こんにちは。

トレイルランナーズ大阪の安藤大です。

 

 

レース中は自分で自分の写真を撮ることはなかなかできないので、レースレポートは大会写真が届くまでどうしても時間がかかってしまう。またレース内容を頭の中で整理するのが難しい。だらだらと長く書こうと思えばいくらでも長く書けてしまうからだ。

 

さて、「激走24時間!世界遺産カッパドキア一周トレイルラン119km(4)レース前編/Salomon Cappadocia Ultra-Trail 119km」をお届けします。

 

スキーではほとんどのスキー場で、初心者コースから上級者コースまでゲレンデが分かれており、スキーヤーは自分の腕に合わせてコース選択する。初心者が上級コースに行っては大変だ。


Cappadocia Ultra-Trailには119km、63km、38kmの3カテゴリーがある。トレイルのレースもそれは同じだ。人それぞれ、自分の体力に見合ったレースに申し込むのが重要。自分の成長とともにチャレンジのレベル幅は自然と上がってくるもの。ところがスキー場だと恐れてそんな無茶をしないのに、レースエントリーでは無茶な選択をする人が多いから不思議だ。


結論から書けば、無事にフィニッシュ!応援ありがとうございました!!ゴールして「楽勝!」と言うつもりでしたが、やっぱり119kmは完走するだけでも大変でした。今日もケガなくトラブルなく、あきらめなかったという点で合格点。写真は明るいですが、夜中にはゴールしています。翌朝重い身体を起こして、閉幕する前にわざわざこの写真を撮りに行ったのです。

 

75か国、約2,000人のランナーが参加

119km ウルトラの部のリザルト

出走者 325人(男子292人、女子33人)

完走者 201人(男子181人、女子20人)

完走率 61.8%

完走率 男子62% 女子60.6%

 

トルコでも「イスタンブール」と「アンカラ」は外務省からレベル1警告(渡航には十分注意してください)が発令されているが、レースの行われるユルギャップは安全だ。ちなみに日本のニュースで騒がれているのとは裏腹に、現地では誰も騒いでいない。ホテルやレストランの人に聞いても平然としているし、実際現地にいても平穏に感じた。

朝、まだ真っ暗闇の中ホテルを出ると2匹の野犬に通せんぼされた。「バウ!バウ!!バウ!!!」歯をむき出しにし、今にも噛みつきそうな勢いで激しく吠え、その時点で「やめようかな」と思った。手にしていた大きなドロップバッグ袋を盾にどうにかやりすごしスタートラインに向かうことができた。

ホテルからスタートまで徒歩3分。近いおかげで直前までぐっすり眠り、体が冷えることなくゆっくりすることができた。

レースの前に不思議なことがあった。僕のホテルのカギ番号は「116番」、ゼッケン番号は「116番」。こんな偶然があるだろうか?おかげで覚えやすくて済んだ。
 

「どんな風に走ろうか」とレース前に考えていた。制限時間内に、完走するだけならできるだろう。制限時間は24時間。ゴール目標を16時間、悪い場合で17時間と計画を立てた。16時間ゴールで、順位はおそらく30~40位前後、決して速くはないがウルトラでは僕には上出来の順位だ。今回も80kmぐらいまではのんびりと走り、そこからペースアップ、今回もラスト10kmで目の前に見えるランナーを全員抜き去る算段だった。しかし、100kmを超えるレースではなかなか計画どおりに行かない。トレイルが予想だにしなかったコースで、大きく時間のかかるものであった。

 

いよいよ激走24時間 Cappadocia Ultra-Trail 119kmがスタート!

 

119kmの部と63kmの部の、およそ900人近いランナーが同時にスタート。参加距離の異なる選手と一緒に走る場合は、まわりのペースにつられないように十分注意する必要がある。彼ら彼女らは63kmで、僕はそれよりも長い119kmを走っているのだ。

 

ウルトラでは、常に自分という馬のたずなを締めるように走ることが完走の秘訣だ。鞭を打ってはいけない。

 

のんびりとあくびが出るペースで走っているとはいえ、キロ5分30秒ぐらいのフルマラソンサブ4ペースでは、おじいちゃんやおばあちゃんランナーにも次々と追い抜かれていく。抜かれることしかない、と言ってもいい。ショックだった。世界大会とアジアの大会とでは比較にならないぐらい、トップ選手だけでなく市民ランナー全体のレベルも高い。レース中疲れて立ち止まったり芝生で横になったりする人も少ない。

 

Cappadocia Ultra-Trailの119kmの部は、119kmを走るのに制限時間が24時間しかない(2018年の完走率は60%)。全体的に走りやすく、写真を撮っている余裕はなく、走り続けなければならないコースだ。トレイル”ランニング”大会なのだから、それは当然とも言える。歩いてばかりいては完走できない。

 

なだらかな岩肌のグラデーションが美しい。

 

「いったい誰が…」と思わずにはいられない。こうした地層は数億年前に起きた火山噴火によって造られたもの。

 

カッパドキアをランニングしながら目に入る景色は、これまで走ったどの土地の景色とも異なるだろう。

 

一つとして同じ岩がないので飽きない。コースはユルギャップの市街地をスタートしギョレメの世界遺産カッパドキア、ローズバレー、ぶどう畑などを通過する見どころたっぷり。


カッパドキアといえば、キノコ状の奇岩がそびえ立つ不思議な景観。

中には男性器を彷彿とさせる、突き上げるキノコのような岩もあり、想像力の豊かな人は走りながら思わず笑ってしまう人もいるかもしれない。たぶん徳◯さんなら爆笑しているだろう。

 

まもなく63km地点の大エイドに到着だ。「ミドルの選手は直進でゴールです!ウルトラの選手はこちらではありません。右折してください。」ミドルやショートの部の選手は「やった!」とみんな嬉しそうにゴールへと向かっていく。



がっくり。ウルトラあるあるだ。

 


63km地点で「ここでやめても十分」と思うぐらいにカッパドキアの風景を満喫していた。しかし、ウルトラで60kmから80kmは一番リタイアしてはいけない距離だ(個人的な意見で言えば)疲れもきている。足や腸にトラブルもあるかもしれない。

 

ゴールしてほかの選手の記録を見たら、トップ選手も市民ランナーも一様に60km前後で一度ペースががくんと落ちていた。みんな苦しかったのだ。やっぱりやめなくてよかった(やめるつもりはなかったが)。ここを乗り越えて先へと進むことができるのだ。ここまで3分以内と決めてきたエイド休憩をじっくりとることにした。

 

僕は別にウルトラ好きではないので100kmで十分だった。19kmは余計だった。63km走って「あと39km」と思うのと、「あと59km」と思うのとではずいぶんと気分の楽さが違う。ダメだ。こうしたことを考えると、距離に潰されてしまう。

 

ウルトラを完走するためには、距離を小さく考えることが不可欠。それができない人は距離に圧し潰されて、完走は難しくなる。この「目標を小分けにして達成していく」という考え方は、僕の人生で学んだことの中でも百万円に値する1、2に入る素晴らしいノウハウの一つだった。この考え方で、僕はこれまで多くの目標を達成してきた。

 

全身の汗拭きから着替えまで済ませ、スープやパスタもしっかり摂って、レース後半に備えた。

 

雷雲が立ち込め始めていた。夕方からレース環境が一変することになる。

 

激動のレース後編へと続く。

Never Stop Running.

 

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