思ったよりたくさんの反応がありましたので驚いております(笑)。

ちょっとオチが弱いので、もったいぶった分申し訳ない結末になるかもしれません。前評判が異常に高かったわりにはつまらない映画がよくありますが、同じように感じられたらお許しください。

 

 

彼の臨戦態勢がレベルワンに跳ね上がった時、こちらも体勢を整えようと考えたのですが、こちらが少しでもそれに近い動きを見せた後のその男の反応を考えて場合、圧倒的に不利な立場にいる自分が見えました。

 

兵法のひとつである「高いところから攻めるべし」。ポジショニングは彼の方が有利です。こちらは下から突き上げなければなりませんが、彼は拳でも鞄でも振り下ろせばいいわけです。座ったままでは戦えませんから、こちらは「立つ」というアクションが加わりますが、その直前に彼の方をにらんだ途端、彼の攻撃を受けるに違いありません。

 

しばし考えていると、彼の拳の握りが緩くなっていることに気が付きました。足元もまたフラフラし始めています。私が靴を払いのけた瞬間の拳の条件反射は継続性のある動きではなかったのです。その時に彼をにらんでいれば戦況は変わったかもしれませんが、幸いそのアクションは取らなかったので、彼は再度酩酊の世界に引き戻されたのです。

 

こちらとしてもつまらないケンカよりは記事を書くことの方が大切ですし、なによりもラップトップに被害が及ぶのを心配しましたので、憤りはあるもののまたまたキーボードに向かったのです。

 

電車は津田沼に停車しました。

 

私の横に座っていた女性が降りたのですが、その男は全く気付かず別の女性が座りました。彼女が座ってから覚醒したのか、駅の名前を探するように首を左右に動かし、「津田沼」だと気が付くと安心した様子を見せたような気がしました。彼の興味の対象は私から下車駅へと移行していたのでしょう。おそらくは次の停車駅である稲毛で降りるはずです。

 

普段であれば私も稲毛で乗り換え、各駅停車でひと駅先の西千葉で降ります。ところが自宅が西千葉・千葉間のほとんど真ん中にあるため、深夜近くになって乗り換えに10分以上稲毛で待たされる可能性がある時には、そのまま快速で千葉まで行きそこから家に帰るのです。記事も途中だったことと、彼との再度のコンタクトを避けるためにも「今日は千葉から帰ることにしよう。」と決めました。

 

それに加えて私にはひとつの興味があったのです。

 

彼が乗り込んできたとき、上の網棚にドスンと鞄を置いた記憶がありました。周りの乗客とそれぞれの所持品をチェックしたのですが、どう考えても上の鞄は彼のものだと思われました。そうしているうちに電車は稲毛に滑り込みました。彼は酔っていますから、駅について人が降り始めてからやっと目を覚まし、慌てて車外に出て行ったのです。横の女性も下車し、私のまわりには人がいなくなりました。ゆっくり網棚を見上げると・・・・・そこには黒い鞄が(笑)。

 

この電車の終点は千葉ではなく、もっと先の駅です。千葉から内房・外房と別れますから、迷子になった鞄を捜索するのには一晩では足りないと思われます。あの酩酊状態であれば網棚に載せた記憶も定かではないでしょうし、ひょっとしたら手元に戻るまで数日かかるかもしれません。重要な書類などが入っていたら彼は翌日どうするのでしょう。

 

酒の席で自制心を無くし、人に迷惑をかけているのも自覚できず、いざとなったら力で対応しようとする。そんな男に待っているのはこのような結末だけです。たくさんの人が千葉で降りましたが、私は落ち着き払ってPCを鞄に戻し、車両に数名残った乗客を見ながら、誰もその黒い鞄の持ち主でないことを確認して電車を降りました。もちろんその鞄に挨拶も忘れませんでしたよ。

 

「お気の毒様~~~。」


追伸

仕事が忙しく昨日のコメントに返信できておりません。

今日帰りの電車の中で仕上げて帰宅後送信します。

ご容赦くださいませ。