺は日本防衛省情報局暗索部所属の大島祐希だ。そして、情報局から俺に小野恵令奈の護衛任務がくだされた。・・・・『組織』からお前を守るために」
「『組織』??」
「『組織』と言うのは正体は明らかではないが、君を狙っているのは確かだ」
「なんでそんなことわかるの??」
「それは───」
そこで話は遮られた。
着信音だ。


























続く

※ふぃくしょんです
「そろそろ潮時ですね・・・」
『D』は大島が見せた一瞬の隙を見逃さなかった。大島がデザートイーグルの弾倉を換えるため銃身をそらした瞬間を『D』は使い、図書館から脱出したのだ。
「しまった!!」
不覚だった。まさかあの一瞬を見逃さないとは思わなかった。しかし、落ち込んでいる暇はない。デザートイーグルとベレッタP×4の弾倉をスグに確認する。
「まだ・・・・・余裕があるな・・・・」
問題は小野だ。小野が指示通りに行動できているか、否、可能性としては『組織』側には増援がいると考えていい。すると、あちら側に捕らわれているかもしれない。
「ちっ・・・・・」
焦りがでる。
(・・・・落ち着け!!!)
普段通りに冷静になればいい。まずは、本部との連絡だ。
「───こちら本部・・・コードを・・・」
「───こちらモダーレ1の大島。現在の状況は・・・」
「───<姫>さんはお前さんの指示通りに家に無事到着だよ」
「───了解・・・モダーレ1はこれより小野宅に向かい、現状の説明をする。校内の後処理はそちらに任せる」
「───はいはい、それじゃ報告書は4時間後に」
「───了解。通信解除」
(・・・・無事だったか)
とりあえず一安心だ。
「・・・・・あのキザ野郎・・・・・今度会ったら、バラす」






























「はぁ~」
久しぶりの2000m走と、言ったところか。肩で息をし、気持ちの悪い疲労感に襲われながら自室のベッドの上に倒れ込んだ。
「・・・・・」
あれは何だったんだろか・・・。少なくとも銃器類のものだったんだろう。
自分自身で驚いたことがあった。
何故か恐怖心がなかったのだ。
確かに嫌な感じはしていたが、恐怖というほどのものではない。
(嫌な夢見そうだな・・・・)
しかし、疲労は別物だ。気合いで何とかなるものではない。
(とりあえず・・・・・きがえるかな~)




















「はぁはぁ・・・はぁはぁ・・・」
ベルを鳴らす。
「───はーい、どなたですか?」
30代後半くらいの女性の声だ。
「───夜分遅くにスイマセン。小野恵令奈さんと同じクラスの大島と言うものです。小野恵令奈さんはご在宅でしょうか?」
「───はぁ・・・・居ますけど・・・・・どうかしました?」
「───実は自分の筆箱を今日の学校で間違えて持ってかえって・・・」

嘘だ。
「え!そうだったんですか。わざわざありがとう。鍵なら空いてるから入ってください。恵令奈は二階です」
「───・・・・」
なんて無用心な家なんだ。


だが、今はそれどころではない。
ブレザーの中から手入れの行き届いた愛用のデザートイーグルとベレッタP×4を取り出す。そして、足音を鳴らさないようにしながら階段を上がる。2階につくと扉が3つあった。
(どれだ・・・)


───恵令奈───


(こいつかっ!!!)
デザートイーグルとベレッタP×4を持つ手に力が入る。扉のドアノブを器用に右足で下に倒し、そのまま右足を前に蹴り出す。
















「小野!!無事か───っ!?」
















小野はいた。



が、
















「変態!!!!!」





















更衣中であった・・・・・


















続くかもしれない

※ふぃくしょんです
「逃げろ!小野!!」
大島はブレザーの左右の内ポケットから素早くデザートイーグルとベレッタP×4をぬき、照準を『D』に合わせて、ベレッタの方だけで発泡した。
しかし、『D』はそれがくるのをわかっていたかの様に本棚を壁にしてリボルバーで応戦。
(くそっ!!M500か!!)
M500は一発で肉片を根こそぎ持っていく威力がある。下手に当たれば、一発でおだぶつだった。


(上手く逃げてくれ・・・・・・・小野!!)
































「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」
“校内から出ろ”と言われた小野は、北棟西側階段を2段飛ばしで走って、1Fにつき、北棟玄関を出て中庭に出た。
(はぁはぁ・・・・・なに!?・・・・つか、“掴まれ”の後は“逃げろ”だって・・・!?)
だが、やっぱり雰囲気的にヤバい感じがしているのはわかっていた。だから、今ここまで逃げてきたのだ。
この高校の校舎の高さは4F建てで、形は片仮名のコの字型になっている。上の横線は北棟。縦線は東棟。下の横線は南棟。そして、コの字型の真ん中は中庭になっていた。中庭を東棟と反対方向に行けば、学校の門から出る事ができた。
(・・・・大島くん・・・・大丈夫かなぁ・・・)
ふと、そんなことを思いながら東棟の左上にある図書館を見る。中は電気が1つだけついていて若干暗かったが、そこからは時々火花らしき光が見えて、その光と共に銃声らしき音が聞こえてきた。



























「いい加減にっ・・・・・・・・しろよ!!」
大島はデザートイーグルとベレッタP×4を交互に弾が空になるまで撃っていた。
「ちっ!!」
舌打ちをしながらも、切れた弾倉を代えていた。小野を逃がしたはいいが、自分がどうやってこの場から脱出するかを考えていなかった。いや・・・自分は死んでもよかったが、絶対に小野だけには死んでもらいたくなかったのだ。
(なにやってるんだ俺はっ!?)
普段どうり冷静に思考していたら少なくとも、小野を逃がす様なリスクの高い方法はとらなかっただろう。外にはこいつら『組織』の連中がいるかもしれないし、何よりも奴の背後の死角から逃げるなどと言う、危険な事も思わなかっただろう。だけど、あの時はどうしても小野を巻き込みたくないと考える気持ちが勝っていた。