膵全摘術(TP)で胃を残せるかどうかは手術中に目で見て判断するとのことです。事前に血管造影をしても、脾臓を摘出した後の血流がどのようになるかは予測できない、とのことでした。

胃を摘出した場合は、ドレンを付けてICUに戻ってくるし、残膵の摘出だけで済めばドレンは付いてないだろう、とのことでした。

 

また、もし手術中の判断で胃を残したとしても、手術後数日の間に胃が血流障害(うっ血)のために動かなくなる懸念は残る。ので、術後の日々の血液検査で判断し、胃が動かなくなるようであれば手術することになる、とも。

 

胃を失なうと、術後の摂食に困難が生じるし、食事が摂れない状態で血糖値をコントロールするのは相当な困難だろうと思ったので、胃はなんとしても残したいものだと思い、手術前に最も気にしていたことのひとつでした。

胃を切除すると「いずれ」食道が拡張して胃の役割を果たすようになる、と聞いたことがあるし、そういう人が先輩にいました。しかし、術後に再発予防で抗がん剤の投与を受けるためには食事が摂れている必要があるので、「いずれ」という悠長なことでは困ります。

 

1999年のPPPDの時の術前説明で医師に描いてもらった図のなかに、術後の懸念事項のひとつとして「胃のうっ血」という語がありました。膵臓の頭部を切除する際にも血管を切るから、胃の血流に影響を与えるかもしれない、ということだったのでしょう。今になって理解できました。

このPPPDの時は手術前から「全胃幽門温存する」と聞いていました。しかし、この時もひょっとしたら、全胃温存を目指すけれども術中の血流の変化によっては「全胃」温存はできないかもしれない、というのがあったのかもしれません。あるいは、この時は術前に血管造影検査をしたので、PPPDだったら胃の血流の変化は術前に判断できる、ということなのかもしれません。

 

PPPDを説明する文書や記事で、胃の一部も切除する、と記したものも見かけるが、これも膵臓の摘出部位によるのだけではなく、血流の理由にもよるものなのかもしれないな、とこれも今になって理解しました。しかし、なにゆえに切除することになるのか説明されていない理由は不明です。