"Wall of sound"の世界 06
ヘロン / 山下 達郎
(日本)
シングル ヘロン
リリース 1998年
※"Wall of sound"特集、今回は山下達郎を取り上げます。
山下達郎も大滝詠一同様に、スペクター・サウンドから
計り知れない影響を受けたアーチストで、
彼のサウンドの基本にはスペクター・サウンドが
あると言ってもいいと思います。
しかし大瀧がスペクター・サウンドの音作りをそのまま
再現しようとしたのに対して、達郎は1トラックごとに
緻密に音を積み重ねていって、全体として壮大な
音の壁を構築していく手法を採っています。
具体的には、大瀧は大人数・ほとんどの楽器を
同時演奏によって一発録りしましたが、
達郎は、可能な限りの楽器・トラックを自身でひとつずつ演奏し
それを地道に積み上げて分厚い音の塊を作っていくという手法。
アルバムによっても曲によっても差はあるけど
とくにその影響が強く感じられるのが、アルバム Big Wave でしょうか。
Jodyもそうだけど、B面のビーチ・ボーイズのカバーは、
そのまま達郎の音のルーツを再現しているようでもあります。
一曲だけ挙げるとすれば……迷うなー。
これか? これだな。 もっとも達郎流"Wall of sound"の
音作りを感じさせる『クリスマス・イブ』。
全体がエコーの奥に沈んだような、音像全体がひとつの
ぼんやりした塊になって浮いているような、
これこそ達郎流のスペクター・サウンドでしょう。
……いや。ちょっと待て。いくらなんでもこの季節にクリスマスはないか。
変えよう。 今回はこの曲に。 『ヘロン』。
この曲ものちに達郎自身が語っているように、
彼の曲の中でももっとも"Wall of sound"を感じられる曲のひとつだと思います。
いったいどれだけトラックを重ねたらこんな厚みのある音になるんだろう。
これはこれで、また大瀧詠一とは違った強烈な意思と執念を感じます。
この曲はオリジナル音源が上がっていないので
ドラムスカバーとベースカバーを取り上げました。
ご両人とも、オリジナルへの愛とリスペクトが濃厚に感じられる
すばらしいカバーだと思います。
げげっ?
この曲もリズムははスカンク・ビートじゃん。
600A ドラムスカバー
原田賢扶 ベースカバー