こんにちは。
トレイルランナーズ大阪の安藤大です。
2023年7月30日(日)兵庫県たつの市で行われた『KAKITSU2023/カキツトレイルラン』に初参加をしてきました。
カきっつい大会!!
暑い中走るのは楽しくないので、普段は7月から9月のあいだはレースを入れませんが、大会のなかった失った3年を取り戻すべく、ここ数年は出走数(打席数)を稼ぐために積極参加をしています。
レースレポートをお届けします。
(もし気力があれば)フィニッシュ後は龍野の城下街を見学できる。写真はツアーの様子。
兵庫県の新宮町と龍野市の境に連なる近畿自然歩道の一部『新龍アルプス』を南北に往復する縦走コース。
“新龍”の名前がカッコいい!
このコースは何度か一人で試走したことがあって、ツアー開催したこともあって、コース地形の半分は把握していて、土地勘がある分有利です。
しかし、
秋冬の涼しい日だったとしても平坦が少なく、アップダウン激しくハードなコースとわかっているだけに、それを真夏日に走るということに恐怖を感じていました。
大会の直前まで出るかどうかを悩んでいました。
寒かったり大雨だったり距離が100kmと長かったりしてもちっとも怖くはありませんが、暑さには恐怖を感じます。寒ければ服を着ればいいだけですが暑さは耐えるしかなく、重度の熱中症になれば死ぬこともあるから。
距離は30kmですが京都トレイルラン<東山>や生駒トレイルランよりも累積標高差あって、ずっと難しいコース。
理想を言えば、パフォーマンスが低下するほどの暑い環境であれば参加を取りやめるべきでしょうが、現実的にはなかなかそういうわけにもいきません。
走りはじめて24年、99戦で一度も大会を欠場したことはなく、戦績は残るので出場を決めました。
本来こうした考えで出場することはあまり良いことではありません。
昨年までは会場が「菖蒲谷森林公園(しょうぶだにしんりんこうえん)」で車でしかアクセスできない不便な場所でしたが、今年は「龍野公園」をスタートとゴールとするコースに変わり、最寄り駅から徒歩、タクシーでも参加できるようになりました。
アクセスがよくなったことが、参加の理由でした。
会場までは往復タクシーで移動。最寄りから会場までは徒歩20分以上ありますから、この猛暑の中それだけ歩くとレースの前に疲れてしまいます。
疲労はタイムに影響します。タイムが遅くなれば暑さの影響も受けます。そういう意味ではマラソンもトレイルもタイムはお金で買えると言えます。
タクシーでワンメーターちょっとの距離を、利用しようとする人が少ないことに不思議を感じます。
社会情勢、ライフスタイルの変化で「人が集まらない」と話すマラソン大会がある中、カキツトレイルランは過去最高の人数を記録したそうです。
真夏日に30kmもの山道を走りたい人ですから、足の筋肉を見ただけで男女ともツワモノとわかる人ばかりが集まってました。
会場では思いがけず、過去最高に知り合いランナーさんにたくさん会えました。
大阪城練習生のMさん(左)とYさん(右)。
この3人で直接対決ははじめて。真夏日にこの2人に、いや、誰にも勝とうと思ってはいない。しかし、完走が目標だったとしても彼らに簡単に負けるわけにはいかない!
この大会に3年連続参加、もの好きなKさん。
白、赤、緑、そこへ青に黄色シャツまで加わり、ゴレンジャーが揃いました。
結果から言えば、約27km地点の最終エイド、あと5kmを残したところでリタイア。
頭がガンガンし、めまいも感じ始めてきたので、これ以上熱中症がひどくなる前にストップしました。
調子もよく、きっちり暑さ対策をして臨みましたが、想定を超える暑さにやられました。
暑さのレースでは結果がいつも悪いので、
「絶対に何が何でも完走をする」
という不退転の決意で挑みましたが、残念。
<コースデータ>
(提供されたGPSデータ)距離30.95km, 1,814m
(僕のリタイアするまでの記録)距離27.1km、獲得標高1,627m
ここからあとふた山登りますから山登りは1,900m以上あったと思います。
<リザルト>
出走者数:175名(男子151名、女子24名)
完走率 :全体では80.5%
男女別:男子120名(79.4%)、女子21名(87.5%)
男性よりも女性の方が暑さに強いと言われますが、女子は24名でDNFはたったの3人しかいませんでした。
リタイアしたときのタイムは4時間20分で、制限時間は7時間。
今回女子24人中8人はランカー(ほかの大会だと表彰台クラス)が出場していましたが、このときまだ3人しか通過をしていませんでした。
つまり、ここまで歩き倒してきたというのにまだいいタイムでいました。残り5kmを歩き倒し1時間10分以上かかるとして、5時間30分程度(40番ぐらい)ではゴールできる見立てでした。
しかし、暑さで下りも走れないからだで1時間以上運動を継続するのは難しいと判断しました。
完走をしなければ記録もなし。
リタイアしたときの気温をスクショしておきましたが、運動中の体感気温は42℃に昇り、エイドのスタッフによれば12時過ぎには37℃近くあったと言います。
僕が暑さに弱いとはいっても準備はしているので27、28℃ぐらいまでは走れますが、35℃を超えてくるとやはり無理ゲーだと感じました。
(ここからは自分への備忘録)
朝8時は26℃程度でまだ涼しく感じます。
「スタート位置はどこ?」と探しましたがスタートゲートがない珍しい大会、整列もなく広場からばらばらに一斉にスタート。
完走が目標だったので、この日は先頭ではなくまん中あたりに立っていたのですが、このとき気持ちの面ですでに自分に負けていたのかもしれません。
ほかのランナーが1リットルしか水を持たない中、僕は「ランニングの快適性」を重視し2リットル近い水と氷を山盛りを背負っていました。
凍ったアクエリアス500ml
凍ったアクエリアス ハンディパック300g
氷と水のソフトフラスク 計300ml
氷と水のハイドレーション計800ml
氷と水の重さ。水の重さを1とすると、氷は約0.90.91。溶けてしまえば1の重さに戻るが、氷のままのうちは軽い状態で運ぶことができる。
それでもはじめは水分でからだも重いので、水分が減ってきたころにペースアップするぐらいの気持ちでいました。
準備のおかげでスタートして2時間ぐらいはずっと口に冷たい水を飲むことができ、快適なランニングを楽しめました。暑さもそれほど感じることがありませんでした。
冷たさの持続時間
凍らせたアクエリアス500ml(1時間)
凍らせたアクエリアス ハンディパック300g (30分間)
氷で冷えたソフトフラスク300ml (1時間)
氷で冷えたハイドレーション800ml (2時間)
「アクエリアス ハンディパック」は気温30℃の高温では30分としないうちに溶けてぬるいドリンクとなってダメでした。
(前半)
前半は舗装道と砂利道の上り坂が5km以上えんえんと続きます。息を「ぜえはあ」と切らしながら、上位グループは勢いよく駆け上がっていきます。
夏場は水分を多く背負ったザックが重く、走る上での足枷になる。スタートは水分が減り軽くなるまで、様子を見ながら走るのがセオリーだ。
女子トップ3の一人が「ぜえぜえ、はあはあ」早くも肩で大きく息をしながら走っていたので、
「そんなに荒い息づかいでもつはずがない」
僕はオーバーヒートしないよう身体の声に耳を傾けて慎重に走っていました。
後ろを振り返ると50メートルほど後方にMさんがいて、坂を歩かずに淡々と走っています。
Mさんは毎月300km走っており、30℃を超える中でも20km、30kmと平然と走る人で暑さにめっぽう強く、ガッツとそのタフネスぶりは練習会随一の人です。
「(一緒にスタートをしたYさんの方がMさんよりもフルマラソンのタイムでは20分も速いのにいったいどこへ行ったんだ?)」
そう思いながら後ろを振り向き、「Mさん、その調子!」と声をかけました。闘争心に火をつける余計なエールを送ってしまったかもしれません。
走ったり歩いたりを繰り返す僕の方がわずかに速く、その差はつまることなく山へと入ります。
90kgはありそうな外国人ランナーと自然と抜きつ抜かれつとなりました。
僕が坂道を歩いたり走ったりそれを繰り返す姿を見て、「ハートレートで走っているの?」と日本語で話かけてきものの数分会話をしました。
あとでリザルトを見て「どこかで見た名前」と思ったらランアプリのストラバで繋がっていた人で、互いにこの日がはじめての面識でした。
人とはどこで繋がっているかわかりません。
大会コースには含まれていませんが、山城跡の絶景ポイントがあって歴史好きには嬉しい場所です。
コースの舞台「亀池(きのいけ)」。
トレイルに入り9kmを過ぎるとひとり旅になり、おそらくこの時点で25番前後を走っていたと思います。
16kmから続く長い砂利の坂道を暑さにへばり歩いていると、後ろから足音がしました。
フェニックRUNの赤いTシャツを着たYさんが、女子選手を引き連れ一緒に坂道を登ってきました。
「きたー!!!」
左手をあげ「じゃあ」といった風に言葉も発さず、僕を颯爽と追い抜いていきました。
「(くぅ〜クールだなあ!)」
Yさんはフルのベストタイムが3時間4分で、7月も今日の大会を含み378km走っている人です。
「(強い…よく練習しているなあ)」
と感心しました。
そんなYさんと並走していた女性は「そんな息遣いでもつはずがない」と思い、案の定途中でペースダウンしていたところをぼくが追い抜いた女性でした。復活して盛り返してきました。
あとで知ったことですが、サブ3会に所属をしトレイルもばりばり走っていて、女子マラソンのベストタイムは3時間9分の人でした。
どうりで強かったはず。
その後Yさんをエイドで追抜きますが(そこで「じゃあ」とあいさつするべきでした)、再び追い抜かれ、姿は見えなくなりました。
20kmの地点でいよいよ最高気温になりグロッキーで歩いていると、また後ろから足音がしました。
練習生のMさんでした。
「(そろいも揃って、強いなあ…)」
これだけ参加ランナーが沢山いて、僕を追い抜いていった人が知り合い、それも僕の練習生でフェニックスの赤いTシャツを着た二人だったという…
「Never Stop Running。
くっ…確かにそうだな」
僕がレース中にネバーストップランニングの背中のスローガンを目にしながら走ったのははじめてかもしれません(実際にはリュックを背負っていて見えませんが)
Mさんに、
「Yさんは5分先にいますよ」
と伝えると意気揚々と走り去っていきました。
その後MさんはYさんを捕まえ、追い抜いてゴール。Mさんは24位、Yさんは28位という接戦で2人とも素晴らしい好成績でした。
その後も気温はぐんぐんと上昇し、完全にグロッキー。20kmから27kmのエイドまで暑くて下りも走れず、ほとんどハイキングしていたのですが一向に後ろからランナーが来る気配がありません。
みんな暑さでへばっているのだ、
と思いました。
歩いていると、稜線上で若い男性が木陰の下で寝転び倒れているのを発見しました。熱中症の可能性が高くありました。
「大丈夫ですか?」と心配して声をかけると、応答があったのと、手に水をもっていたので水を飲んだり頭から被ったりするよう、またしっかりと休憩ふるよう伝えてその場を離れました。
このとき僕はリタイアを決めていたのでその場にじっと留まることはできましたが、何をすることもできません。
誰かが知らせたのか、「倒れている人はどこですか!?」スタッフがすごい形相で前からやってきました。(その後男性はスタッフに手当てされたのか、元気に降りて来ていました。)
あとで思い起こせば暑さで僕も意識もうろうとしていたとは言え、電解質タブレットをあげたり最低限ゼッケン番号を控えたりしておくべきでした。
レース中にランナーのトラブルに遭遇したときの対応について決めていなかったからで、自分の対応に反省をしました。
実は後日談があって熱中症で倒れていた若者のボトルの水はYさんがあげた水で、Yさんがレースを一時中断し救助していたことがわかりました。
ストーリーのある一日でした。
30℃を超える中、沢など水場のないコースで30kmを超える距離の大会を行うのであれば、「給水所の数は十分か」「ランナーが熱中症で倒れた場合の避難計画はどうなるのか」まで考えておく必要があるなと思いました。
僕以外の会場でお会いした知り合いのランナーさんはほとんど全員フィニッシュしました。
みんなランナーとして、生物として強い!
美味い!ゴール地点ではそうめんが振舞われました。たつの市は揖保乃糸の生まれの地でもありますので、これがめちゃくちゃ美味かった。(本当はそうめんを食べるほどの食欲もなかったのですが、このレポートのために頑張って食べました)
KAKITSU2023 カキツトレイルランのここがおすすめ!
□景色は絶景!
□舗装道に林道、木の根に岩場と変化に富んで飽きないコース
□フィニッシュ後のそうめんが美味い
□ゴール後に龍野城跡が見学できる
□ゴール後に揖保乃糸「そうめんの里」を見学できる(車が必須)
ここは改善してほしい!
□更衣室がない(女性はどこで着替えたのだろう?男性でさえ困っていました)
□30℃を超える真夏日の開催なのにアイスバケツ(水かぶりポイント)が一か所しかない
□給水所の数はあらかじめ正確に記載して欲しい。3か所とHPには記載があったが実際は5か所あった(レースの水分補給計画が違ってくる)
試合に勝っても負けてもトレイルランニングって楽しい!
Never Stop Running.
【STEP1】無料メール講座で学ぶ
【STEP2】大阪城公園での練習会やトレイルランイベントに参加する
プロにランニングフォームを見てほしい