こんにちは。
トレイルランナーズ大阪の安藤大です。
2023年11月12日(日)栃木県は日光で行われた『日光国立公園マウンテンランニング大会』のレースレポート後編(レース編)をお届けします。
レーススタートは6時。よく「スタートの4〜5時間前に起きましょう」という記事を目にしますが、僕は早すぎず遅すぎずスタートの2時間前ぐらいに起きます。レース当日だけやたらと早起きというのもリズムを崩すという考えから。朝4時起床、朝食を済ませ、5時にホテルをチェックアウトし会場へ向けて徒歩移動。
スタート時刻が2022年から変更となり、ミドルコースは1時間早いスタートに。30数kmのレースですので、7時スタートでよかったのにと思いましたが事情があったのでしょう。
ミドルコース 7:00 →6:00
ショートコース 7:20→7:30
気温を見ただけで、ぶるっと肌寒くなる…吐く息が白くなるほどではありませんが、指先がかじかむぐらいに寒い。久しく5℃を下回る低気温の中トレイルのレースに出ていないので、どんな服装をしたらいいかぎりぎりまで悩みました。
百戦錬磨の僕でそうなのですから、初心者や冬場のレースがはじめての人は「服装がわからない」と悩んでも無理もない。
失敗や不安を少なくするためにはやはり冬場のレースに積極的に出ること、経験と思います。
●レースの服装を参考にしたい場合には大会写真や映像で服装をチェックするのが一番の手段だが、注意点があります
昨年は半袖の人が多かったですが過去の気温を調べてみたら14℃、今年は5℃ですので、映像だけを参考にすると服装に失敗をする初心者の王道パターンに陥ります。
スタート地点の標高がすでに約634mで、コースの最高点は1600mですから、「山の中は5℃以下かもしれない」「山頂は霜もあって氷点下かもしれない」と予測がつきます。
トレイルランニングは「いったいどこまで過酷な状況に耐えることができるか?」という要素もあるスポーツと思っていますので、どんな状況でも必ずサバイバルできるように備えるが僕のモットーです。
申し込みの際に送迎バスの希望を出したのですが、「バスを増便していますが、ピーク時には満席になる恐れがございますので、歩ける方は歩いてください」と事務局からお願いのメッセージがありました。
「乗車できるかどうかわからない」
自分でコントロールできない不確かなことに大事なレースを預けたくないので、迷わず徒歩を選びました。申し込み時に時間帯別に定員枠を設けるとか、送迎バスを有料化するなどの解決策があると思いました。
来年以降に参加をお考えの方にも駅からの徒歩をおすすめします。なぜなら公共のトイレを利用できるから。会場のトイレはランナー行列です。途中にあるコンビニで朝食を買うこともできます。
日光東照宮に到着!表参道のど真ん中にスタートゲートがあるのは異様で圧巻。
2022年のデータを見ると、
上位10%以内タイム 5時間00分以内
上位20%以内タイム 5時間30分以内
5時間以内で上位10%に入ることができるとわかり、「そのぐらいのタイムで10%に入れるの?イージーだな」というのが最初のイメージでした。
コースプロフィールや過去の実績から4時間30分でフィニッシュできると考えていましたが、みんな思いのほか完走に時間がかかっていることに「ハードかもしれない」と考えをあらためました。
4時間30分以内はかなり頑張らないといけないかもしれないが、4時間45分では余裕をもってフィニッシュできると見ていました。
女子優勝タイム4時間30分以内
女子入賞タイム4時間50分前後
4時間46分59秒
出走者数 889人中51位(全体の上位5.7%)
GPSデータ 35.39km/2,202m
ほとんど予測タイムどおりでしたが、後半のミスコースが悔やまれます。
【大会で問題に感じた点①】
・コースプロフィールはいったいどれが正しい?
応募は40km、その後何の知らせもなく35kmに修正され、提供されたGPXデータは31km。
いったい選手はどれを信じたらよいのかわかりません。
僕はミスコースしたため約800mほど長く走っていますが、複数のランナーの記録を見ると34.5kmのようでした。
僕も国内や海外レースにたくさん出場しているのでトレイルでは1、2kmは誤差があることも理解していますが、それも2、3kmまで。
もしマラソン大会で「当日にならないと30kmか35kmか、42.195kmかはわかりません」と話したらクレームが出ると思います。なぜならそれに合わせてペースは異なるから。30kmだと聞いて走って、42kmあったら大変です。
久しぶりに40kmのトレイルのレースに出場したいと思ってエントリーしたのに、購入したクリームパンが5個入っていると思ったら3個しか入っていなかった残念な気分でした。
【大会で問題に感じた点②】
事前に大会側から郵送されてきたコースマップと公式サイトに公開されているものが違う!
事前に郵送されたランナーの当日携帯するコースマップは「行きは左回り、帰りは右回り」でしたが…
大会の公式ホームページでは「行きは右回り、帰りは左回り」でした。SNSやレビューを見ても誰からの疑問や指摘も確認できなかったことに、「みんなコースマップを見ていないのだろうか」と不思議に思いました。
ぴんと張り詰めた寒空の空気の中、スタートゲート前で和太鼓が響きわたります。
昨年の参加者のレビューで「アナウンス不足の多い大会」「コースは素晴らしいが運営には改善の余地あり」とあったので覚悟して臨みましたが、今年も本当にそのとおりの大会でした。
【レース序盤】
レースがスタート!しかし、スタートをしてコース上に誘導員はおらず、テープも見当たりません。レース序盤なのでみんな猛スピードで走ります。
「(みんな、何を目印に走っているのか)」
「(本当にこの道で正しいのか)」
不安を抱きながら走りますが案の定、あとでGPSデータを確認すると招待選手を含めミスコースをしていました。マラソン大会のように前後左右にランナーがひしめき合い、たとえコースが間違いだとわかったとしても一人だけコースを逸脱することは危険で難しい状況でした。
【大会で問題に感じた点③】
正しくは🔴印をスタートをして、本来は写真の箇所を右折しなければならないところを「❌」印の方向にまっすぐ進み…
写真のようにぐるっと迂回するかたにになりました。その後すぐ正しいコースに復帰するので「自分がミスコースをした」ということにさえ気づかなかった人もいたと思います。
そのためランナーは本来のコースではない狭い遊歩道を走ることになりました。
下り坂をキロ4分ペースで駆け下っていると、とつぜん僕の前を走る人が「うわっ!」という声をあげてジャンプをしました。
僕もとっさの危険察知能力でジャンプをしましたが、2メートルもない道幅に、ひざ下ぐらいの高さにバイク通行止めのチェーンがありました。
危ないっ!!💢
もし前の人がこのチェーンに足を引っかけ転んでいたら僕はとっさに避けることができていたか自信がありません。
一緒に転倒をし、自動車の玉突き事故みたく陥っていた可能性が高い。ランナーも数メール手前で障害物を発見しても急には止まれません。スタート直後の猛スピードであれば尚さらです。
画像はサンプルですが、こういうやつです。
皆さんは大会がスタートした直後のペースで、ランナーの群衆の中いきなり足元にチェーンが出てきたら…とっさにジャンプできますか?
たとえ気づいて(あるいはジャンプできずに)立ち止まろうと思っても、すぐ背後からは大勢のランナーが押し寄せており、自分ひとりだけ急に立ち止まることは衝突を招き危険です。
不可避のチェーン!
これまでにランニングの故障やトレイルでの大きな怪我なく過ごしてしましたが、主催者側の誘導ミスによって危うく大怪我するところでした。
実際に後続のランナーの中には大転倒された方もいて、「胸のフラスクが破裂し、幸いにも怪我は手首の打撲とすり傷で済みました」と後日話していました。
世界遺産の日光東照宮内でドミノ倒し的にランナーが倒れる…想像しただけで恐ろしかった。
神社の境内なので誘導テープをつけられないのだとは思いますが、コースの誘導員はいてもいいはずですし、それも難しければ先導するランナーを一人つけて「境内のはじめの800メートルは先導ランナーに従って走ってください」とすれば解決すると思いました。(実際に海外レースでスタート地点が観光地や遺跡の場合にそのような対応をしている大会もありました)
転倒された方は事務局に事故報告されたそうめすが、僕の知る限りこのことは大会のニュースやSNSにもあがっていません。なぜ第8回大会でこのようなリスクが起きたのか。
トレイルに入ると渋滞。これもレビューで調べてわかっていたので、「(走っているあいだは大丈夫でも渋滞で止まっていれば寒さにやられるかもしれない)」そう考え十分な服装をもって出場したので心配はありませんでした。
ランナー渋滞は10kmまで続き、下りはあくびが出るほどのゆっくりペースでした。100番以内にいた僕のゾーンでそうなのですから、後続のランナーはもっと渋滞したことでしょう。
その後岩がゴロゴロあるトレイルで、後続のランナーが転び「大丈夫ですか!?」誰かが心配で声をかけ後ろに意識がいった瞬間…
僕も石に足をつまづいてヘッドダイビング!トレイルランニングを始めて15年になりますが通算11回目、久しぶりに派手に転びました。幸いにも手袋をしていたので上手く転べ、ダメージは最小限で済みました。
「(アイタタ…やってしまったな)」
思わず苦笑いしました。そんな僕の横をまるで屍を避けるかのようにランナーに次々と追い抜かれます。先頭集団の競走は熾烈です。
濡れないことは不可避の川渡り。昨年参加のランナーの感想は「冷たくて気持ちがいい」とありましたが、今年は「この寒い中、川に足つっこむの?」「おいおい、スパルタンレースじゃないんだぞ」。これは楽しいので来年以降もコース継続してもらいたい。
笹稜線の絶景!旧霧降牧場。牧場の跡地だけあって景色が開けており、周囲の山々が一望できました。
霧降高原の旧スキー場跡地にある第三エイドに向かって走りますが、進めど進めどつかない!「GPXデータは31kmだが34kmはあると覚悟して走った方が良さそうだな」と走りながら思いました。
天空回廊1,445階段。大台ヶ原の日出ヶ岳みたい。今大会で一番楽しみにしていたポイントで、僕は「登らされている」とは一切思いませんでした。「全部の階段を走り切ってやる!」と思っていましたが、まったく走れませんでした。
山頂は強風で、立ち止まったら低体温まっしぐらな気温氷点下で、地面は霜が降りていました。久しぶりに「(ああ!厳しい自然の中、僕は生きている!!)」生を実感できて歓喜しました。
ここへ来る途中でウェストポーチに500mlボトルを一本入れただけの明らかに1リットルの水分や上下のレインウェアや防寒着など必携品は携帯できないであろう軽装のランナーを目にし、無事通過できたのか安否が気になりました。
山頂を登り切ったあとのご褒美とされる『リフト跡の草原の下り』。足元はふかふかで全力スピードで爽快に駆け降れると思っていましたが、凸凹に段差もあって、おっかなびっくりでした。
中盤以降は走りやすく気持ちのいいトレイルですが単調で同じ風景が続き、朝4時起きとあって、走りながら眠くなってきました。高速道路の運転はなぜ眠くなる?と同じでした。
ぐんぐんとスピードを出して走りたいですが急に前後のランナーの気配か途絶え、行けども行けども人に遭わず、コースの誘導テープもほとんどなくなり、不安もあってペースが上がりませんでした。
ええっ!?不可避の川渡り、再び。せっかくシューズや靴下も乾いたのに…往路は行きと同じコースを辿るので再び渡渉があります。わかってはいたのだけれども「まさか!」と感じます。
ミドルの部のコース後半へと向かうにつれて、誘導テープは少なくなり、分岐でもテープのない箇所がありました。
「行きに通過をした道なのでわかるでしょう?」といった風な印象を受け、初心者や一人で山に行って後ろを振り返ると「はじめて目にする道」と見紛うランナーには大変と思いました。
コース後半でミスコースしていました。僕の前に先行して降りていくランナーが少なくとも2名確認でき、僕のあとに1人、また1人来て、「間違えやすい分岐だったんだ。みんな吸い込まれている!」と大会運営に危機を感じました。
ショートコースの人はミドルコースの人と最後は合流して走りますが、なぜかへろへろに疲れた姿のショートコースの人も間違った道を降っていくのを目にしました。
「(いったいどうなっているんだ…?)」
後続から来たランナーが「ここまで一本道でしたよね?」と僕に尋ね、お互いに「この分岐点はテープがないけれども右か、左か?」現在位置や方向、マップなどを確認しているあいだにみるみる時間は過ぎ、15分近いタイムロスとなりました。
ここまで力を尽くして走ってきたのに…年内を締めくくるレースで本当に悔しい思いでした。
これが正しいルート。地図で見る限り間違えようなさそうですが、枝道がありました。
正しいルートへ復帰するとたまたまそこへスタッフが通りがかったので、「複数人が間違った場所に出て、異なる道を降ってますよ!」と報告をし、その後同じ間違いをする人が出ないよう祈りながらレースを続行しました。
僕は体力に備えもあって大丈夫ですが、気温6℃以下の中、初心者や軽装の人が山の中でどこかへ行ったら大変です。
最終エイドに到着すると、「あと5km」の距離表示がありました。「ええ?!」僕の手元のGPXではすでに33km近くを示しており、ミスコースの距離は除外しても2km弱程度のはずです。
案の定ゴールまでは5kmもなく、案内からレース中まで距離表示がはちゃめちゃな大会でした。
フィニッシュに向けて境内の階段を下っていたら、
「あ、インスタの人!」
と言われました。
僕のリールは300万回再生されていますから、誰の目に止まっているかわからず恐ろしい…
ロングの部ではリッツカールトンのシェフによる料理が振る舞われたそうです。
日立国立公園マウンテンランニング大会のここがおすすめ
□駅からのアクセスがよく、日光観光も楽しめる!
□ゼッケンは事前郵送で当日受付はなし
□大会Tシャツの品質とデザインがいい
□スタートとゴールが日光東照宮
□普段走ることのできない国立公園内を走ることができる
□登山・トレイルランが好きな人はミドルコースがおすすめ
□トレイルランが苦手でウルトラマラソンが好きな人にはロングコースがおすすめ
□ロングコースはリッツ・カールトン日光と連携をし、エイドでシェフによる食事が提供される
□ロングコースは日光山内と奥日光を結び、古くは男体山や中禅寺への登拝者が通っていた道「いろは坂」を走ることができる
ここは残念!
□コースプロフィールか応募と発表、実際とで大きく異なり、主催者から詳しい訂正発表がなかった
□最も目立つべき場所に記載するべき必携装備品についてがサイトの中でわかりづらい(そのせいもあってか明らかに必携装備品を携帯していないであろう人、ウェストポーチの軽装の人がいた)
□コース誘導の不親切さ(スタートして境内には誘導員もおらず、コーステープもない)
□ゴールするとタイム入りの完走賞のみで速報順位はわからない
□リザルトの公開が遅い(大会終了後5日以降に発表された)
□帰りのバス乗り場の案内が不親切
日光を大満喫!やっぱり僕は大人数の大会は苦手で、200人から300人程度までの少人数でアットホームな大会が好みと実感できました。
Never Stop Running.
【STEP1】無料メール講座で学ぶ
【STEP2】大阪城公園での練習会やトレイルランイベントに参加する
プロにランニングフォームを見てほしい