In Trance / Scorpions
いきなりですが、「荒城の月」という歌はご存知でしょうか。
明治時代に作られた滝廉太郎作曲の唱歌の名曲です。
学校で習った人も多いと思います。
ところでこの歌、音のとり方で二種類存在することは
あまり知られていません。
歌い出しはこうなっています。
春高楼の花の宴……
「はる」の音の高さが仮にFだとすると、宴の「え」の音はE♭。
これは山田耕筰が編曲した際に、「え」の音を半音下げたものなのです。
現在の歌われ方はほとんどすべてこのメロディになっています。
調べた限りでは、例外は錦織健 氏くらい。
しかしこれはオリジナルのメロディではありません。
オリジナルは、宴の「え」の音は、半音上がってEになっています。
つまりこの現在歌われていない原曲は、ほとんど絶滅危惧種のような
消えてゆく運命にあるメロディなのです。
聞き比べてみるとどうでしょうか。
オリジナルの方が余韻たっぷりに聞こえるのですが。
さてここからが本題です。
元祖ジャーマン・メタルの雄 スコーピオンズ、日本公演では
この「荒城の月」を歌うようになったのですが、
このスコーピオンズ版「荒城の月」は、なんと原曲の歌い方なのです。
まさか、と思って聞き直してもやっぱりオリジナル。
ドイツ人が、日本人が歌わなくなった古い旋律のほうを歌っていることに
とてもショックを受けました。
一音へのこだわり。
まあこの曲をチョイスすること自体がスゴイことなのですが。
スコーピオンズ恐るべし。 並みのメタル・バンドではありません。
今回のIn Trance は、1975年リリースの
三枚目のアルバムのタイトル・チューン。
なんともせつなげなメロディが日本人好み。
そして中盤からぐっと盛り上がっていきますが、
派手さはないものの、聞かせるいい曲に仕上がっています。
最近、また古いアルバムを聞き直しているのですが、
なんだ、昔からけっこうメロディ志向だったんだ。
最近の彼らのアコースティックへの傾斜も
うなずけるような気がするのです。
○参照URL
http://www.youtube.com/watch?v=lmhv1TV_vmE