『ダイイング・アイ』 東野圭吾 著
久々に東野圭吾作品を読みました。
ここ数日で、他にも2冊ほど、東野作品を読みました。
『無限花』
『仮面山荘殺人事件』
どの作品も、
まったく趣向が違っており、
興味深く面白く読めました。
ページをめくるたびに謎が押し寄せてきて、
過去、現在の交差、どの人物がどこでつながっていくのか、
その糸をたぐりながら、頭の中でなぞ解きをし、自分なりに物語の結末の仮説を立てながら
読んでいました。
読んだ本は順に、こちらで感想をまとめたいと思います。
今日は、『ダイイング・アイ』
…これはですねぇ、、ホラーですかね。
ちょっとホラー、サスペンス、現実にあったら怖い。。
なので、一読したら、最初からもう一度読もうとは思えなかったです。。怖くて…。。
ということで、
まずはあらすじです。。
~~あらすじ~~
バーテンの雨村慎介は、深夜店じまいをした後、何者かに殴られる。病院で目を覚ました慎介は、命の別状はなかったが、殴られた後遺症で、一部記憶が欠落していた。
慎介を殴った犯人は、自宅で自殺をしており、遺体として発見される。犯人の男は、岸中玲二。一年前、慎介は交通事故を起こし、岸中玲二の妻、美菜絵を死亡させていたのだ。
しかし、慎介の欠落した記憶は、この交通事故に関して。目覚めた彼はまったくこの事故のことを記憶していなかったのだ。。
周囲に交通事故のことを聞いても、皆、一年前に起きた事故のことは忘れているなら、無理に思い出すこともないと言われる始末。
そんな中、不思議な魅力を持つ一人の女性がバーに客としてやってくる。瑠璃子と名乗る女性に、慎介は一目見ただけで魅了される。
ハイ、、あらすじ、物語の概要は一応こんな感じで、慎介が自分の欠落した記憶を徐々に取り戻していくことで、事件、はたまた交通事故の真相があらわになっていくという仕立てです。
~~ってことでネタバレです~~
慎介は、岸中玲二に襲われた後、自分が一年前に起こした交通事故のことをまったく覚えていないことに違和感を持ち、独自の調査で自分自身の記憶を取り戻していく。
その間に、恋人が突然失踪したり、不思議な魅力を持つ女性と出会う。さらには、その女性とは何度か関係を持つことに。
慎介が一年前に起こした事故とは、深夜、車を走らせている時、前方を走る自転車に後ろからぶつかってしまったのだ。そのはずみで自転車に乗っていた女性(岸本美菜絵)は、自転車から投げ飛ばされ、近くの壁にもたれかかった。…しかし、その直後、対向車線に大きくはみ出た慎介の車をよけようと別の車が反射的にハンドルを切り、壁にもたれかかった美菜絵を轢いてしまったのだ。車と壁の間に挟まって奈菜恵は、身動きできず即死した。
つまり事故は、慎介が先に自転車にぶつかりはしたが、その時点で美菜絵は投げ飛ばされただけでまだ生きていたし、軽症だった。第二の車が、関与したことで美菜絵は死んでしまったのだ。
…さらに真相はもっと複雑になる。実は事故当時、運転していたのは、バーのオーナーである江島だった。慎介は身代わりになるように江島に頼まれたのだ。3000万円を取引として。そして、、第二の車を運転していたのは、木内というサラリーマンであったが、実はこちらも婚約者の女性が運転をしており、事故直後、木内は即座に婚約者を逃がし、自分が身代わりとなっていたのだ。
つまりは、事故当時者がどちらも、誰かの身代わりになっていた、というのだ。
だが、岸中玲二は、事故のきっかけを作ったのは、慎介の車であることから、慎介を襲うことを決意したのだろう。そしてことを成し遂げて(慎介が死んだと思い込み)、自殺をした。
と、ここで、事故、事件の概要は以上になるのですが…。
この物語にはホラー、、サスペンス要素が強いのです。
本当の恐ろしさは、別のところにあります。
…実は、、美菜絵は死ぬ直前、自分を轢き殺す相手の顔を直視し、絶対に許さない、という恨みの念を込めて相手の目を見つめながら死んでいったのだ。そして、、その目に取りつかれてしまったのが、木内の婚約者の女性、ミドリだった。ミドリは、美菜絵の目を忘れることができず、事故以降も罪の意識と共に、事故の恐ろしい光景を忘れることができないでいたのだ。
さらに、、ミドリは美菜絵の夫、岸中玲二と接触するうちに、身体も心もどんどん美菜絵化していく。
顔つきも髪型も、メイクをしたり(たぶん整形をしたりして)。
そうして、岸中玲二と気持ちを共鳴させていく。
岸中玲二が慎介を襲って自殺したあと、その思いを完全に成し遂げることができなかったと知り、美菜絵化したミドリは、「瑠璃子」と名乗って慎介に近づいていったのだ。男女の関係になり、安心しきったところで、瑠璃子は徐々に慎介の心を支配していき、最終的には殺すつもりだったのだろう。
しかし、途中でオーナーの江島が、あの事故の時、実は運転していたと知った瑠璃子は、江島をベランダから突き落とし、さらには自身も一緒にベランダから落ちて死ぬ。
慎介の恋人が失踪したのは、慎介が隠しておいた3000万円をひとりじめし、さらにオーナー江島にもっと吹っ掛けて多くの金をもらおうとして、逆に江島に殺されていました。
ミドリの身代わりとなった木内は、ミドリが徐々に美菜絵化していくことに対し、なすすべもなく、美菜絵を監視すること、制止することもうまくできずことを見ていたのだろう。さらに犯行を重ねていることなども、制御できなかったのだろうな。
…ということが、この「ダイイング・アイ」のざっとした物語の概要です。
目の前で死にゆく人から直視されて(しかも恨みのこもった目で)、そんな光景がもしあったとしたら、、ミドリのように放心状態…身も心も支配されていきかねないと思わずにいられませんでした。
結局のところ、慎介は江島に事故の身代わりにされただけなのに、逆恨みで岸中玲二に殴られたり、瑠璃子(ミドリ)に言い寄られたりして、散々だっただろうなー…。。
…結局のところ、瑠璃子(ミドリ)は、慎介にも同じような美菜絵の目の恐怖を味わってほしかったのだろう。そのために近づいたんだろうけれど(殺すために?)でも、なんで男女の関係をもったのかなー…とかなりその点は疑問。
私の推論としては、ミドリの中で、殺意を込めて慎介と向き合ったが、慎介が害のある人物に思えなかったからなのではないだろうか。加害者なのに、その素振りが見えず、それに単純に好みのタイプだったのかなと思います。
美奈絵化したミドリは、岸中玲二に共鳴しながら、側には親身になって身の上を案じてくれる婚約者の木内もいたのに、慎介と関係をを持つなんて、よっぽどその二人よりも慎介が魅力的な男性だったんだろうなーと思われます。私の勝手な解釈ですけどね。
事故への罪の意識を感じながら、美菜絵の目に支配されていくミドリは、慎介も同じような目に遭わせようと思いながら、どうしようもなく惹かれてしまったのではないかな…と思われてなりませんね。
物語の中に、ミドリが慎介を監禁する場面があるのですが、そこで「ずっと、ここで、一生、わたしといるのよ」とかいう言葉があったのですが、一生自分の目のトリコにさせようとしていたのかな…と。殺そうとは思ってなかったのかなー、実は。。
それに、ミドリは慎介と関係をもちながら「あなたの子供をつくるのよ」などと口走っていたこともあり、え?それってなんの復讐??などと思わずにはいられなかったんですけど。。
子供つくるなら、気持ちを共鳴した岸中玲二との間ではなかろうか?なんで宿敵である慎介なんだろうって。
だから単純に私は、ミドリが慎介に惹かれていたんだろうなって解釈しています。もちろん恨みつらみももっていただろうけれど。。
…長くなりました。。
「ダイイング・アイ」、ホラーサスペンス要素があって、ドキドキです。
とくに謎の女「瑠璃子」が登場するあたりから、もう、(ああこれはたぶん、美菜絵なんだろうなぁ。でも事故で一年前に死んでいるのになんで同じ顔をした女が現れるの…とドキドキ感がたまりません)
昨今、ニュースでも多くの「交通事故」が取り上げられていますが、本当に車の運転には注意したいものです。私も安全運転で気を付けたいです。
一瞬のゆるみが大きな事故につながることもあるし、この物語のように不運が重なってしまうこともある。。
本当に気を付けたいものです。。。