こんばんは。
トレイルランニングコーチの安藤大です。
人生で起きている出来事は一つですが、その捉え方はさまざまです。たとえば坐骨神経痛で走ることをあきらめた人もいれば、坐骨神経痛に打ち勝つために走り出した人もいます。
本日皆さまにぜひご紹介したい人は、福安恵美さん。
2017年11月12日(日)に開催された「第7回 神戸マラソン」で初フルマラソンに挑戦され、その感想をインタビューしまとめました(ご本人からいたただいた文章内容は損なわず、読みやすく修正したものを掲載しています)。
福安さんは現在69歳!身長146cm、体重は43kg。68歳でツアーでトレイルランも初挑戦され、69歳でおよそ4ヶ月の練習期間で初フルマラソンを完走されました。小さな体のいったいどこにそんなパワーがあるのか。学生時代から社会人まで何の運動経験もなく、65歳になってから健康のためにジムで体を動かすようになり、本格的に走り始めたのは今年の7月になってからだと言います。
60歳代になってマラソンやトレイルの大会に参加されている方にはラン歴が20年、30年の大ベテランな方が少なくありませんが、福安さんは本当に60歳代で(それも70を前に!)マラソンを始められた方です。これから初フルマラソンに挑戦される方、ラン歴を重ねて初フルマラソン当時の熱い気持ちを思い起こしたい方には、カンフル剤となる話です。
―神戸マラソンの完走、おめでとうございます!少し時間が経ちましたが、振り返ってみてどうでしたか?
大変な1日でしたが、走り終えたらしんどさと心地良さが残った感動の一日でした。
―大変さや苦しさはありましたか?
苦しさは沿道から応援して下さる皆さまの励ましで軽減し、橋の上から神戸湾を眺める余裕もありました。坐骨神経痛の痛みも忘れ「(無我夢中とはこのことか)」そう思いながら走っていました。
―ゴールした瞬間はどんな気分でしたか?
ゴール直前で心配で待っていたラン仲間の3人が私が意識もうろうとしてるように見えたらしく(笑)、「福ちゃん!」と大声で叫びながら一緒に走ってくれ、泣きながらゴールしました。この歳になって涙が出たことに不思議な気分がしました。
―目標タイムやペースは意識されていましたか?
目標タイムは安藤コーチにアドバイスされた自分の限界タイムの5時間38分に挑戦しましたが難しく「せめて6時間は切りたい!」と最後は坂道をラストスパートし、ぎりぎり6時間以内でゴールできました。
―ご年齢に運動歴、4ヶ月という練習期間を考えれば歩かずに完走できるだけでも僕は素晴らしいと考えましたが、目標タイムをもってレースに臨まれたのですね。
支持脚、腰も落ちていない!神戸マラソンを力強く走る福安さん。ご年齢もご年齢ですから高い柔軟性を求めるのは酷ですが、それでも年齢を重ねても美しく走ることはできます。
―「フルマラソンを走ろう!」と思ったきっかけは何でしたか?
持病の座骨神経痛に打ち勝ちたかったから、衰えていく筋力を少しでも強くしたかったから。
―フルマラソン出場を決めたときの周囲の反応は?
始めはフルマラソンに参加するつもりはありませんでした。神戸マラソンに冗談半分でエントリーしたら当選し、それからは仲間の励ましもあって「頑張ろう」とチャレンジする決意をしました。
―福安さんの69歳というご年齢で初フルマラソンチャレンジは想像もつかないのですが、体力には自信があったのですか?
子どものころからよく風邪をひき、健康診断では「腕が細すぎるので、鉄棒で遊ぶときは気をつけてください」と注意されるほど虚弱体質でした。子どもが産まれてからは少しは腕の筋肉もつきました。だから走るとすぐに息は苦しくなり、練習会でなわとびを跳んでも1分と経たずに息が上がってしまう、不安ばかり募っていきました。
―初フルマラソンに向けてどんなトレーニングをしましたか?
2017年6月にまずはランニングフォームの基本を学ぼうと安藤コーチに依頼しました。組んでいただいた練習メニューどおりに少しづつ、3ケ月前から週に3日、30分から1時間程度、1キロ8分30秒ぐらいのペースのゆっくりジョギングを続けました。
とにかく不安を解消したくて、毎日練習しました。はじめは30分としないうちに息切れしていたのがやがて1時間、1時間半と走ることができるようになり、8月の夏場は120キロ、9月は100キロ近く走りこみました。一日の練習の終わりにはウィンドスプリントも取り入れました。11月5日にマラソンレース本番に向けて、初めてハーフマラソンに参加しネットで2時間44分57秒でした。
―同じ月にハーフとフルマラソンの両方を経験されたのはすごいですね。その前には予期せぬケガを経験されたんですよね。話を聞いた時に僕は神戸マラソン完走は難しいんじゃないかと思いました。
はい。9月下旬に両手にスーパーの買いもの袋を持った状態で、夜道を歩いている最中に転倒し、膝を強打しました。そのあと膝からばい菌が入り、10月中旬まで走れない日々が続きました。ようやく走れるようになって焦る気持ちもあり、自宅近くの一周1.4キロのコースを21周し、1人で30キロのテスト走をしました。別の日には同じコースで一人で21キロ走も行いました。
ー思い立って1人で30キロ走!しかも1.4キロのコースをぐるぐる!目が回りそうですね(笑)イベント参加やラン仲間と一緒に走るのではなく、1人で走ったことがマラソンレース当日の自信となったのは間違いないですね。
―僕には「ジムで筋トレのしすぎか膝が痛い」とメール連絡がありましたが、派手に転んだ事実は伝えずにいたんですよね(笑)
はい。
―マラソンレース中にモチベーションを保つ秘訣は?
距離は意識しないこと。「私はまだ走ることができる」それだけに集中すること。
―これからフルマラソンに挑戦する人や一歩を踏み出せない人にアドバイスをお願いします。
はじめの一歩から。努力が積み重なれば必ず自信と成長が得られると信じて、不安でいっぱいの自分を叱咤激励しながら練習を積み重ねていけば、必ずゴールできます。私も未経験のことに挑戦するのは、ワクワクする気持ちと不安な気持ちの両方がありました。初フルマラソンを無事に完走することができたのは、色んな方々の応援があって感謝しかありません。
初フルマラソンを走り終えたあとは強い私がそこにいました。
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一度、ランニングフォームを見てほしい