お好み焼き

 

大学以降は東京やその近郊の街に住むようになった私は、元々は生まれも育ちも大阪で、価値観は大阪的です。ただ、高校の2年間は滋賀に移り住みましたのでその感覚が若干緩和されたのと、東京にある大学に入学して以降は「大阪弁」を意図的に第二内国語にしてありますので、関西出身であると思われたことはほとんどありません。

 

昭和50年代の前半、「お笑い」の社会的地位がまだまだ低かった頃、関西弁は東京に住む人たちにとってはマイナーな言語であり、電車の中などでも奇異の目で振り返られることも多く、身の危険を感じた私は入試の段階から言葉を「標準語」に変えました。「大阪弁」の持つイメージだけで自分のことを判断されないようにするためです。

 

モノマネの素養が高かったこともあり、言葉は標準語化に成功しましたが、ひとつだけどうしても直らないことがあります。「メリケン粉(小麦粉)」好きなのです。「American White Powder (Flour) → アメリカから来た白い粉 → アメリカン粉 → ァメリカン粉 → ァメリケン粉 → メリケン粉」となったと思われますが、「コカイン」がそれより先に来ていれば麻薬がメリケン粉と呼ばれていたかもしれません(笑)。

 

「大阪・メリケン粉」で連想ゲームをすれば、「お好み焼き・たこ焼き」と答える人がほとんどでその正解率は100%に近くなるでしょう。そうなんです。うちでは月に何度かは夕食がお好み焼きになります。たこやきが夕食になることもしばしばです。業者のようにまとめて作りますから3日くらい毎食というくらい食べ続けます。そんな、家族が全員「ウマイ!」と唸るお好み焼きレシピをご紹介します。

 

材料(7人家族・2日X3食分・・・笑)

小麦粉1kg卵10個水適量

一番肝心なのは水加減です。どちらかというと少し薄めに溶いて、小麦粉の粘りが出ない程度まで水を加えていいと思います。あとでつなぎ(山芋)を入れますし、ホットケーキくらいだと粉っぽくて3日も食べ続けられませんから(笑)。

 

小麦粉のダマがなくなったらそこに次のものを加えて味を整えます。

塩適量味の素適量粉末ダシ多目紅しょうがの赤い汁全部醤油すりおろしニンニク適量

後で野菜などが入りますから味は少し「濃い」程度がいいでしょう。最後にちょっと薄いと思ったら、世界一の魔法の調味料「醤油」で調節しましょう。ポイントはこれらを混ぜてから指をつけて味を見ることです。この段階でお好み焼きに命を吹き込めるか否かが決まります。これを舐めてもおいしいと思えるくらいに味を整えてください。

 

味が整ったら「つなぎ」になる山芋をすりおろしたものを加えよく混ぜます。これも多少多目に入れた方がおいしくふんわりと出来上がります。多すぎるとベチョベチョになりますが、それはそれで一興でしょう(笑)。

 

他の材料を入れる前にこの段階で試し焼きをします。小さなプレーンお好み焼きを作ります。水が多い時にはフライパンの上で早い時間で広がります。その時には小麦粉を少し加えます。焼いた後「粘り」を強く感じる時は小麦粉と水を加えて調節し「粘度を落とす」ようにしましょう。

 

ここでおいしいと思うものが焼ければベースが90%できたも同然です。

 

そこに次のものを加えます。

天かすちくわ5本紅しょうが1袋

天かす(揚げ玉)はかなり多目に入れた方が味にひろがりができます。ちくわは元々は魚肉ですから隠し味的な役割を果たしてくれます。ぜひお勧めです。紅しょうがはしっかりと刻んで一袋全部ぶち込みましょう(笑)。その殺菌効果により卵が多い割には日持ちするようになります(といっても保存は冷蔵庫で)。

 

あと必ず入れなければならないのがネギ(万能・長ネギどちらでも可)とキャベツです。どちらの具材も細かく刻みます。うちでは長ネギを6本くらい用意します。先ほどのベースには入れずに別にざるに盛っておきましょう。ベースに入れると浸透圧によって焼いた後のしゃきしゃきした食感がなくなってしまいます。必ず焼く前にベースと混ぜるようにしましょう。

 

これだけでも十分満足する味になっていますが、ちょっとした贅沢をしたい人はいろいろなものを混ぜてもいいと思います。ただ、基本はバラ豚肉です。ひっくり返した時に適度な油を出してくれますのでおもて面を香ばしく焼くことができます。

 

その他、牛肉イカむきエビコンニャクの細切れモチチーズコーンなどを「お好み」と「予算(笑)」によって用意します。ちなみに当家ではモチ・チーズなどが子供たちにはウケがいいですね。イカは熱が加わると反りますのでうちではイカソーメン(細切りの刺身)を使うことが多いです。モチはサイコロ大に切って混ぜ込みます。

 

焼く時には最初に油ちょっと多いかな思うくらい入れて焼くといいでしょう。お好み焼きのまわりがカリカリになるくらいに焼きます。軽く「揚げる」感じでいいと思います。最初は強火で、ひっくり返してからは中火で焼きます。リビングでホットプレートを使う手もありますが、「カリカリ」ができにくいのでうちではもっぱらフライパンで焼きます。慣れてくればフライ返しなど使わなくても「名コック」のように空中に投げ上げてクルリとひっくり返す事ができます。最近一番下の双子たちもそれをマスターしました。

 

焼けた後も肝心です。ソースは言わずと知れた「おたふくソース 」を使いましょう。これは元々広島焼きに使われるものですが、甘みと酸味のバランスがとてもよく、おいしいお好み焼きの味を一層引き立たせます。マヨネーズの好きな方は付けて食べると思わず笑みがこぼれます。マヨネーズはベースと混ぜ合わせてもいい味を出してくれます。これにかつおの削り節と青海苔の粉をかけてできあがり!

 

これを書いていてやっぱり食べたくなったので・・・

今夜はお好み焼きだ~~~(笑)。