『モダンタイムス』 伊坂幸太郎・著


はぁ…ずいぶん前に読んだのが今頃(一ヶ月くらいは前かと…)やっと、ブログに読書感想をかけますよ。

ブログを書く時間もなかったのですが、、この作品の感想をどう表現していいのか、うまく文章にできる自信がなくて…今まで長引いてしまいました。

それくらい独創性がある世界の話しなんですよね。


この作品は「魔王」「呼吸」に続く続編と言われるべき作品です。

なので、私としては「魔王」「呼吸」を読んでから読むことをオススメします。

あと私の好きな作品「ゴールデンスランバー」と類似した姉妹作品と評されているので、そちらも熟読してもらえると、この作品への面白味が増すのではないかと想います。


…ということであらすじです

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 恐妻をもつ渡辺は、妻佳代子が浮気を疑うと自分のところへ得体のしれない男をよこし、暴行を加えさせ ることをがあり、結婚生活の継続を呪いたくなっていた…。

そんなある日、上司から突然別件の仕事を依頼される。聞いてみると担当の五反田が仕事を放りだして逃げてしまったようだ。

難しい仕事ではないとのことで部下の大石と仕事をはじめることに。

仕事はシステムのプログラムを少し変えるということ。システムエンジニアの彼らにとってはたやすい仕事に思えた…しかし仕事は難色を示す。


どうやら特定の検索語をネットに打ち込むことで表すサイトがあるらしい…。

そのキーワードは「播磨崎中学校」「安藤商会」「個別カウンセリング」。

しかしこのキーワードでネット検索をすると検索者の身に危険が及ぼすのだった。


果たしてこのキーワードは何を示すのか?

逃げた五反田はこのキーワードに気付いたのか?

そして妻佳代子の正体とは!?


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簡単にまとめると話しはそんな感じです。

主人公の渡辺は、ある特定のキーワードを検索することにたどりつき、そこから得体のしれない事件へと巻き込まれていきます。

検索をすると得体のしれない奴らに狙われる。何をしていてもどこにいても彼らには分かってしまう…。そんな恐怖心と一体誰が何の目的で狙うのか?その真意が分からずひたすら真意を追う渡辺。


…「モダンタイムス」とはチャップリンの映画をモチーフにしているようです。

チャップリンの映画では、機械化が進む社会で人間が翻弄されていくという作風になっています。

人間一人ひとりが社会のパーツとなり、いわば機械、システムに組み込まれていくという話しです。

全てにおいて分業、分業で、流れ作業のように自分の分担の仕事だけを淡々とこなしていく。


小説「モダンタイムス」においても、そういった諷刺をはらんでます。社会の全体からみると人間一人ひとりはシステムのパーツ、部品、に思えるでしょう。そして毎日同じ仕事、言われた仕事をこなしていると、一体自分は何をしているのか?この仕事がこの先どのようにつながっていくのか、自分の行動にどんな意味があるのか、それを知ることすら考えることすらできなくなっていく…。怖いですよね。。

そういうことを描いています。


…だから物事の本質を見抜く力。自分の今やっていることがなににつながっていくのか想像する力。

そういうものが人間の本来もっているものなのだ、人間くささを忘れるな、と読んでいてそんな風に私には感じられました。


「モダンタイムス」の中には、井坂好太郎という女たらしの作家が登場するのですが、ぶっきらぼうで口も悪く頭も悪そうですが、なんだかひねくれながらもいいこと言うんでしょうね。的を得ているというんでしょうか。

もう一人の伊坂氏の分身ということですかね(笑)


それから作中に「人はただの部品だ」という文章があるのですか。

本当にそうでしょうか?

そうだとしたら部品なりに戦うにはどうすればいいのでしょうか?


それから「勇気はあるか?」という問いが何度も作中にちりばめられています。

作中の人物に投げかけられる言葉でありながら、私たちに投げかけられているようでもあり、


(勇気はあるのだろうか??)と考え込んでしまいました。


みなさん、勇気はありますか?

あなたは社会の部品ですか?


一緒に考えてみてください。