こんにちは。
トレイルランナーズ大阪の安藤大です。
伊豆の踊り子に会いに行く!
『ユーラスエナジーカップ2023 天城アタック35』レースレポート後編をお届けします。
ホテルから交流館までは約1.5kmで朝5時半と早い時間帯でタクシーもないので当初は歩いていくつもりでいましたが、ホテルの人が「送迎します」と言ってくれ、そのためぎりぎりまで部屋でゆっくりできて歩かずに済みました。
これだけでもヴィラに宿泊した価値を感じました。交流館からは送迎バスに乗って、約25分でスタート地点へ。
大会を開催してくれた主催者に対してランナーができることは、大会を最大限に楽しむための準備だと思っています。レースに向けたトレーニングだけでなく、その土地のことについても調べます。
今回の大会参加にあたっては、
①川端康成の『伊豆の踊子』を再読
②石川さゆりの『天城越え』を視聴
をして臨みました。
レースで通行をする旧天城トンネルは、川端康成の『伊豆の踊子』や松本清張の『天城越え』の小説の舞台として映画撮影にもたびたび使われ、また石川小百合が唄う『天城越え』の歌詞にも登場。1998年9月に国の登録有形文化財に、2001年6月15日には国の重要文化財に指定されています。
そんなトンネル内を走れる!
久しぶりにワクワクするレースでした。マラソンを走らない人にマラソンの過酷さ、楽しさは伝わりにくいと思いますが、「走って天城越えしてきた」と言えば運動をしない人にもわかりやすくインパクトがあって、いい土産話になります。
送迎バスは河津七滝駐車場までで、そこからスタート地点の水垂までは滝道の遊歩道約25分ほど歩いて移動します。レース前にこれだけ歩くのは疲れてしまいますが、ランナー全員が同じ条件です。
河津七滝とは?
天城山から河津に流れる渓流には個性的な7つの滝があり、これらを河津七滝(ななだる)と呼んでいます。川端康成の「伊豆の踊り子」にちなんだブロンズ像もあり、多くの観光客が訪れています。
三重県の赤目四十八滝と似ていますが、河津七滝のコースは全部舗装されています。紅葉の季節に訪れたら綺麗そうです。
この『河津七滝(かわづななだる)』ハイキングコースが見どころたっぷりで良かった!
バス送迎の費用など大変と思いますが、ぜひ来年開催もこの観光コースを含む流れは続けて欲しい。
レースが始まる前にこんな急階段を登ります。
落差10メートルの初景滝(しょけいたき)。この滝でも迫力十分ですが、1番ではありません。
美しい!アートだなあ。大迫力の柱状節理は谷底を流れた溶岩からできています。
階段のある珍しい46メートルのつり橋を登ります。かなり揺れます。登り続きで「すでに足が疲れた」と話すランナーたちもいました。通常はゆっくり見て回って1時間のコースを、25分ですから早足です。
大迫力!落差22mの釜滝(かまだる)。近づくと水しぶきがこちらに飛んできます。これでも大きさは二番目だと…
一番大きな滝は「体験型カエル館」の後ろとわかりにくい場所にあってスルーしてしまいました。来年参加される方はチェックをおすすめします。
他にも美しい滝がありましたが、コースを外れて一度階段を降りなければならないのでレース前で足温存のために断念しました。
空を見上げると大迫力の柱状節理玄武岩の絶景。
ふぅ…レーススタートする前にクライマックスの連続で、ここまででも見どころたっぷりで満足、写真の撮れ高も充分でした。
スタート地点の標高は305mと涼しい。
混雑を避けるため7:45、8:00、8:45、9:00と第1~第4ウェーブに分かれており、エントリーのときに僕は迷わずに第1ウェーブを選択。
少しでも早くスタートすることで涼しい時間帯が長くなり、その恩恵を受けられるから。夏のレースでは後ろのスタートになるほど、また完走に時間がかかる人ほど暑さの影響を大きく受けゴールタイムは遅くなる傾向がある。
大会案内には「スタートから5時間ごろにはトップ選手がゴール予定」とあって、それを読んだ僕は「主催者のタイム予想はかなり甘いな。それよりも速くゴールするランナーは10人以上はいるだろう。僕もそのひとりとして主催者予想よりも速くゴールしてやる。」と意気込んでいた。
今日も先頭最前列、特攻隊長!だって、最近の人は誰も前に並ぼうとしないんですもの。。僕はセミナーでもだいたい先頭列に座ります。
いざ、レースがスタート!
どれだけ強い競争相手がいるのか分からなかったので、最初のセクションをゆっくりと走り、相手を見極めた。
1、2、3…4、5…6、7、8人…
追い抜いていくランナーの走りや息づかいを見て、僕より坂道のロードランニングの速い人が8人はいることがわかった。
自分の位置さえわかればあとは何人追い抜いたのか、追い抜かれたのかを数えればすぐに自分の順位が把握できる。
やりたいことはやり尽くして、現実世界に物足りなさを感じているから、こうして山を走っているわけだ。
トレイルはほとんどがテクニックも必要としない、足をまっすぐ出すだけでいい走りやすい林道と舗装道で、初心者にも走りやすいマラソンコースでした。フルマラソン5時間以内程度の体力があれば完走できると思いました。ただし、長く続く坂道を走れないとタイムは出ないコース(歩きが多くなるコース)です。
途中危険箇所で歩行区間がいくつかあって、それがオーバーペースを防げ、いい休憩の時間になった。天城越えの区間は歩行区間の一部を除き、全部走り切った。
コース上に誘導テープは一切なく、人員誘導だけで運営されていたが道に迷うことはなかった。危険箇所にはすべてボランティアがいて、「ここまで登ってくるのも大変だったろうに…」と感謝の念を感じた。
『伊豆の踊子』の小説にある「暗いトンネルに入ると、冷たい雫がぽたぽた落ちていた。」の言葉どおりに、頭や肩に冷たいしずくがぽたぽたと落ちてきて、標高700mにあるトンネルとあって、平地の気温は25℃近いというのにぶるっと肌寒かった。
トンネル内部の石造づくりのすごさに驚いた。
トレイルのレースに来ていて、自然風景でなく人工的なトンネルの造形に感嘆するのだから面白い。
壁に近づき手で触ったりして職人技を感じながら、
「(ここ普通に車が通るんだよな。大会のためにこのコースを貸し切っているのだろうか?)」などと思い浮かべながら走った。
「いつしかあなたに しみついた~
誰かに盗まれるくらいなら…
あなたを殺していいですか」
怖っ!!こんな歌だったか。まっくらなトンネルの中で聞くような曲じゃない。
「(いや〜僕、レースを楽しんでいるな)」
と思いながらトンネルを抜けた。
事前にコース上に「踊り子がいる」という話を聞いていて、レース中にツーショット写真撮影をしようと思っていた。
トンネルを抜けてすぐ に第一エイドがあったのだが、水や食糧は十分にあったのでエイドをすっ飛ばしたら、踊り子もすっ飛ばしてしまった。
オー・マイ・ガー!!!!
エイドに立ち寄らなかったことで二人ランナーを抜き、10位→7位に浮上。その後そのランナーたちとは二度と会うことはなかったので、エイド休憩はタイムに大きく関わりますね。
下山をして舗装道路に出て、昼に向けて気温がぐんぐんと上昇する中「我慢、我慢」と走り続けていたが、ゴールまで残り約2kmというところでスタッフから「残り2.5kmです!」と言われた瞬間、気持ちがぷつりと糸のように切れて坂道で歩きが入ってしまった。まだまだ気持ちの弱い面が出た。
タイムは、3時間56分55秒
出走者208人中16位(全体の上位8%)
(募集)距離37km、D+1,300m/ー1,600m
(手元のGPS)約37.5km,D+1,248m
第一ウェーブでは60人中8位だったので、その後にスタートをしたランナーの中に僕よりタイムの早い人が8人いたということ。
レース後は11位か12位ぐらいだろうと予想していたが、レースを終えてみれば安定の16位だった。
2023年の3月に行われた「総社高滝山トレイルラン(約37.2km、2,380m)を5時間19分41秒で完走しているから、天城アタックは距離37km、D+1,300mは「4時間00分、暑さでへばっても4時間30分以内」でゴールできると予想タイムを立てた。
37.5kmのうち後半の7kmは暑さにやられて少しグロッキーになった。やっぱりどのレースでも8割を過ぎてからいかにしっかりと走れるかで、その時間が僕にとって最も苦しい部分だったが、それ以外の時間はずっと涼しく快適に感じた。
前日の岩盤浴や新しいウェア対策の効果もあって快適に走れたため、暑さが苦手な僕にしては好タイムのゴールとなった。
今回の大会で最も素晴らしいと感じたところは充実したボランティアの数とボランティアのホスピタリティ。参加ランナー200人に対して3人に1人はボランティアがついていたんじゃないかと思うほど、人数が集まっていて驚いた。
フィニッシュ後、首からかけてもらったのはメダルの代わりに生わさび!天城山を望む伊豆地域の名産品でこの生わさび、高級らしい。
フィニッシュ後は海風に当たり気持ちいい。ラストが砂浜はキツすぎたので、砂浜をコースに入れるのであればやっぱり始めがいい(笑)
天城アタック35のここがおすすめ!
伊豆トレイルジャーニー(IzuTrail Journey:ITJ)と並ぶ伊豆の新しい大会
大迫力の河津七滝を歩いて鑑賞できる
天城越えできる
レース中に伊豆の踊り子に会える
登りよりも下りの方が長いコース
ゴールは海!今井浜海岸
完走メダルの代わりに静岡県産生わさび
ラン後は無料入浴券で温泉入浴できる
※上記は2023年時点の内容です。
などいろいろとオンリーワンの楽しみがあって、旅ラン好きにはぜひ参加して欲しい大会です。
走った後の冷えた甘夏生搾りジュースは最高だった。
一時期食品偽造問題がニュースをにぎわせていましたが、しっかりと生搾りジュースだった。
最後に…石川さゆり『天城越え』をお聞きください。YouTubeの違法アップロード動画は紹介できないので、歌手の広瀬香美さんが公開している動画をご紹介。
広瀬さんは3年も前に「天城越えはまるで起伏の激しいトレイルランニングみたいな曲なの」と評していて、大会開催される前に先見の明があった?
やっぱりトレイルランニングは旅要素があって最高、今回もずいぶんと旅ランを満喫できました。
レースっていいですね!
Never Stop Running.
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プロにランニングフォームを見てほしい