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 東京都港区麻布永坂町地域のみなさんにお届けする「塀の中はこんなとこ ある刑務所での生活ドキュメント」

 
 これは、とある地方の刑務所で服役生活を経験した方々への取材を基に構成・作成したものである。

 

 
 「作業始め!」
 
 と言う刑務官の号令とともに、受刑者全員が一斉に各持ち場での作業を開始する。
 
 検品作業をするもの、搬出搬入、機械作業など各班の班長の指示のもとで作業が行われるのである。
 
 作業が始まって間もなく、「投薬」の号令がかかる。
 
 持病を抱えていて朝薬を飲まなければならない受刑者は、「投薬」の号令がかかると、右手を真っ直ぐ上に挙げて、
 
 「お願いします!投薬の為、移動します!」
 
 と大声で叫んで、許可をもらい移動する。
 
 工場の中央に、刑務官が全体を監視する担当台と言う高い台があるのだが、その前で、各受刑者の所持薬が渡される。
 
 列に並ぶ際に、やかんに入っている水を、プラスチックの黄色いコップに注ぎ入れて順番を待つ。
 
 自分の称呼番号が呼ばれたら、返事をして刑務官前で渡された薬を飲む。
 
 この時、確かに口に入れた事を確認してもらうため、大きく口を開け、口の中に薬が入っているところを刑務官に見せる。
 
 薬を飲んだ後は、確かに飲み込んだ事を確認してもらうため、再度口を大きく開け、舌を上に上げて刑務官に見せる。
 
 薬の時だけでなく、差し入れや購入した日用品の受け取りなどで、担当台に移動した時は、刑務官に一礼してから、
 
 「〇〇(称呼番号)番〇〇(名字)です。呼ばれたので来ました。」
 
 と言い、用が済み戻る際には、
 
 「〇〇番〇〇、用件が済んだので戻ります。」
 
 と言ってから移動する決まりがある。
 
 決められた時間に、用便の時間が設けられており、各班ごとに順番にトイレにいくのだが、この順番は日替わりローテーションになっている。
 
 移動の際は、2列縦隊になり、号令に合わせて行進してトイレに向かう。
 
 用便や手洗いが済んだ者から、各自席に戻るが、この時も、普通に歩くのでなく、一人行進状態で戻らねばならない。
 
 一日に40分間の運動の時間が設けられているが、各工場ごとに日替わりローテーションなので、作業を始めて間もなくの時もあれば、午後になる場合もある。
 
 運動の時間は、基本的にはグラウンドに移動するが、雨天の時などは、体育館で行う。
 
 運動で許されているのは、グラウンドを走るか歩くか、決められた場所での筋トレである。
 
 運動をしない者は、決められた場所で座って話をしたり、将棋や碁をしたりしている。
 
 立ち話は禁じられている。
 
 
 映画やドラマなどでは、よく受刑者たちがソフトボールをしているシーンが登場するが、取材した元受刑者の話では、年に二回春と秋に行われるソフトボール大会の練習の為だけに、大会のひと月ほど前からバットやグローブなどの道具が貸し出されるので、その期間以外にソフトボールやキャッチボールなどは出来ない。
 
 また、その日の新聞が置かれているので、それを読む事も出来るが、新聞の各面ごとに透明なビニールに入れて置かれており、一人が新聞まるごと一部を独占出来ないようにしてある。
 
 
 やはり刑務所では、食事とテレビが何より楽しみなので、テレビ欄の所には受刑者が集中する。
 
 この新聞が置かれている場所では話をする事は禁じられている。
 
 また、この運動の時間に爪を切る事が出来る。
 
 各受刑者専用の爪切りがあり、刑務官の所に行き、
 
 「〇〇番〇〇です、爪切り貸与お願いします。」
 
 と言って、許可を得てから名札を外し爪切り箱の蓋の上に置き、それと交換で爪切りを借りる。
 
 名札を置く事によって、刑務官が今誰が爪切りを借りているか分かるようにするのである。
 
 
 爪切りが終わったら、刑務官の所に行き、
 
 「〇〇番〇〇です、爪切りありがとうございました。」
 
 と言って、爪切りと名札を交換する。
 
 運動時間終了の5分前になると、
 
 「5分前!」
 
 と号令がかかる。
 
 その号令に合わせて受刑者は整列して工場に戻る準備をしなければならない。
 
 「終了!」
 
 の号令がかかったら、会話を止めなければならない。
 
 しゃべりかけたところでも、そこでピタッと言葉を切らなければ注意される。
 
 刑務官の注意の仕方であるが、基本的に「怒鳴る」。
 
 問題になるので、罵声を浴びせる事はないが、工場でも廊下でもどこでもとにかくガンガン怒鳴る。
 
 受刑者の間では、刑務官の事を「オヤジ」と呼んでいる。
 
 点呼の後、号令に合わせ、行進して工場に戻る。
 
 とにかく移動の殆どは行進である。
 
 工場に戻り、再度点呼をとり、作業に戻る。
 
 昼食の一時間くらい前になると、大体5~6名の受刑者が指名され、昼食の為の配食をする。
 
 食堂は、工場内にある。
 
 学校の給食当番と同じように、白衣と帽子、マスクを着用し、手を洗い、手のひらと甲を刑務官に確認してもらってから、薄いビニール製の手袋をつける。
 
 配食係は、自分が担当するおかずや汁物などをテーブルに並べられた三品皿に盛り付けたり、お椀によそったりして回る。
 
 配食が済んだら、刑務官に確認してもらう。
 
 自分の分や、自分と仲の良い受刑者に多く盛り付けたりしていないかチェックする為である。
 
 多く盛り付ける事を「ヅケる」、減らす事を「ゲソる」と言う。
 
 
 問題がなければ、それで終了となり工場作業に戻るが、他と比べてあまり盛り付けに差があると、調整させられる。
 
 この配食係は、昼食後の洗い物係を兼用することも多い。
 
 
  昼食は、全員が整列して、食堂に向かう。
 
 席に着いたら手を腿の上に置き、テーブルの上の物に触れてはならない。
 
 大体ひとテーブルに4~5人が座る。
 
 
 刑務官の「姿勢を正して。いただきます。」
 
 の号令で、全員「いただきます。」と言って一礼してから食べ始める。
 
 食事が終わり、昼休みの時間になるまでは、一切話してはならない。
 
 必要がある時は、作業中と同じように、右手を挙げて
 
 「お願いします!」
 
 と言ってから、
 
 「〇〇の為、〇〇さんと交談お願いします!」
 
 と、誰とどういう理由で話すのかを伝え、許可を得なければならない。
 
 昼食が始まってから、昼休みが終わるまでは、食堂の一番前と後ろにあるテレビがつけられ、NHKのニュースが流される。
 
 テレビは、高い台の上に置かれているので、一応どの席からでも観る事が出来る。
 
 外国人受刑者でラマダン中の者は、昼食時間の間、食堂の一番端に椅子を置き、受刑者たちが食事をしている所を見ないように、背を向けた状態で、昼食時間が終了するまで黙って座っていなければならない。
 
 昼食時間終了になると、刑務官から
 
 「姿勢を正して。ごちそうさまでした。」
 
 と号令がかかるので、受刑者も
 
 「ごちそうさまでした!」
 
 と言って、一礼してから、食器等の片づけを始める。
 
 受刑者の中から選ばれた数名が、皿や箸、お椀、丼など各テーブルごとに回収していく。
 
 それらの作業が終わると、
 
 「休憩開始!」
 
 の号令で昼休みに入る。
 
 運動の時間と同じく、将棋や碁、爪切りが許されている。
 
 また、食堂の外の極一部の範囲で筋トレ程度の運動も許されている。
 
 この時間に、刑務官に相談や質問などしてもよい。
 
 昼休みが終わると、各班ごとに号令に合わせて、食堂から出て整列し、全員整列したら、工場の担当か副担当の刑務官から、訓話が語られる。
 
 それが終わると、それぞれ号令の下に各持ち場や席に着き、作業を始めるのである。
 
 途中5分休憩があるが、その時は自席で近くにいる受刑者と交談しても良い。
 
 こうして、帰寮時間若しくは入浴の時間まで作業を続けるのである。
 
 
 東京都港区麻布永坂町地域のみなさんにお届けする「塀の中はこんなとこ ある刑務所での生活ドキュメント」。
 
 次回をお楽しみに。
 
 

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