"Wall of sound"の世界 03
The Long And Winding Road / The Beatles
※ "Wall of sound"の三回目は、ビートルズのThe Long And Winding Road 。
もう説明する必要のないくらいに有名な曲であり
アルバム Let It Be のなかでも出色の出来のポールの名作であります。
が……。
この曲こそは、その後のビートルズの運命を左右する決定的な存在になりました。
1969年一月に彼らは新しいアルバムをレコーディング。
その後のライブ・パフォーマンスも加えてアルバムにしようとしましたが
結果としてあまりに出来が悪かったために、メンバー全員がさじを投げ
アルバム Get Back はお蔵入りに。
しかし翌年、アルバムの再プロデュースを依頼されたフィル・スペクターは
"Wall of sound"の手法を全力投入して、全く別物の仕上がりの
アルバム Let It Be を完成させました。
しかしこの音源を聴いたポールは激昂。
とくにこの曲のアレンジには怒りをあらわにし
マネージャーのアラン・クレインともめたが解決せず、
ついにポールはビートルズの解散を求めて訴訟を起こす。
そしてその起訴理由の中には、この曲のアレンジのことも含まれていました。
ともかくリリースされた Let It Be のThe Long And Winding Road は、
スペクターの"Wall of sound"全開の重厚・荘厳なクラシカルなアレンジで
ポールが描こうとしたシンプルでアコースティックなイメージとは
真逆の印象の曲となって現れたのでした。
スペクターはこの曲のアレンジのために、
ギター2人・ドラム1人・ヴァイオリン8人・ヴィオラ4人・チェロ4人・
ハープ1人・トランペット3人・トロンボーン3人・女性コーラス14人を
あらたに追加してこの曲をオーバーダビング。
もうここまでくると執念である。
今回は、フィル・スペクターの手になるThe Long And Winding Roadと、
比較のために初期にレコーディングされた、ポールが目指していた
アコースティックなバージョンの2つを挙げました。
個人的には"Wall of sound"バージョンのほうが好きだけどなあ。
スペクター版
ポール版