「サブスタンス」を観た。
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50歳の誕生日を迎えた元人気女優のエリザベスは、容姿の衰えによって仕事が減っていくことを気に病み、若さと美しさと完璧な自分が得られるという、「サブスタンス」という違法薬品に手を出すことに。
薬品を注射するやいなやエリザベスの背が破け、「スー」という若い自分が現れる。
若さと美貌に加え、これまでのエリザベスの経験を持つスーは、いわばエリザベスの上位互換とも言える存在で、たちまちスターダムを駆け上がっていく。
エリザベスとスーには、「1週間ごとに入れ替わらなければならない」という絶対的なルールがあったが、スーが次第にルールを破りはじめ……。
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予告を観たときに、浮かんだのは「永遠に美しく」だった。
若返ると同時に不死身になってしまう薬を飲んだ女性二人が、自身の美貌やプライド故に殺し合いレベルの大喧嘩をする話。
ただ、そのやり取りが第三者目線で見るとひどく滑稽でくすっと笑ってしまう、そんなブラックコメディーだ。
今回は若さと美貌に目がくらんだ女優が得体のしれぬ薬を手にし、片割れとうまくいかなくなって大喧嘩…そんな話になるのだろうと。
蓋を開けてみたら、もっとグロテスクだった。
それは映像としても、内容としても。
50歳とは思えぬほど美しいエリザベス。
一般人なら充分ちやほやされるだろうけれど、彼女が活動するのは芸能界。
悲しきルッキズムとエイジズムの世界。
彼女を都合よく消費する男性プロデューサーに失望し、誰にも見られない世界に絶望した彼女が藁にもすがる思いで手にした薬。
結果、バージョンアップした自分であるスーが誕生し、そんなスーが芸能界で輝いていく様をテレビで見る…という更に悲惨な状態に陥る。
なんて皮肉。
物語は更に悪い方へ進んでいき、最後の方は文字通りぐっちゃぐちゃで思わず笑ってしまうほど。
あんなにルッキズム、エイジズムに苦しめられた女性の結末がこんなとは。
けれど他人の視線や評価ばかり気にしていたエリザベスが、最後に笑う姿を見て彼女自身が納得出来たのならいっか…という気持ちになった。