「今からお前を俺の家に連れていく」
「・・・うん」
「そこでとりあえず1泊してもらう」
「うん・・・って、えぇ!?」
「大丈夫だ。警備は万全だ」
「ぃゃぃゃぃゃ・・・・まじで?」
「そうだが・・・・何か問題でもあるか?」
「ある」
即答である
「なんだ??」
「それは・・・」


───沈黙───


「祐希さぁ・・・」
「どうした??」
「デリカシーない」
「・・・??」
「まぁ、とりあえず1泊さえすれば家に帰ってこれるでしょ?」
「そうだ」
「わかったよ」
「すまない」
「で、あんたが言ってた『組織』だっけ??それをどうやってかいくぐるの?」
「・・・・作戦の前に君質問がある」
「なに?」
「君はまだ多少の運動はできるか?」
「・・・まぁ、多少なら・・・・・」
「そうか・・・・ならば走りやすい靴を履いてくれ。できればスニーカーがいいな」
「はぁ!?」
「屋根を飛び移って大通りにでる。」
「・・・・」
「そして、タクシーを使い隠れ家まで行く」
「・・・・」
「質問はあるか?」
「はぁ~い」
「どうした??」
「屋根の飛び移り方を教えて下さい」
「感覚だ」
「あほかー。1人で行ってらっしゃい」
「大丈夫だ。君の運動神経なら60%弱の確率で成功する」
「低い」
「俺が指示を出すからそれに従ってくれ」
(はぁ~。もういいや)


靴底のグリップ力を確認する
(うん、いい感じかな)
「じゃ、いいな」
「・・・・うん」

──通話音──

「set・・・・go!!」

















続く

※ふぃくしょんです
大島の携帯のようだ。
「・・・・What's up(どうした)??」
(英語だ・・・・)
「・・・・All right(わかった).We leave for harbor(コチラは隠れ家に移動する).」
(・・・・電話が終わったのかな・・・・・・・・??)
「小野・・・・すまないが奴らに囲まれた」
「奴らってまさか・・・・」
「そのまさかだ」
血の気が引いて、すっかり顔が青くなってしまった小野はそのまま地面にへたりこんだ。
「・・・・また、あんな思いをしなきゃだめなの??」
「・・・すまない」
「ぃ・・・・ゃ・・・」
頭を両手で抱えこみ、じっと、動かなくなる。
「どうして・・・・なんで・・・」
「それは・・・・」
「答えて・・・・・」
小野は泣きそうだったが、涙をしっかりこらえて潤んだ瞳で大島を見て尋ねた。
「私、なにか悪いことしたの??」
「・・・君は何も悪くない」
「私は誰なの??」
「・・・君は小野恵令奈だ」
「私、このまま・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・死ぬの・・・??」
ストレスがピークに達したのだろか。うずくまっていた小野は目を赤くして泣きながら顔を上げた。
「小野・・・・」
「私は6歳の時から12歳の時まで親と話した事があったのは1日3回・・・朝起きて“おはよう”、朝ごはんの時に今日私がやらなくちゃいけない課題のこと・・・それでお父さんとお母さんは家をでる・・・・」
「・・・・」
「・・・・・私が課題を終わらせる頃には夕方になってて、お母さんが帰ってくる・・・・夕飯を作って、私が食べてる間に今日の課題の成果と晩御飯が終わったらスグにお風呂に入って、歯磨きして、8時に布団に入ることを言って・・・また家を出る・・・・」
「もういい・・・」
「朝起きたらいつの間にかお父さん、お母さんは私の隣で寝てる」
「もういい・・・・・!」
「だけど、それだけでも楽しかった・・・・・課題をやればお母さんは誉めたりしてくれたし・・・・」
「もういい、小野!!」
「今度こそ私は一人になるの!!」
「恵令奈ぁ!!!」
そこで小野は静かになった。
「大丈夫だ、落ち着け」
「でもっ───」
「お前は絶対に死なさない・・・




















































俺が必ず守る・・・・・」
大島は恵令奈の手を握った。






































「わかったよ・・・・祐希」
恵令奈も祐希の手を少し強く握った。
















暖かかった。












続く

※ふぃくしょんです