TPの術前から、TP術後には抗がん剤を投与(服用)することにしていました。術後に抗がん剤を始める前に、さらに医師から説明を聞いて理解したこと、それまで理解できていなかったことを記しておきます。それまで見聞きしていたことですが、理解が十分ではありませんでした。ここに至って、なんども訊ね返して多くの部分が腑に落ちました。

 

1)膵臓がんの行きつく先:

膵臓がんの細胞が体内に流出し、どこかにたどり着いて増殖したら、そのたどり着いた先がどこであれ、「膵臓がん」の性質を持っている。たとえば、この細胞が肝臓にたどりついて肝臓にがんができたとすると、再発ということになるが、「膵臓がん由来で肝臓に転移したもの」と表現するのが正しい。これは「肝臓で生まれた肝臓がん」とは異なるものなので、「肝臓がん」とは呼ばない。そして、多くの肝臓がんのように手術して摘出すればよいというものではなくて、別物だととらえるべきものである。

この再発したがん(膵臓がん由来の)は、元の膵臓がんと同じく他のところへ流出する性質を持っているので手術で摘出するのでは追いつかないだろう。よって、膵臓がんがどこかに再発した場合は、全身に細胞が回っていると考えて抗がん剤で治療を試みることになるのだ、と。

これが「膵臓がんの再発」と一言で語られる中身ということらしい。

 

推測:膵臓がんは他に転移する性質が強いということだろう。膵臓がなければ膵臓がんの性質(あちこちに転移して増殖しやすい)を持つがんは発生しない、ということだろう。これらが、膵臓にのう胞が見つかった段階で膵臓を全摘出するとよい、という最近の考えを裏打ちしているようだ。

以前、他の医師が「膵臓がなければ膵臓がんにはならない」と言っていた。これは当然のことだが、意味することをうまく理解できていなかった。膵臓を取っておけば膵臓がんにならないなんて医学の敗北だとも思ったものだったが大きな誤解だった。膵臓ののう胞ががん化する前に膵臓ごと切り取ってしまえば、がん細胞が体内に送りだされる前に手を打つことができる、ということだった。

 

2)「進行がん」という語:

膵臓を全摘してがん(の塊)を取り切ったが、細胞のレベルでは既に膵臓から細胞は体内に出てしまっているかもしれない。「血管への浸潤」、とか「リンパ節への浸潤」という表現は流出が始まっているということ。膵臓から外に流出するレベルにいたっているがんのことを「進行がん」と呼んでいる。

 

「進行がん」という語だけを聞いて、世の中には「進行しないがん」もあるのかと思ってしまった。「進行がん」は「進行しつつあるがん」のことだった。