① 原文

今時之人不然也、以酒為漿、以妄為常、醉以入房、以欲竭其精、以耗散其真、不知持満、不時御神。

② 書き下し文

今時の人は然らず。
酒を以て漿と為し、妄りを以て常と為し、酔いて以て房に入り、欲を以てその精を竭くし、以てその真を耗散す。
満を持するを知らず、時ならずして神を御す。

③ 現代語訳

現代の人々はそうではない。

酒を水のように飲み、節度のない生活を常態とし、酔った状態で性生活を行い、欲望によって精を消耗し、自分の生命力を散らしてしまう。

自分の生命力を十分に保つことを知らず、精神を適切に養うこともできていない。

④ 語句解説

以酒為漿

酒を日常的な飲み物のように扱うこと。



東洋医学では生命活動の根本を支える重要な物質概念。

先天的なものと後天的に補われるものがあります。



ここでは生命の本質・真気など、生命力の根本に関わる概念として理解できます。

耗散

消耗し、散らしてしまうこと。

⑤ 東洋医学的考察

昨日の

不妄作勞

と対になる部分です。

ここでは「病気になるものを食べた」という単純な話ではなく、

生命力を消耗させる生活を積み重ねること

が問題にされています。

東洋医学では、過労・過度の性生活・飲酒・睡眠不足などを、身体の「精」「気」を消耗させる要因として捉えます。

⑥ 鍼灸臨床への応用

慢性的に疲れている人に対して、いきなり補う施術だけを考えるのではなく、

「何がこの人のエネルギーを消耗させているのか?」

を見ることが重要です。

例えば、

睡眠不足 → 回復不足 → 疲労 → カフェイン・飲酒 → 睡眠の質低下

という循環があれば、そこを断つことが養生になります。

⑦ 今日のポイント

治療では「補う」だけでなく「漏らさない」ことも重要。

⑧ 復習問題

「精を補う」ことと「精を消耗させない」ことでは、どちらが先に必要でしょうか?