こんにちは。
トレイルランナーズ大阪の安藤大です。


世界ヨーロッパでは大きなニュースになっていますが、日本のトレイルランニングメディアで話題に取り上げているのを見ず、日本人ランナーも何人か参加をし、僕自身も将来的な参加に興味がある大会ですのでニュースをご紹介します。


この大会では日本の丹羽薫さんが女子2位となる32時間22分でフィニッシュしていますが、レースで何の影響もなかったのか心配とともに不思議に思っています。

 

スペイン・カタルーニャ北西部のヴァル・ダランで開催された「by UTMB®︎」トレイルランニング大会で、300人以上のランナーが体調を崩す

7月9日(金)~11日(日)、スペイン・カタルーニャ北西部のヴァル・ダランで開催されたトレイルランニング大会(162k, 105k, 55k, 15k)で、300人以上のランナーが下痢や腹痛、激しい嘔吐、頭痛を訴える人が出て、帰国後数日経ってから緊急搬送された人もいる大事件になりました。


レースには75カ国から4,000人が参加していました。


事件発生当初は、「給水所で提供された食事や水に問題があったのではないか」といった憶測の声が広がっていました。


その後の調査では、「食中毒の可能性はなく水が原因ではないか(現在も詳しい原因は追及中)」と発表され、体調不良に悩まされたランナーたちで構成されるFacebookグループで500人が集まる騒ぎになっています。


どのような騒動になっているのかは参加ランナーのフェイスブック投稿をご覧いただくとよくわかると思います。


レース後に体調不良を患ったランナーの声

レース後3日間重度の下痢を起こし、食事できなくなりました。6日間が経ちましたが下痢は続き、体重は7kg減少しました。帰国後数時間後に激しい水様性の下痢、そして腹痛と激しい嘔吐がありました。


主催者が「ヴァルダランの水は硬水で多くのミネラルを含み、すべての人の身体に合うわけではありません。」とコメントをしたところ、体調不良者の中には硬水に慣れたフランス人やドイツ人も含まれていたことから、「それだけが原因とは考にくい!」その答えに納得できないランナーが多く出て、炎上を招いたようです。

 

 

現在わかっていること

・レース後に体調不良を訴えるランナーが日増しに増加し、その数300人以上
・体調不良者はイベントの2つの最長レース(162kmと105km)に参加している約300人のランナーがほとんどだった

・スタッフの中にも同じように体調を崩した人がいた
・体調不良者の発生は、VDAとCDHのコース区間に集中していた
・エイドステーションの水はボトル入りの天然ミネラルウォーターか直接、または山に運ばれたタンクのヴァル・ダラン村で組まれた水から提供され、衛生的で飲料に適した水でだった。その後の調査でも汚染は見つかっていない。

・参加ランナーの中にはエイドステーションで提供された水を飲まずに鉱山地域で山に流れる水を飲んだ人がいた

・主催者は体調と詳細を確認するために、すべてのランナーにメールを送信した
・現在も原因追及中で、内部調査が進行中

 


主催者の発表した見解

長時間のウルトラランニングレースでは、ときにランナーにさまざまな種類の病気を引き起こします。しかし、私たちのヴァル・ダラン by UTMB大会で、体調不良によりレースをDNFした人の数が平均より多いことは事実です。

エイドステーションの水はボトル入りの天然ミネラルウォーターか直接、または山に運ばれたタンクのヴァル・ダラン村で組まれた水から提供され、衛生的で飲料に適した水でした。

ヴァルダランの水は硬水で多くのミネラルを含み、すべての人の身体に合うわけではありません。何人かがレース中に「山に流れている自然の水を飲んだ」と私たちに言いました。多数のランナーの診断結果により、体内より高濃度のフェリチン(鉄結合性タンパク質の一種)が確認されています。このことは、鉄などミネラルが多く含む鉱山地域で水を飲んだ事実を示しています。



次回大会における改善案

1.飲料をおすすめしない場所には注意マーキングをつけることを検討し、リュックに水を入れてランニングすることをランナーに推奨します。

2.エイドステーションの水を提供する前に入念な水質チェックを行います。

3.レース中に60人以上の医療関係者を配置していたが、次回大会ではランナーの体調チェックのための人員をさらに増員します。

 

ここからは僕個人の意見です。


まずニュースの内容を見て思ったことは「鉱山地帯で山の水を飲んじゃダメでしょ」と。。そうしたランナーが一定数いることが原因追及を困難にしているようにも見えます。



報道を見るとやはり「水」が怪しく見えます。



現在はコロナ禍ですので帰国後の体調不良はランナーの怒りを増加させ、事態を悪化させたようにも見えます。


水質の源は3つ
1.ペットボトル
2.直接持ち運ばれたまたはタンク
3.鉱山地帯に流れる水

3を飲料した人はそもそも体調不良の元の行動を起こしているということで除外、1と2になります。


僕が気になった点は2つ。

1.トップの選手、プロランナーでも体調を崩した人がいたのか?(ペットボトルの水とタンクの水、この2つから選択できた場合プロであれば安全なペットボトルから給水するだろうと僕は考えている)

2.「ペットボトルの水からだけ給水した」ランナーの体調不良割合はどうなのか、いるのか?


「ペットボトルの水からだけ給水した」「それにも関わらず体調不良が起きた」ということであればほかに原因があるか、過酷なウルトラランニングレース中に何十時間にわたって大量の硬水を飲んだことが原因の一つかもしれないと考えることができます。


大会主催者は次回大会での改善に向けた同じ事態を避けるべく危機管理意識はあるようですし、救護体制にも問題はなかったように見えます。

 


僕だったら?アジア人の僕がヨーロッパの大会に参加をするのであればコントレックスやエビアンなどの硬水を普段から適量を飲んで慣らしておくと思います。実際そうしています。(軟水に慣れた日本人がそれで硬水に慣れるかどうかはわかりません。しかし、レースで初めてを経験しないというのがなるべくトラブルを防ぐ上での僕のモットーとしています)



僕もレースで食あたり水あたりの経験があります。

 

モンゴルの大会ではレース前日にヤギのチーズを一口試食して、その日から3日間下痢や腹痛、激しい嘔吐に見舞われました。翌日のレースは100kmのカテゴリーをフルマラソンの距離に変更し、下痢と腹痛のためスタートからグロッキーで、ほとんど歩いてゴールすることになりました。「一口ぐらいなら」と考えた僕が悪かった。

 


ベトナムの大会でもレース中盤でとつぜんの激しい下痢や腹痛に見舞われたことがありました。(おそらく提供された水が原因だったのではないかと考えています。ベトナムの大会はいくつか参加しておりはじめての体調不良でした)

 

基本僕は海外では火の通ったものしか食べませんし、飲料水にはかなり気をつけていますので、お腹を壊したのは28か国を旅してこの2事例だけです。

 

海外のレースではエイドステーションの補給が原因で、食あたり水あたりすることは可能性としてはあると考えています。食あたりは給水所で提供されるものを食べないことで回避できますが、水は飲まないとレース続行できませんからそれでリタイアになったとしても仕方がないと考えます。

 


非常に興味深い事件ですので、今後もしばらく動向をチェックしたいと思います。

 


より詳しくお知りになりたい方は元記事の3つをご参考ください。


【記事(スペイン語)】Plusieurs centaines de coureurs intoxiqués pendant le Val d'Aran by UTMB ?/ヴァル・ダラン by UTMB大会で、数百人のランナーが病気に?

【記事】Val d’Aran by UTMB: “Hemos descartado cualquier tipo de intoxicación alimentaria”/ヴァル・ダラン by UTMB大会主催者の公式見解:「食中毒の可能性はない」

【記事】Plusieurs centaines de coureurs intoxiqués pendant le Val d'Aran by UTMB ?/ヴァル・ダラン by UTMB大会で体調を崩した数百人のランナー


エイドステーションで普段食べ慣れないものを食べない、飲み慣れないものを飲まない。あと(これは海外旅行の基本中の基本ですが)海外旅行で生水は決して飲まない。

 

これらはあらかじめマイルールを作成しておくことで対応できます。

 

皆さんも気をつけてくださいね。

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