CEL-DE-KAIRO の品川でのストリートライブのあと、

帰路についた総武線快速車内での出来事です。

 

品川で(記事を書くための)席をゲットして、私の前には一緒だった友人が立ったのですが、八丁堀住まいで、IT関連の会社社長の彼は東京駅で下車しました。そのあとPCを取り出しワードを立ち上げキーボードに向かい指を弾ませていたところ、30才前後の泥酔に近いサラリーマンが友人の後に私の前に立ちました。目の前のつり革につかまらず、おぼつかない格好で網棚の下のバーに手を添えています。かなりフラフラになっていて目は半開き、口もだらしなく開けて、元々いい男じゃないのに「恋人なんかいらんわい」としか見えない様子です。

 

何となく嫌な感じがしたのですが、その不安はその後的中することになります。

 

夢中で記事を書いていたところに電車の揺れで、彼が覆いかぶさってきました。ラップトップの画面が少し閉じられ私の頭のところに彼の胸があります。倒れる一瞬前に彼が窓に手を付いたので、最悪の事態は避けることができましたが、彼は謝罪の言葉もなく体を戻しました。

 

「なんだ、こいつは」

 

そう思って見上げたところ少しはすまなそうな表情を見せたのですが、会釈ひとつありません。その会釈ひとつで問題は解決するはずなのですが、謝ることに慣れていないんでしょうね。こういうタイプは人間関係で大失敗を繰り返原因が自分にあること気が付きません。完璧に不幸になるタイプの人相でした。

 

バカは相手にしない主義ですので、気を取り直し再度キーボードに向かってしばらくたった頃です。今度はつり革を握っていた手が落ちてきて画面を少し倒す形になったのです。

 

「おいおい」

 

再度見上げると、今度は完全にシカトを決め込んだようで(その半開きの)目を合わそうとしません。PCをかばんに戻し真剣にクレームしようと思いましたが、大人げないのと様々な被害を想定してみた場合に、その行為は意味のないことだと自分に言い聞かしながらもう一度我慢をし、画面を起こしてキーボードに向かいました。

 

その数分後、またもや手が落ちてきて画面にぶつかったのです。

 

「いい加減にしろよ」

 

そう思って顔を上げようとした時に、彼の強く握り締められている拳が目に入りました。自分の行為に何の反省もなく、すでに臨戦態勢を整えているのです。まるで北朝鮮のようだな、こりゃよっぽど弱いやつだな、と思いながらもまた「戦い」の意味の無さを考えまたまた我慢することにしました。

 

ケンカは初動で決まります。怯んだ方が一挙に不利になるのです。私の我慢を「怯んだ」と見たのでしょう。少しにじり寄って来ました。その時に私のつま先に彼の靴が少し乗りました。つま先を弾くようにしてその靴を払いのけた時、彼の臨戦態勢はレベルワンに跳ね上がるのがわかりました。

 

さて、その後何が起こったのかわかりますか?

 

何を期待していますか?

 

殴り合いのケンカですか?

我慢を重ねる姿ですか?

 

・・・・・・・・

 

あなたならどうしますか? 

【続く・・・】