「説得力のある話し方」のための3つのヒント | 言葉化1000本ノック~「話し方」ほどビジネスと人生を左右するスキルはない!~

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起業家・経営者が混沌の時代を乗り切るための、「言葉」で価値を“生み出し”“高め”“伝える”秘訣

「ヨシダってどんなヤツ?」
と思われた方へ
長い長い自己紹介「ヨシダミツルのできるまで」

「スピーチの目的は『人を動かすこと』ですよね?だったらスピーチには“説得力”が必要だと思うんですけど、話の説得力ってどうっやたら出せるんですか?」

 

という質問がありました。

 

自分と…例えばAさんとしましょうか…、自分とAさんは同じようなことを言っている、同じようなことを喋っているにもかかわらず、Aさんの話は聞いてもらえるのに自分の話は聞いてもらえない。

 

Aさんの言うことは聞くのに、同じような指示を出しても自分の言うことは聞いてくれない。

 

こういうことって、けっこうあると思うんですね。

 

だから「Aさんの話には説得力があるけど、自分の話には説得力がない」みたいな…。

 

それで「話に説得力を出す方法ないか?」と…。

 

う~んとですねぇ…、ありますよ。

 

「話に説得力を出す」というのは、二つの捉え方ができるんですね。

 

一つは、話の内容…つまりコンテンツそのものに説得力を持たせる方法。

 

これは実を言うと、そんなに難しくないです。

 

ところが多くの「説得力がない」という悩みの根本は、そこじゃないんだなぁ…。

 

ということで、コンテンツそのものに説得力を持たせる方法も含めて、「説得力」について少しお話ししていきます。

 

「説得力とは何か?」みたいな話から入ると、たぶん膨大な情報になってしまうので、そこには触れません。

 

皆さんが何となく「こんな感じ…」と思ってることでおそらく間違いないと思います。

 

考えてみればですね、セミナー講師、研修講師、講演家、プレゼンターといった世の中のスピーカーが、自分のコンテンツを練り上げ、話す技術を磨き上げるのは、これが欲しいから…という側面もあるんですね。

 

じゃあ説得力ってどうすれば手に入るのかということです。

 

説得力って、3つの柱からできてるんです。

 

・信頼

・感情

・論理

 

の3つです。

 

なので、この3つを高めると、話しに説得力が増すワケですよ。

 

で、「コンテンツそのものに説得力を持たせる」っていうのは、この3番目の「論理」の部分なんですね。

 

要素は他に2つあるワケですからね、3番目の「論理」だけ磨いても、説得力そのものは上がらない、あがったとしてもほんの僅かということなワケです。

 

 

話の説得力を高める要素①「信頼」

※(公社)札幌消費者協会での研修の一コマ

 

まぁ、簡単に、ホントに簡単にザックリ言ってしまうと

 

「あなたは、その話をするのにふさわしい人ですか?」

 

っていうことです。

 

宇宙の話を聞くときに、アマチュア天文研究家の話とNASAの研究員の話とどちらが聞きたいですか?

法律の話を聞くときに、近所のおじさんと弁護士さんのどちらの話が聞きたいですか?

資産形成の話を聞くときに、借金まみれのホームレスと秒で億を稼ぐ男のどちらの話が聞きたいですか?

 

っていうことです。

 

セミナーなんかだとね、司会者による紹介とか、自己紹介で講師のプロフィールや実績を話したりしますよね?

 

これは「この講師は、このテーマの話をするのにふさわしい人なんですよ」ということを聞き手に伝えているワケなんですね。

 

こういうね、セミナーみたいな形で肩書とか実績なんかで信頼感を作れるのなら、まぁそれに越したことはないんですが、日常のコミュニケーションの中ではそうもいかない場合もあるワケです。

 

例えば社内で何かしらのチームを組んで新しいプロジェクトにあたろうとするときなんかはそうですね。

 

社内の上下関係みたいなものはありますけど、これは絶対的、圧倒的な差ではありませんから、肩書や地位だけでは信頼感は作れません。

 

もっと言うと、そうした上下関係もない状態なんていうのも考えられますよね?

 

そういう時にはどうすればいいのか?

 

これはですね、やっぱりちょっと難しいんですね。

 

一朝一夕にはいかないんです。

 

というのも、こういう場合は「話し手(情報の発信者)の日常」というのが、非常に大きなウェイトを占めるからです。

 

例えば、話し手が普段からパワハラ…というか部下を罵倒してばかりいる人だった場合、その話し手が

 

「ミスやエラーを失くして職場の生産性を向上させるためには、何でも話し合える雰囲気、何でも話し合える環境が必要なんだ。何かあったらドンドン上司である私に言って来てくれ」

 

って言たとしても、その言葉を真に受けられます?

 

ムリですよね。

 

だってその人の日常は、決してそうではないから?

 

これがね、普段から部下の相談に乗ったり、的確なアドバイスをするような人がさっきのセリフのようなことを言ったらどうでしょう?

 

やっぱり日常がそうですからね、これは部下にきちんと伝わるワケですよ。

 

他にもね、普段から一匹狼的に自分でドンドン仕事を進めていって周りのことなんか省みないような人が

 

「仕事はチームワークだ!」

 

なんていっても、そう簡単にはその言葉に信頼は置けないですよね。

 

つまりですね、自分の言葉に信頼感を醸し出すためには、その言葉を発するにふさわしい日常を送ってるかどうか、ということが重要になるんだということなんです。

 

 

話の説得力を高める要素②「感情」

※ラジオ出演中の一コマ

 

「感情」については若干テクニック的な要素が強くなりますね。

 

セミナーやレッスンではよく言いますし、このブログでも過去記事で何度も触れてるんですが、感情を動かせば行動につながります。

 

逆に言うと、「感情を動かせなければ、行動にはつながらない・行動してくれない」ということです。

 

つまり「感情」という側面から見た場合は、感情を動かせるのが「説得力のある話」で、感情を動かせないのは「説得力のない話」ということになるんです。

 

じゃあ、感情を動かすにはどうするのか?

 

このノウハウはいくつかあって、全部話すとこれまた膨大な字数になりそうなので、そのうちの一つである「メタファー法」というのを紹介します。

 

メタファーとは心理療法なんかで使う言葉なんですが、簡単に言ってしまうと

 

「ある状況や物事を別の言葉や物事にたとえて捉えること」です。

 

「メタファー」という言葉そのものには「暗喩」という意味があるんですけどね、別のことや物事に置き換えて“暗に喩える”ということです。

 

例えば…、まぁこの「例えば」というのもメタファーの一種なんですが、それはまず置いといて、わりと分かりやすい例で言いますと、ものの大きさを表現する場合、

 

・アリのような

・象のような

 

みたいな表現をしますよね。

 

小さい、極々小さいということを「アリ」に喩えたり、逆に大きいことを「象」に喩えているワケです。

 

あと、これはメタファーの例としてはわりと有名なので、知っている方も多いと思いますが、スティーブ・ジョブズの言葉で

 

「iPodのすごいところは、音楽ライブラリーが全部、ポケットに入ってしまうところだ」

とか

「iPodシャッフルはガムより小さくて軽い」

 

というのもメタファーです。

 

iPodの容量や大きさを巧みな喩えで表現していますね。

 

このメタファー法がどうして感情を動かせるかというと、相手の直感に働きかけて想像力(イメージ)を刺激するからです。

 

人はイメージできるから感情が動くんですね。

 

イメージが働かなければ感情は動きません。

 

例えば「iPodシャッフルはガムより小さくて軽い」というメタファーを提示された場合、まず人は「ガム」の大きさと重さをイメージします。

 

だってたいていの人はガムを知ってますからね。

 

自分のよく知っているものをメタファーとして提示されることによって想像力のスイッチが入るワケです。

 

そして次に音楽プレーヤーをイメージします。

 

自分がよく知ってる音楽プレーヤーをイメージして、その大きさ、重さとガムの大きさ、重さをイメージの中で比較するんです。

 

そして「あ、iPodってそんなに軽いんだぁ…。」と思うワケです。

 

さらにその人が新しい音楽プレーヤーが欲しいと思っていた場合は、「ちょっと見に行ってみるか」といった感じで、家電量販店に足を運ぶ…つまり行動につながっていくワケです。

 

そうやって行動つながるような、感情を動かす話…というか感情を動かす言葉は、「説得力のある言葉・説得力のある話」になるワケです。

 

…気がつくと3000字をとっくに超えてるけど、このままいきますね…。

 

話の説得力を高める要素③「論理」

 

論理的に矛盾のない話は、やっぱり説得力があるワケです。

 

論理的に矛盾がないということは、「ツッコミどころがない」ということですからね。

 

で、「ツッコミどころがない」ということは、「反論できない」ということですから、聞いた方としてはそれをそのまま受け取るしかなくなるんですね。

 

じゃあ、どうしたら話が論理的になるのか?

 

これは「論理の型」を知ると上手く論理的にすることができます。

 

その「論理の型」とは…

 

「AだからBである」

 

です。

 

「え?それだけ?」と思いました?

 

もちろんそこに「意味がつながってる」という条件はありますけどね、論理の型っていうのはそういうもんです。

 

例えば、「雨が降りそうだから傘を持っていきます」は、「AだからBである」という論理の型に則ってますよね。

 

さらに言えば、ちゃんと意味がつながっています。

 

でもこれはどうでしょう?

 

「雨が降りそうだから飴を舐めます」

 

これは「論理の型」には則ってるけど、意味がつながってませんよね。

 

ということは、これは論理的ではないということです。

 

論理的ではないということなんですが…、これを論理的な文にするための“秘策”があるワケですよ。

 

まぁ、これがなければこんな例文は出しませんけどね…。

 

その秘策とは…、「なぜなら…」です。

 

「雨が降りそうだから飴を舐めます」だけどと意味がつながっていないのですが、この言葉を発した人には「雨が降りそうだから飴を舐める」理由があるはずなんです。

 

その理由を説明するんですね。

 

「雨が降りそうだから飴を舐めます。なぜなら、私は耳が悪くて気圧が変化すると耳鳴りがしたり耳が痛くなったりするんです。それを防ぐために飴を舐めて口から耳にかけて良く動かすようにして気圧の変化に対応しているんです。」

 

どうでしょう?

 

これだと「雨が降りそうだから飴を舐めます」に意味がつながると思いませんか?

 

論理に関しては、これは本当に基本の基本。

 

他にも「PREP法」という手法や「悪魔のプレゼン」というものもありますが、それはまた別の機会に…。

 

「説得力」のまとめ

 

「話の説得力を高める方法」について長々と書いてきましたが、実は一番強調したいのは「信頼」の部分なんですね。

 

どんなに感情を動かそうと、どんなに論理的に話そうと、この「信頼」がなければ説得力なんて生まれないし高まらないんです。

 

逆に言えば、強い信頼感さえあれば、感情がそれほど動かなくとも、多少論理的でなくとも、説得力って高まるんです。

 

何をおいてもまずは「信頼」。

 

そしてそのためには「日常」を変えること。

 

説得力のある話をするためには、これが最も重要なポイントなんです。