見えない力に導かれる

 

 

 

 

彼のことは大好きだった。

でも彼と一緒になるなら子どもは望めない。

それでもいいと思っていた。

彼と一緒に生活できたらそれが一番幸せだと思っていた。

 

 

けど

 

 

 

 

プレゼントでもらったアクセサリーやバッグ

旅行の思い出の品

写真

食器

 

 

彼のことを思い出すきっかけになりそうなものは全て捨てた。

最初は泣きながら

次第に怒りに変わり

最後は清々しい気持ちになった

 

 

すると私にある感情が生まれた

 

子どもが欲しい

 

下腹のあたりがグワーッと熱くなった。

頭の中に生まれたばかりの赤ちゃんの姿が浮かぶ。

ああ、私は子どもが欲しかったんだ。

そうだよ、私は子どもが好きだ。母親になりたい。

本当はずっと子どもが欲しいと思っていたんだ。

 

鼓膜にドクドクと心臓の音が響く。

手が震えた。

私は声に出して何度も言った。

 

私は子どもが欲しい。

かわいいかわいい我が子が欲しい。

子どもが欲しい。

絶対に欲しい。

 

 

私が本当に心から望むものがやっと分かった。

 

 

 

 

私は37歳になっていた。

 

ある日いつものようにラジオを聴きながら通勤していると

今住んでいる市の2つ隣の市で婚活イベントがあるという情報が。

それも市役所の地域活性推進課が主催だという。

へー、市が主催か。

 

この市はかなりのド田舎。

観光スポットはないし、美味しい名物もない。

だから今まで一度も行ったことがない。

 

なのになぜかビビビっとくるものがあった。

 

 

 

私、ここに嫁ぎたい。

 

 

 

 

見えない力に導かれて私はこの婚活パーティーに参加。

そこで今の夫と出会った。

出会って5ヶ月で入籍というスピード結婚。

 

出会ったときに結婚すると思った。

好きとか一緒に居たいという気持ちではなく

 

これはご縁だ

 

と思った。

お互いのことをあまり知らないままどんどん結婚の準備が進み

我に返ったのは新婚旅行の時。

 

 

あれ?

この人との結婚だいじょうぶかな。

 

 

私たちは新婚旅行先で新年を迎えた。

年が変わった時

私の人生のステージも変わったと感じた。

 

その変化は今後苦痛を伴うだろうなという予感がした。

 

 

 


私の夫は発達障害だった。