音楽の世界で理解できないひとつのことがあります。それは洋楽がどうしてあれだけ売れるのかということ。私も仕事で英語を使っていますが、歌や映画の内容が100%わかるかというとそれは無理な話で、特にJokeや風刺的な表現などは全く笑えなかったり理解できない事も多いのです。言葉の壁をクリアできないで、欧米で売れたからというだけで、結構な枚数が日本でも売れるんですよね。確かに斬新なリズムや音に感銘を受ける事もあるでしょうけど、「歌詞」に対する理解は一体どうなっているんでしょう。

ミュージシャンは音だけではなく、歌詞にメッセージを込めているはずで、その部分を理解せずに、果して音だけでその楽曲を楽しむことになっているのかどうか・・・。Rap や Head Bangingなどさせる曲の歌詞などは、暴力的なものや退廃的なものがあったり、社会を痛烈に批判しているメッセージがのっかってるのに、聞いても全くわかりません。だからほとんど聞かない。でも中には頭ブンブン縦に振って陶酔している人も多いですよね。あれって、歌詞は関係なく頭振ってるだけですよね。日本語でも何歌ってるのかがわからない歌い方をするミュージシャンもいますね。言葉を大切にしないのってわからないなあ・・・。

昔からその命題が解けずにいますが、ただひとつだけ解決に近い音楽を作った人達がいます。ADIEMUS(アディエマス)がそれです。ジャンルでいえば「癒し系」で、Enyaの数年後に出てきて、今はコマーシャルやドキュメンタリーのBGMなどに好んで使われている音楽です。ADIEMAS(アディエマス)という名前は知らなくても、音を聴けば「あ~、何回も聴いたことある。」って反応するくらいポピュラーになっています。

ADIEMUS(アディエマス)というのは、実は現代のイギリスを代表する作曲家カール・ジェンキンスと元ソフトマシーンのメンバーであるマイク・ラトリッジが、同じ命題をクリアするために作った実験音楽なんです。それを知った時は、自分と同じ疑問だ~と思ってとても嬉しかったです(笑)。世界中の人々が歌詞の壁を越えて同じように音を楽しむにはどうすればいいのか?彼らはとても逆説的で興味深い結論に達し、それに基づいて音楽作りをしました。まったく新しい(架空の)言語を作り、それで歌詞を書く。そして、その歌を楽器のひとつとして音楽を作れば「歌詞を理解する必要がなくなる」と考えたのです。そのコンセプトにピッタリの"聖なる歌声"の持ち主といわれているミリアム・ストックリーという女性歌手を南アフリカで発掘して、Enya風の多重録音で音に深みを付け、見事と言うほかない新しいジャンルの音楽を確立させました。2004年に日本で公演がありましたが、その時には1997年に結成されたアディエマスシンガーズ(9人のフィンランド出身のボーカリストで結成したグループ)がその深みのあるハーモニーを醸し出していました。

海の中で周りが薄青く染まる中、ゆったりとイルカが横を泳いでいく時に流れるBGM。それがADIEMUSのイメージです。

日本では、100万枚以上売れて今なお売れ続けているファーストアルバムを始めとして、これまでにリリースされたアルバムは300万枚を超える売り上げを記録し、NHKスペシャル「世紀を越えて」のテーマ曲にも使われました。Feel(フィール)やImage(イマージュ)といったタイトルのCDなどにも数曲含まれています。改めて、歌詞を理解しないで(言語そのものが理解できないんですけど・・・もちろん歌詞カードもついていません・笑)。歌を音(楽器)のひとつとして聴いてみると、また違った風に聴こえることだと思います。

【リリースされたアルバムの紹介ページ】
http://www.culta.com/healing/healing/adiemus.html