この世界の片隅に 5月26日マチネを

昨日書いたとおり、12時開演と思いこんで15時5分なら余裕、と、新幹線を16時半にとってました。前日、チケットみたら、12時45分と!15時50分終了予定。取り直してもいいけど、早割でとったのに、もったいないなあ、と思い、そのまま。1幕ですでに5分遅れていたので、終わりかけは時計ちらちら…座席直近の席だったため、終了後カテコ途中で脱走しました。余韻に浸る間もなく、残念です。名古屋と呉で浸りたいと思います。

 

浦野すず · 昆 夏美 · 大原櫻子 

北條周作 · 海宝直人 · 村井良大 

白木リン · 平野 綾 · 桜井玲香 

水原 · 小野塚勇人 · 小林 唯 

浦野すみ 小向なる 

黒村径子 音月桂

 

白木美貴子

川口竜也

加藤潤一
飯野めぐみ

家塚敦子

伽藍 琳

小林遼介

小林諒音

鈴木結加里

高瀬雄史 

丹宗立峰

中山 昇

般若愛実

東 倫太朗

舩山智香子

古川隼大

麦嶋真帆
すずの幼少期(トリプルキャスト)
桑原広佳 澤田杏菜 嶋瀬 晴
黒村晴美(トリプルキャスト)
大村つばき 鞆 琉那 増田梨沙


1階I列センターブロック。視界良好で、顔もしっかり見える席でした。

原作は読んでいませんが、映画も連続ドラマも拝見しているので、話はばっちり分かって観てます。

広島育ちなので、原爆関連を、小さいころから叩き込まれすぎていて、この映画を最初見た時は、「広島にだって空襲も普通にあったんだよなあ…」と当たり前のことを感じながら見たことを思い出します。戦争が始まっても、しばらくは、不穏な空気はありながらも、市民の人たちが、普通に暮らして、でも戦争の影がひたひたとせまり、失うものはあっても、それでも人は生きていく、生活があった、というのが、2人の若い夫婦を通じて、感じられる作品。

 

前日見たナビレラが、歌の部分で、満足というものではないため、余計に、全員でコーラスする楽曲が多いこのミュージカル、歌がきれいで素敵でした。

ソロはというか、歌、本当に噂通り、少なかったですね、周作さん。優しいのは分かるし、不器用な口数少ない青年の感じは堪能しました。軍服っぽいのもヘルメットも、結婚式も何着ても似合ってました。

大原さんのすずさん、本当にこまいのぉーでした。歌もお上手だし、リンと周作のことを知って苦悩したり、戦争が終わって怒り狂う姿も、演技も緩急がついていて良かった。

りんさん、桜井さんはジキル&ハイドで見てましたがきれいな子ですね。坂系かと偏見を持っていたけどもはや問題なし。平野さんが本当は観たかったのですが。

水原。小野塚さん、普通に素敵な青年で、何も言ってくれない周作さんより、そっちでもよくない?と時代設定が戦時のそこじゃなければ我慢ならないでしょう、現代はその点、離婚率も上がるよなあ…って思う、なかなか、いい青年でした。

子役ちゃんは2人とも、上手でした。すずの少女時代は、大人のすずの心象風景を歌う重要場面だし、晴美ちゃんは抜群に広島市育ち設定の方言、イントネーションから、せりふまわし、非常に上手い、感心してしまいました。

隣組の歌を歌う3人のおばさんたちがすごく歌が上手い。広島に新型爆弾が落ちたあたりとか、ちょっとずつ、曲が短調に暗めになる転調しても上手、うたごえ安定してました。

 

今回一番の泣きポイントは。

音月さんのソロ。自由の色。

先日締め殺しの木という本を読んで、くらい話だなあーと、いろんなことにがんじがらめにされて、つらい目にばかり合っている主人公に「あなたは、哀れでも可哀相でもないんですよ」と寄り添う人のセリフがあり、それは、もっとつらい人がいるから我慢しなさい、という意味ではなく、その哀しみに自分自身が依存してかわいそうな自分に入り込みながら生きていた、まだ自分は不幸だからと楽になる道を選んではいけないと主人公が悟るというシーンがあり、そこに感銘を受けたのです。この音月さん演ずる義理姉さんは、本当に、一緒になった人に先立たれ、娘を失い、本当に過酷なんだけど、「同情してほしいわけじゃないこれは自分が選んだ道」と冒頭に歌う。それでいてすずには「親に勧められた結婚、あなたの人生は誰かが選んだ道」だから、「いつでも嫌になったら帰ったらいい」という。けど、すずも、本当に全部人に決められたか?というとやはり最後は自分で選んだもので、これからも自分で選べる自分の人生がある、ということを「あんたの世話くらい気が紛れていいわ」と、ゆだねてくれている、強くて、自分で立って歩いている強さを感じさせて、そこは非常に感動して泣きました。

 

そのあとからは正直、時間が気になってしまい…

広島で、孤児に懐かれてしまい、3人で帰るところなんかは、ミスサイゴンのアンサーソングみたい、とは思ったものの、ドラマ版だと、すずさんの右手がないのを孤児は被爆したときに実母が右手を失いながら朽ちていってしまったのとすずと重ね合わせてしまったんだったはず。虱だらけのこの子を連れて帰ったら義理姉さんが、晴美さんの服をちゃちゃっと出してくれて家族で受け入れられた。まあ、それを舞台で伝えるのは難しいでしょうし時間もないけど。

 

広島地方のお言葉は、印象的には仁義なき戦いっぽいでしょうが、普通の人は普通に方言としてしゃべる。若干、単語内のイントネーションが、癖があるので、方言指導大変だったんだろうな―と思いながらセリフを聞いてた。ナチュラルだったのは晴美ちゃん。子役ながら、広島市で育ってる子設定なので広島弁が上手だった。広島と呉も言葉は細かく言うと違うし、呉の方がマニアックなので呉育ち設定組は苦戦か?私が耳なれていないのか、私もセリフいうなら呉弁より広島弁の方が得意だと思う。

 

とはいえ、広島地方のお言葉のお品のない印象を払拭することができて良かった…と妙なところで満足感があった。