トレイルランナーズ大阪の安藤大です。
吉澤さんから2017年4月23日(日)に開催された 韓国Korea50kのレースレポートを寄稿していただきました。レポートを書き残しておくことは旅の備忘録にもなります。
吉澤さんは「学生のころから運動は苦手で体育ではいつも後ろから数えた方が早いほど足は遅かった」と話します。大阪城公園木曜練習会に初参加した当初もリレーではいつも必死に走っていた姿が印象的でした。基本に忠実で5年間大きな故障なく走り続けていることに練習会の模範生とされ、トレーニング継続により国内のトレイルレース入賞し始め、2016年12月には5年越しにマラソンサブ4目標を達成。最近は「レースに出るたびにレースで競技することが好きになっていく自分に驚いています。」と話す。コツコツと積み重ねた努力はいずれ実る。それを証明したのが吉澤さんだ。
韓国・ソウル近郊の東豆川(Donducheon)市で開催。今年で3回目を迎える大会は59km、3,570mD+のレースのほか、10kmのレースも開催。コースのタフさに加えて2016年は制限時間が12時間と厳しいこともあり完走率は10人中3人(33%)。2017年は制限時間15時間となったこともあって完走者は大幅に増え、360人がフィニッシュした。
海外レースにはあまり興味がありませんでした。理由の一つはまず英語が話せないこと。さらに海外のコース写真を見ると岩場が多く、私は岩場が苦手で、森林に囲まれたふかふかのトレイルが好きなので心が惹かれなかったこともありました。出場を決めたのは、海外レース参加経験豊富な友だちから「英語できなくてもなんとかなる」「一度は海外レースに出てみるべき」と勧められり、昨年参加したコーチの安藤さんから「Korea50kのコースは植生も日本のトレイルと似ていて、日本からの交通の便もよくおすすめ」と聞いたりして、興味が高まったときにちょうど日本語ガイド付きツアーのことを知ってエントリーを決めました。
コース案内標識はしっかりしている。
左袖に日の丸の入ったフェニックスTシャツを着てたので、レース中に何人ものランナーが片言の日本語で話しかけてくれました。 少し急な林道の上りで「サカ、シンドイネ」と後ろからザックを押し、日本語で話しかけてくれた済州島在住の韓国人男性ランナーと話をしました。「仙台には行ったことがある。大阪の名前は知っているけども訪れたことはない」と話してました。日本語で「ガンバレ!」と応援してくれた人もいました。「イルボネ(日本人)?」って声をかけてくれたり、急登りの登山道の脇で休憩していたお兄さんたちが 「ファイティン!」と励ましてくれたり。「(言葉の違いは関係ないんだな)」と思いました。
私のすぐ後にゴールした女性の方から「You are fast!」って声をかけられたので「カムサハムニダ(ありがとうございます)」と知っている韓国語で返事をしたのですが、リザルトをみたらその方は香港人でした(笑)アジア人は区別がつきません。海外レースでは日の丸を身に着けた方が楽しめるなと思いました。
レース表記は50kですが、実際の距離は59kmの大会です(笑)参加賞のTシャツにも「Trail 50km」とあり「どうして60kにしないの?」と内心では思いました。59kmであることはあらかじめ公表はされていました。累積獲得標高差は発表では約3,750mでしたが、ゴール後の私のGPSログでは約4,375mありました。公式サイトの高低図には区間ごとの難易度が記載されていて参考になりました。
Korea50kは大きくは5つの難易度パートに分かれています。
Start~CP1 Moderate
CP1~CP2 Moderate
CP2~CP3 Difficult
CP3~CP4 Difficult
CP4~Finish Easy
4月23日午前5時。まだ真っ暗な中DDSスタジアムをスタート。ゴールも同じスタジアムに戻ってきます。1kmほどロードを走るとトレイルに入ります。最初は柔らかい滑り止めマットが敷いてあるトレイルでとても走りやすいです。スタートして30分~40分ぐらいで太陽が昇りはじめ、周りの景色が見えました。時折高層ビル群が見渡せ、とても綺麗でした。大会ルートはマウンテンバイクのコースにもなっているらしく、登山標識には自転車のマークや「MTB」と書いてあり、橋の欄干にもマークがありました。
もうすぐCP1に到着というところでいきなりのスリッピーな砂地の急下り。「えっ!?Moderate(標準レベル)の区間じゃないの!?うそつき!」
CP2までは概ね走りやすいトレイルでした。林道では地元ランナーが逆走してきて、「ファイティン!」と励ましてくれました。
CP2からいよいよDifficult区間に突入します。待っていたのは激しくタフな上り。しばらく進むとブナの森の中に入りました。国内で参加をした小辺路トレイルジャーニーの小伯子岳から先の森の雰囲気と似ていました。その後の下りも、国内のさまざまな難関コースにそっくりで、下りが苦手な私には苦労をするコースでした。
CP3を過ぎてからは沢渡りの連続。天気がよく走っていて気持ちがよかった。CP2からCP4までは、高低図では判別しづらいアップダウンが幾つもあり、トレイルからロードに出てもアップダウンの連続でした。まるで村岡ダブルフルウルトラランニングのコースを思い出しました。
コース上の急な箇所にはロープが張ってありますが、ロープのない場所もあり、そこでは半泣きになりながら上りきるといきなり米軍基地に出ました。基地内を走らせてもらえるなんて貴重な体験でした。そういえばエントリーリストの所属欄に「US ARMY」と書かれた人が多数いました。
ここまでに幾つの山を越えたのかわかりませんが、急なアップダウンだけでなく、走りやすい林道や舗装路も多く、本当にバラエティに富んだコースでした。CP4からゴールまではしばらくロードが続きました。「もうトレイルも終わりか」とほっとしていたらそんなに甘くはなく、再びトレイルへ。細かなギザギザのアップダウンが続き疲れた足には堪えました。
残り3kmでゴールのDDSスタジアムが見えました。スタジアムが眼下に見えているのに周辺の里山トレイルをぐるぐる走りました。「(一体何の罰ゲーム?)」そう思いながらボランティアスタッフの男性から「あと2km!」と言われた直後に出てきたのは急登り(泣)最後の区間は「Easy(易しい)」と書かれていましたが「どこが易しいねん!」と思わずツッコんでいました。
何とか力を振り絞ってゴール(11:08:24)。過去に参加した国内のトレイルランコースをぎゅっと凝縮したようなバラエティに富んだコースで、低山ですがアップダウンが激しくかなりタフなコースでした。日本との違いをいろいろ感じながら海外トレイルランレースの魅力を楽しむことができました。
たくさんの人に聞かれたことは、残念ながらキムチはありませんでした。 食べ物はバナナにオレンジ、プチトマトにキュウリ、韓国チョコパイなどのお菓子、特に珍しいものはありませんでしたが種類は多くありました。韓国らしいものといえばCP3にカップ麺がありました。自分でお湯を入れて3分待って食べなければならないので私は食べませんでしたが、食べた人の話によればお湯の温度が低くてバリ固麺だったらしいです。
飲み物は水にコーラ、スポーツ飲料がありました。国内レースとの違いはコップはなく「希望すれば出します」という方式で、ランナーはペットボトルに口をつけないよう直接水を飲んでいました。給水所には2Lと500mlのペットボトルがあり私は空になったペットボトルを借りてそれをコップ代わりにしました。海外のレースでは大会要項に記載がなくてもコップを携帯した方が便利に思いました。
CP3とCP4ではジェル(ハニースティンガー)が用意されていました。CP4ではスタッフの男性が「Face shower?」って尋ねてくれ、顔や首にスプレーを吹きかけてくれ、暑さで頭がぼーっとしていたのでシャキっとしました。夏場のレースでかぶり水を用意してくれる大会がありますがスプレーだと水も節約できていいなと思いました。
韓国では桜が山桜が満開。日本のトレイルランレースでは桜の咲く人通りのある場所や花の咲く時期は避けられ花を目にする機会はあまりない。海外トレイルランレースならではの光景だろう。
韓国人ランナーの印象はいかがでしたか?
みんな上りが強かったです。Korea50kは想像以上に上りのきついコースでした。最後の急登りではバテてしまい、2回ほど立ち止まり休憩をしました。過去に参加した国内レースであればゆっくりでも歩き続けられたのに休憩したのは初めての経験でした。そんな私のそばを韓国人ランナーはゆっくり確実に進んでいきました。道を譲ったら「ファイティン!」と応援してくれました。私と同じく下りの苦手な選手が多いなとも感じました。 意外だったことは、走りやすい起伏の緩やかなコースで歩く人が多いこと。下り坂を後ろ向きに歩く人もいて、国内のようにロードのマラソンで鍛えてからトレイルランデビューではなく、登山から入ってくる人が多いのかなと思いました。
参加賞はTシャツにBuffバンダナ、バイザー、ソーセージ、日焼け止め、携帯食(ハニースティンガー)、オリジナルステッカー。完走賞はポーラテック素材のKorea50kフィニッシャーズベストに完走メダル、ランチ付(ホットドッグにりんごジュース)と豪華でした。私には嬉しかったのはゴール後に屋台で生ビールが飲み放題(笑)これでエントリー料120,000ウォン(日本円で約12,000円)は安いと思いました。
私は2泊3日のツアーに参加し航空券に宿泊費、エントリー代込みで41,620円でした(食費のみ自費)。国内で遠方のレースに出るより安く済みました。
本当に楽しかったです。ツアーを利用したおかげで英語が話せなくとも大丈夫でした。再び海外レースに出場するかどうかはわかりませんが興味を引く大会があれば考えたいですね。参加はもちろんツアーで(笑)
【STEP1】無料メール講座で学ぶ
【STEP2】大阪城公園での練習会やトレイルランイベントに参加する
一度、ランニングフォームを見てほしい