「おい!」
「おい!にーちゃん!」
はいっ、なんでしょう...
「なんだよこれ!」
「ぬるいよ!」
えっ、ぬるいですか...
申し訳ありません
温め直しますっ
「温め直すじゃねえよ!」
「どういうつもりなんだよ!」
申し訳ありません...
温め直してきますので...
シーンは変わり
カウンターにひとり残るおじいちゃん
やおら厨房の奥で
温め直し中の若い男性スタッフに向かって
「そんなぬるいの出すって」
「なに考えてんだよ!」
「お前、これ食ったことあんのか!」
「俺は三日も続けて来てんだよ!」
「馬鹿にしてんじゃねーよ!」
と感極まってカウンターに
ゲンコツを叩きつけるおじいちゃん
そして少しして
お詫びの言葉とともに
温め直したものを出し直す男性スタッフ
結局このおじいちゃん
最後にレジで精算するときも
対応したその男性スタッフに
説教していました
一連のやりとりの間の
おじいちゃんのすぐ背後のテーブル席で
朝定食をやっつけ中の
私の思考推移
・ち、面倒臭せぇ客と重なっちゃったよ
・つか、シンプルにうるせーよ
・快適な朝のひとときが台無しだよ
・それよか弱いもんイジメするんじゃねーよ
・言うにしても、言い方ってもんがあるだろよ
・でもまあホントにぬるかったんなら
・スタッフの良い教育にはなるよな
・単に気の短いじーさんなのかもしれないけど
・世の中にはそういう
・うるさ方の役回りの人も居ないとな
・しかしホント世の中にはいろんな人が居るなぁ
・しかしこのじーさん
・相当ストレス溜まってんだろな
・見ため年齢的にも仕事はしてなさそうだし
・"三日もここに朝飯食いに来てる"って言ってたし
・奥さんもう居ないのかな
・それとも奥さんに作ってもらえないのかな
・まあ、既婚者とは限らないけど
・でもまあ
・立場の弱い相手に強く当たるってのはどうかねえ
・まあでもそこんとこは
・当事者間でそれぞれ好きなように
・心に収めりゃいいって話で
・とりあえずこっちの気分は悪いわな
・やっぱ気分悪いわ
・なんつっても公共の場だからな
・"他人様"って配慮はないと駄目だろ
と
そのおかげかどうかはわかりませんが
食ってるあいだ
ヒマしませんでした
とりあえず最後まで
なにが"ぬるかった"のか
私にはわかりませんでしたけど
